介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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フランスの医療・介護システム【篠田道子 日本福祉大学】

2008-05-08 15:13:53 | 地球→ドイツブログ
【海外社会保障研究】
海外の社会保障情報を研究レベルで発表している『海外社会保障研究』は季刊です。
(国立社会保障・人口問題研究所から刊行)
最新号(第162号、SPRING 2008)では、「地域包括ケアシステムをめぐる国際的動向」を特集しています。

このブログでは
2008/4/05 にデンマークを
   4/22 にイギリスを紹介しました。

今日は
篠田道子(日本福祉大学准教授)
「フランスにおける医療・介護システムの動向/在宅入院制度による集中的ケアマネジメントを中心に」
p29-p42 を紹介します。

【フランスの医療・介護の特色】
○ 国民皆保険ではない。
○ 外来は償還払い(窓口で全額払い、あとで帰ってくる。返却率は原則6割)
○ 65歳以上人口 16.3%(日本よりだいぶ若い)
○ 子どもとの同居率 17%(日本よりかなり低い)
○ 対GNP比医療費 10.6%(日本よりだいぶ高い)
○ 医師 1000人当たり 3.4人、看護師 7.5人(日本より多い)
○ 介護保険はない。公的扶助(生活保護)で対応。医療と介護の連携は悪い。
○ 介護費用を支援する制度が(1997年/2002年)できたが、給付内容は低い。

【フランスの制度で日本に示唆がえられるもの】
○ 在宅入院制度 早めに退院する代わりに医療スタッフが自宅を訪問する
 多職種・他機関による集中的ケアマネジメント(月30時間を限度)
 ・病診連携が確立している
 ・24時間の医師や看護師の医療サービスが保証されている
 ・この場合には、医療と介護サービスが統合された形で提供される
 ・(ケアマネジャーという職種はないが)ケアコーディネーターが調整役
 ・病院スタッフ、在宅入院機関、独立開業者(医師、看護師、薬剤師など)が協同して集中的なケアマネジメントをしている

○ 開業看護師 68,150人(看護師総数の15%)
 日本では、訪問看護ステーションがあるが、配置基準が厳しく充足していない。

 フランスの訪問看護→次の3層
 ・開業看護師による訪問看護
 ・在宅看護サービス事業所(日本の訪問看護ステーションに相当)
 ・在宅入院期機関が提供する高度医療サービスに特化した短期間の訪問看護

○ 「第三の住まい」と外付けされた医療・介護サービス
 ・住宅と食費は自前 必要なときだけ医療と介護サービスを受ける
 *日本は、医療ニーズの高い在宅ケアの整備が遅れる

この論文の引用文献であげられている

奥田七峰子ホームページ

は、フランスの事情に詳しい。

*写真は、5月3日、鹿児島市役所前の小公園から桜島を仰ぐ。

 
 
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