介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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日本の年金をドイツとの対比で見る【その1】

2008-04-05 03:29:02 | 地球→ドイツブログ
【日本とドイツの対比】
土田武史・田中耕太郎・府川哲夫編著『社会保障改革ー日本とドイツの挑戦』(ミネルバ書房、2008)を読んでいます。

日本の社会保障制度は、ドイツとの共通点が多く、これまでも多くの両国の比較研究が行われてきました。
この本で示されている日独比較研究は、両国の専門家が発表・討論を重ねた結果を反映していて、これまでの研究の総まとめの意味があります。

前回までで、医療と介護の比較を終えました。
今回から、年金です。第7章から第9章までの3章にわかれています。
第7章は、特に重要で、また、内容が豊富なので、4回に分けて紹介します。
担当は、府川哲夫氏です。(国立社会保障・人口問題研究所)

【ドイツの公的年金の特徴】
*何といっても、1889年にできたという長い歴史、国民生活への定着度が日本とは比較にならない。(日本は、昭和17年=1942年、実質的には、昭和29年=1954年)

○ 職域ごとの縦割り

○ 公的年金の比重が大きい。企業年金は退職所得の5%しか占めていない。
  →イギリス25%、オランダ36%

○ 1957年に賦課方式に以降。賃金とのスライド規定を置く。その後も、制度の改正が続いている。2001年の改正で、保険料率の上限を設定(20%)
 →日本は、2004年改正で、18.3%の上限を設定した。

【両国の共通点】
○ 老後の収入源として公的年金の比重が高く、企業年金や個人年金の比重が低い。

○ 少子・高齢化が社会保障制度の運営に大きな影響を与えている。

○ 賦課方式の財政運営(その年の保険料収入で、その年の年金支払いをする)

○ 確定給付方式(給付額を決めてそれに見合う保険料負担を決める方式)

○ 所得比例による保険料拠出と所得比例による給付額

【両国の相違点】
○ 日本では、基礎年金があるが、ドイツにはない。
 *ドイツでは、社会扶助の一種としての基礎保障ができた。

○ 政府の規模は、ドイツが大きい。

○ ドイツは、失業率が高い。

○ 社会保険料負担:ドイツ41% 日本ほぼその半分。
  *医療、年金。失業、介護の4保険の合計。
  *単純な比較はできない(税や給付の一部負担の違いなど)

○ ドイツでは、社会保険の運営は保険者の自治。(日本は、政府主導)

○ ドイツには、育児・介護期間の保険料負担が公的に行われる。(日本ではまだ)

【制度の持続可能性】
ドイツ、日本とも、少子・高齢化が進むなかでどのように制度を維持するかという基本問題をクリアーしていない。

以下、次回以降、掘り下げていきます。
年金問題は、複雑で、何度か、いろんな視点で考えることで、霧が晴れるように?わかってくるのでは・・

*写真は、カントリー雑貨「さくらんぼ」で撮る。
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