介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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基礎年金の財源をすべて消費税からとする案(その2)

2008-01-18 09:48:08 |  年金
【案の骨子をもう一度】
(その1)でみたような問題を回避するためには、以下のような仕組みで改革してはどうか?というのが、日本経済新聞の研究会の提案です。

・基礎年金の財源を(いまの保険料から)全額消費税にする。
→あたらしく消費税を引き上げる必要がある。(14兆円相当。+5%前後)
→これまで納めた保険料約12兆円は払わなくても良くなる。

・年金額は、現行程度。満額で月あたり66000円。
(これより高くするのであれば、消費税の引き上げ幅はもっと大きくなる)

【専門家のコメント】
「経済教室」に3人の専門家がコメントしています。
・土居先生は、税と保険料の性格を比べるなどの理屈の整理
・西沢先生は、高齢期の生活保障という立場で諸外国の工夫を紹介
・宮島先生は、全額消費税から、としたときの問題点、克服すべき課題
を、それぞれ説明されています。
以下、そのコメントを踏まえての私のまとめ。

【大きい方向付け】
 私は、「保険料から税へ」財源を求めるというのは、日本の年金のあり方をたどってみると、一つの流れのように思います。
ドイツの公的年金は、全額保険料から運営されているように、当初はそういう考えでした。個人が納めた保険料と受け取る年金とに関係がある・・という基本線を日本の制度は崩してきました。これは、「社会保障における所得再配分」といわれる側面です。
 ですが、この方向には、「ともかく税で」という考え方を推し進めるということになっていくという(財政健全化に逆行する)厳しい選択の道でもあります。
 ですから、本当は、大いに慎重になるべきですが、「年金記録問題」がこれらの議論を吹き飛ばしました。個人のながい人生の職場・住所・賃金の記録を完全に行うことは日本では(残念ながら)無理だったのです。

【全額消費税とする場合の課題】
・日本の消費税が(5%と)ヨーロッパの15%~22%に比べ低いのは、それが(増税の余地があるのではなく)政治的に無理だったからです。消費税の導入では内閣が倒れましたし、(当初の3%から)5%への引き上げも政治の舞台では大変でした。政府への信頼という意味で日本では国民との間に深い溝があります。
・技術的な問題として、国税でも発生している滞納の対策、対象範囲など

【年金以外の分野・・・消費税をまっている?分野】
・財源の必要な分野は、医療・介護・教育・科学技術など山積している。
・年金が低いときの他の分野の保障が弱い(生活保護、住宅)
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