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第2206号 「ご先祖様のおかげ」(奄美のお年寄り)

2009-02-04 11:51:12 | 奄美大島
高齢者のことを研究する学問分野を「老年学」といっています。
そのうちでも、社会科学的な側面から研究する分野は「老年社会科学」です。

手元に
学会誌『老年社会科学』第30巻第4号 2009.1 が届きました。〈写真)
その巻頭論文は、
「奄美群島超高齢者の日常からみる「老年的超越」形成意識」と題されています。
pp.477-488

著者は、冨澤公子氏で、神戸大学大学院の博士論文の一部ということです。
難しい内容ですが、”われらが奄美”(このブログでは、奄美からのブックマークが3つあります)で調査された結果をまとめていますので、簡単に紹介します。

【キーワード】
学術論文の冒頭に抄録が、本文の前に「キーワード」がおかれるのが普通です。

この論文では、次の4つです。いずれも、専門的な概念です。
・超高齢者
・老年的超越
・サクセスフル・エイジング
・M-GTA 修正グランディッド・セオリー・アプローチ

【論文の趣旨は】
奄美の高齢者を詳しくインタビューしてみると、人生に対する真摯な生き方を浮き彫りにすることができた。
「老人問題」は「問題」とされているが、むしろ、このようなお年寄りがおられることを知れば社会は希望を取り戻すだろう。・・・これは、本論文を読んでの私の感想。

【調査の方法】
2006年7月13日から16日の4日間
奄美大島の2町村から11人の在宅の高齢者〈86歳から101歳まで)
に詳しいインタビューを行った。

これを記録したものから、
「質的調査法」の一つであるM-GTA法により、概念を形成している。
*次元が3、カテゴリが9、概念が25 あげられている。

【概念から】
100歳まで生きる 工夫された日常生活 生活リズムを守る意志力 食べ物へのこだわり 道具や知恵の活用

前向きに生きている 楽しかった高齢期 若い頃にがんばった感 長生きは獲得するもの

社会とつながる行為 仕事からくる自信 関係性をもつことの喜び ささやかな周囲への貢献

身体に起因するネガティブな語り 同年代がいないという孤独

家族や周囲との絆 畑がある 奄美の自然との一体感 自然の怖さ

戦争体験から得た知

親と自己の再定義 執着の距離 おおらかな適応 追憶は現在形で続く ご先祖様のおかげ
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
紹介して頂いてありがとうございます (冨澤公子)
2009-06-09 18:48:01
先日も奄美群島に行ってきました。前回十分に掘り下げられていないスピリチュアルな部分に焦点を当て、長寿との関連を取り上げたいと思います。前回、同時期に行った量的調査の結果は神大の紀要に掲載されています。ご助言頂けたら、嬉しいです。奄美2世(徳之島母間出身)として、奄美の超高齢者の暮らしから、超高齢期を生きることもいいものだと思える契機になれば、良いなと思います。
紀要をアップしました (bonn1979)
2009-06-11 05:25:23
冨澤公子さん

論文をご紹介いただきありがとうございました。

PCを開けば、全文を無料で読める
ことは(貴論文の素晴らしい内容を)多くの人に伝えることができることに。
*拙ブログ第2966号にてリンクしました。

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