介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

第4章に入る

2008-01-30 11:38:45 | 成年後見
【今日で7回目ですが・・】
細川瑞子『知的障害者の成年後見の原理』(信山社、2007)
を読んでいます。

著者の修士論文をベースにしたもの、とのことですが
334ページにわたってがっちりとかかれてあります。

このブログで最初に取り上げたのは暮れの12月21日ですから
だいぶ立ちましたが、この読んでは考え、たちどまる
というのにふさわしい本です。

信山社のホームページに本書の詳しい目次が掲載されていました。

前回(1/27)、第3章「自己決定とはなにか」でしたが、ちょっと表面的でしたね。
私の場合、まだ、大学の寮で「哲学研究会」に属していたりしたので、ちょっとはなじみのある思想家がいましたが・・

【現代社会の危機】
第4章は、「現代社会と知的障害者」となって、だんだん本題に迫ってきます。
第3章では、「自己決定」といっても、現代社会で、私たち自身もちゃんと自己決定できるのだろうか?との根本的な問いを内外の文献からじっくり考えた章でした。

今度の章は、100ページにもなり、これを目次だけ紹介しても(毎回のブログ記事字数として自分で目安としている1000字では)無理ですね。

6つの節から、構成されていて、
1 が「現代社会の危機」(p107-p123)です。

【ネオ・リベラリズムと福祉国家】
ポスト・モダニティ、ネオ・リベラリズムなどと表現されている思潮は、福祉国家の思想とは相容れない。 p110

知的障害者も「自己決定」という入場券を1枚手渡されて、仲間入りが許された。
(イソップ物語:鶴に平皿でスープを出した狐の話で説明)
(切符が使えるのは、市場という名のカジノだけかもしれない)

医療・福祉予算の切り詰めがのツケがもともと発言力の弱い高齢者や障害者に波及した。大企業の利潤追求のツケは個人へ分散されていく。

【道徳の民営化】
私は(お金があるから)ほっといて欲しい、だからあなたも(お金がなくても)ほっておく・・という、形式的な自由。
知的障害者の自己決定などは、開けてびっくり「玉手箱」に過ぎない。
*サン・グループ事件(大津地方裁判所。平成15年3月24日判決)p115注

成年後見制度→次の制度にしっかりつなぐ努力を怠っている。
(申請しやすく、費用の補助など)

【倫理への要求】
公的責任の弱体化
定常型社会(広井良典)
リスク社会(ベック)

(このあたりは、「公共哲学」の議論とつながってきそうだ)

次回:「2 判断能力をめぐる言葉」
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