介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

介護保険の経済的規模

2007-11-25 11:47:19 | 介護福祉
前回は、
医療費について概観した箇所でした。

今回は、
第8章 介護と日本経済 です。

介護保険制度は、2000年から施行され
2006年にはその改正法も施行されましたから
社会の中に相当定着してきました。

本屋さんには
介護保険の手引書、利用者や家族の読むものだけではなく
介護専門職向けや、介護を業とする人への解説書も沢山あります。

このブログの読者にも
介護福祉士や介護支援専門員といった専門家もおられます。

京極先生のこの本の特色は
「社会保障・社会福祉の現状を経済学的な表現・手法・統計で
明らかにして、より発展させよう」
という点にあるでしょう。
特に、先生は、介護保険についてはその創設に関して大きな役割を
果たされましたので、本章も類書の解説とは違うスタンスがうかがえます。

第1節は、介護政策の歴史です。
この本の時代区分に従って、政策の発展のあとをたどっています。
1985年から2004年までの「第Ⅲ期」に大きな政策的な展開があったことが
わかります。(→『厚生労働白書』2005に従っている)

第2節は、介護保険の財政です。
2004年度で、総額6.1兆円(保険給付額では、5.5兆円)
という大枠について、財源が示されています。

第3節では、
介護サービスが、医療サービスと福祉サービスの中間的な位置づけにあることを
示しています。【わが国の医療サービスは、公的な健康保険制度を基盤としながら
企業的な色彩を持っていますが、この側面を介護保険は助長したのでは・・
との感想を持ちました】

第4節と第5節が、類書にはない箇所です。
介護保険が出来て、産業・雇用・家庭などにどのような経済的な影響・波及効果があったかというテーマです。
「産業連関分析」の手法による詳しい研究が、本書の後半(第11章)で紹介されますので、今日は、興味あるデータを紹介します。

・常勤で換算した介護保険の従事者は、103万人で、これは輸送用機器(自動車など)の産業と同じ規模である。
・営利法人が参入している・・・訪問介護の49%、福祉用具貸与の87%、ケアつき有料老人ホームの76%、グループホームの47%は会社が運営している。
・「雇用誘発係数」を用いて推計すると、介護従事者数は、
2025年には337万人となって、農業従事者(289万人、2000年)を抜くことになる。
看護師数は、115万人(2004年)であるが、介護業務に従事する介護福祉士は、将来、この数字も超えるのではないか。
・介護保険が出来たことにより、「社会的入院」や在宅における家族の負担軽減は合計で3兆5000億円にもなると推計される。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スウェーデンの社会・・・そ... | トップ | 歴史が現代に生きる日々 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

介護福祉」カテゴリの最新記事