介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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社会福祉の歴史【吉田久一 その2】

2008-08-13 05:52:06 | 社会福祉
第2章では、
外国の社会事業が日本へどのような影響を与えたか
が紹介されます。pp.21-47

普通の「社会福祉原論」の教科書では
近代以降のイギリスとアメリカの社会福祉の歴史の紹介がほとんどですね。
吉田先生は、まず、中国とインドの思想が古代の日本の思想へ与えた影響から入られます。仏教思想についての著書もあり仏教の歴史がご専門ですが、それだけにキリスト教が欧米の社会福祉思想に与えた影響の大きさが印象に残られたのでしょう、1節をキリスト教思想にあてています。

第2章で特に印象に残ったことをキーワード風に書きます。
本来ですと、中国、インド、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、北欧、キリスト教と毎回1つのテーマであつかうような大きなことですが、これをこのブログでは、1回分の記事にまとめようとしています。

○ 夫なきを「寡」、子なきを「独」という表現は孟子から来ているように、奈良時代からは中国の影響が圧倒的でした。

○ 「他を活かすことは自己を活かすこと」というインド思想は、アショーカ王(紀元前3世紀)から、ガンジー(1869~1948)までつながっている。

○ ヒトラー政権の優生学を主とする厚生事業は、(1938年にできたばかりの厚生省の)政策にも影響を与えた。

○ ルソー(1712~1778)の教育論『エミール』は、明治の児童養護に影響を与えた。

○ イエスの教化対象となった、異邦人、奴隷、障害者、貧困者、寡婦・孤児、病人・ハンセン病など。「癒し」に見える奇跡物語は非科学的というよりは、イエスに対する病める者の信頼とイエスの愛の人格的な力と見るほうが重要だ。同情や自愛ではなく、弱い人々を強くさせようとする神の愛と義である。p.45

○ ドイツでは、現在も「教会税」があるが、その淵源は5世紀に遡る。

吉田先生は、
まだ日本社会事業大学が原宿にある頃、図書館へよくきておられた。
今から思えばお教えをいただく機会はあったのに、いまはこのようにご著書を読むだけである。

次回からは、古代からの日本の社会福祉について編年的に追っていきます。
*先生は、大正中期ごろまでは「救済事業」、高度経済成長期までを「社会事業」、それ以降を「社会福祉」と呼ぶとされます。p.10
それで、書名が「日本社会事業の歴史」となっているわけですね。

*写真は、先週、鹿児島大学農学部前の並木道。


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