図は、
想い・思い・おもいver2 の2010.08.09付けの記事
からリンクしています。「作成途中」とありますが、重要な問題提起です。
最近、大きな話題となっている児童虐待や高齢者の不明問題への根本的な対応としてもこのような統合的な視点が望まれると思います。
最近における政府の構想なども踏まえて、この「対人援助」という概念を理解してみましょう。
《構成》
1 遠巻きにみている社会
2 頭でっかちの「新しい公共」
3 「パーソナル・サポート」の構想
4 真剣な「妄想」
5 「対人援助」の視点
☆ ☆ ☆ ☆
【遠巻きにみている社会】
子どもやお年寄りが大事にされない社会。
最近のニュースはそのような社会の本質をみせつけています。
遥香の日記 2010.08.05
遥香の日記 2010.08.06
【頭でっかちの「新しい公共」】
鳩山内閣によって始められた「新しい公共」という視点は新しいものでした。
「新しい公共」宣言 2010.06.04
がまとめられています。
「人々の支え合いと活気のある社会。それをつくることに向けたさまざまな当事者の自発的な協働の場が「新しい公共」である。これは、必ずしも、鳩山政権や「新しい公共」円卓会議ではじめて提示された考え方ではない。これは、古くからの日本の地域や民間の中にあったが、今や失われつつある「公共」を現代にふさわしい形で再編集し、人や地域の絆を作り直すことにほかならない。」
と、格調高く宣言をしていますが、11ページに及ぶ長さの割には具体的な処方箋はありません。
これは、検討の時間が足りなかったということでしょうが、委員の構成にも問題があったでしょう。社会福祉士や介護福祉士といった新しい専門職は発言の機会がなかった。
新しい時代の成功者達によって、国民・企業・行政のそれぞれに成功事例をあげて思想を変えればうまくいくといった幻想が振りまかれています。
せめて、宗教組織や労働組合といった欧米では重要な中間組織となっているものへの評価や位置づけが欲しかったですね。
【「パーソナル・サポート」の構想】
総理大臣所信表明演説 2010.06.11
は、総理大臣になって初めての政策の方向を示したもので重要ですが、総理大臣の思想というよりはブレーンによる作文という印象です。湯浅 誠氏らの発想を受けた以下の部分は注目されました。(「社会福祉士Maachanのブログ 2010.06.14)
「私は、湯浅さんたちが提唱する「パーソナル・サポート」という考え方に深く共感しています。様々な要因で困窮している方々に対し、専門家であるパーソナル・サポーターが随時相談に応じ、制度や仕組みの「縦割り」を超え、必要な支援を個別的・継続的に提供するものです。役所の窓口を物理的に一カ所に集めるワンストップ・サービスは、今後も行う必要がありますが、時間や場所などに限界があります。「寄添い・伴走型支援」であるパーソナル・サポートは、「人によるワンストップ・サービス」としてこの限界を乗り越えることができます。こうした取組により、雇用に加え、障がい者や高齢者などの福祉、人権擁護、さらに年間三万人を超える自殺対策の分野で、様々な関係機関や社会資源を結びつけ、支え合いのネットワークから誰一人として排除されることのない社会、すなわち、「一人ひとりを包摂する社会」の実現を目指します。鳩山前総理が、最も力を入れられた「新しい公共」の取組も、こうした活動の可能性を支援するものです。公共的な活動を行う機能は、従来の行政機関、公務員だけが担う訳ではありません。地域の住民が、教育や子育て、まちづくり、防犯・防災、医療・福祉、消費者保護などに共助の精神で参加する活動を応援します。」
【真剣な「妄想」】
この「パーソナル・サポート」は、思いつきの域をでないもので、その後、社会福祉士などの本来こういった問題を専門とする組織や専門家からの批判や提言はないようです。
(上記の2010.06.14付けMaachanの問題提起は重要です)
アローチャートによるケアマネジメント 2010.08.05
では、「妄想」と断ったうえで、
「准介護支援専門員」
「セルフ・ケアマネジメント士」
というアイデアを提唱しています。
このブログの管理者である吉島先生は、ケアマネジャーです。
「・・・准介護支援専門員資格は、当面介護支援専門員を補助する資格として位置づけられるが、
地域包括ケアシステムの大きな柱の一つとしてとらえている。
新資格の取得のためには、
介護支援専門員と同様「実務研修受講試験」を受験し合格する必要があるが、
50歳以上の者に限り受験資格が与えられ、正答率30%で合格とし、
実務研修の受講は免除される。実務にあたっては、指定居宅介護支援事業所に所属しその介護支援専門員の管理・指導の下、
モニタリング、給付管理業務、サービス担当者会議、保険請求の業務が可能であるが、
アセスメント、ケアプラン原案作成の業務はできない。
ホームヘルパー等との兼務を想定している。
新資格は、都道府県への登録により有効となるが、65歳となる誕生日をもって失効する。
ただし、65歳となった誕生日の翌日より、セルフケアマネジメント士の資格への切り替えが可能。
切り替えを希望する者は、勤務経験証明書を添えて、地域包括ケアシステムセンターに申請が必要。セルフケアマネジメント士は、本人・配偶者、二親等内のケアプラン作成をすることができる。
サービス利用に関しても償還払い扱いとはならない。
この場合、任意の指定居宅介護支援事業所との連携契約をした旨の届出が必要となる。・・・」
【「対人援助」の視点】
そこで、冒頭に引用した
今朝の「 想い・思い・おもいver2」の提案に戻ります。
「・・「対人援助」にしろ、「ヒューマンサービス」にしろ、
これから、きちんととらえられていくべき領域なのだと思います。
人と関わる仕事である以上、どのような専門職であっても、
コミュニケーションに関する能力や、
利用者や家族が担っている課題の構造への理解、
他の専門職や機関に対する理解等を深めると共に、
ネットワークやチームアプローチ、アセスメント等の技法などを磨いていくことが求められるでしょう。
そして、それらを土台として、
社会福祉士は社会福祉士として、
介護福祉士は介護福祉士としての
そして、それ以外の専門職もそれぞれにおける
「倫理」や「価値」や「技術」が求められていくのではないでしょうか。」
このブログの管理者どりーむ氏も(基礎資格は看護師ですが)ケアマネジャーであることはこの新しい資格が想像以上に意義ある仕事をしていることをうかがわせます。
私は、
ここで示された概念をもとに、
・介護支援専門員を軸とした関連専門職のキャリア形成
・後見人制度の充実
が、これからの課題だと思います。
鳩山総理の時代の「新しい公共」や菅総理の「パーソナル・サポート」は自民党の時代には構想できない流れではありますが、担い手である中間組織の形成や新しい専門職の強化などの具体的な構築は政治家に任せているだけでは進まないと思います。
大向こうの大議論や思い付きではなく、吉島先生やどりーむ氏のような「現実的で理想的な」(ドイツの哲学者へーゲルの言い草をまねしました)アイデアが深められるときがきたと痛感します。
《3716字》
想い・思い・おもいver2 の2010.08.09付けの記事
からリンクしています。「作成途中」とありますが、重要な問題提起です。
最近、大きな話題となっている児童虐待や高齢者の不明問題への根本的な対応としてもこのような統合的な視点が望まれると思います。
最近における政府の構想なども踏まえて、この「対人援助」という概念を理解してみましょう。
《構成》
1 遠巻きにみている社会
2 頭でっかちの「新しい公共」
3 「パーソナル・サポート」の構想
4 真剣な「妄想」
5 「対人援助」の視点
☆ ☆ ☆ ☆
【遠巻きにみている社会】
子どもやお年寄りが大事にされない社会。
最近のニュースはそのような社会の本質をみせつけています。
遥香の日記 2010.08.05
遥香の日記 2010.08.06
【頭でっかちの「新しい公共」】
鳩山内閣によって始められた「新しい公共」という視点は新しいものでした。
「新しい公共」宣言 2010.06.04
がまとめられています。
「人々の支え合いと活気のある社会。それをつくることに向けたさまざまな当事者の自発的な協働の場が「新しい公共」である。これは、必ずしも、鳩山政権や「新しい公共」円卓会議ではじめて提示された考え方ではない。これは、古くからの日本の地域や民間の中にあったが、今や失われつつある「公共」を現代にふさわしい形で再編集し、人や地域の絆を作り直すことにほかならない。」
と、格調高く宣言をしていますが、11ページに及ぶ長さの割には具体的な処方箋はありません。
これは、検討の時間が足りなかったということでしょうが、委員の構成にも問題があったでしょう。社会福祉士や介護福祉士といった新しい専門職は発言の機会がなかった。
新しい時代の成功者達によって、国民・企業・行政のそれぞれに成功事例をあげて思想を変えればうまくいくといった幻想が振りまかれています。
せめて、宗教組織や労働組合といった欧米では重要な中間組織となっているものへの評価や位置づけが欲しかったですね。
【「パーソナル・サポート」の構想】
総理大臣所信表明演説 2010.06.11
は、総理大臣になって初めての政策の方向を示したもので重要ですが、総理大臣の思想というよりはブレーンによる作文という印象です。湯浅 誠氏らの発想を受けた以下の部分は注目されました。(「社会福祉士Maachanのブログ 2010.06.14)
「私は、湯浅さんたちが提唱する「パーソナル・サポート」という考え方に深く共感しています。様々な要因で困窮している方々に対し、専門家であるパーソナル・サポーターが随時相談に応じ、制度や仕組みの「縦割り」を超え、必要な支援を個別的・継続的に提供するものです。役所の窓口を物理的に一カ所に集めるワンストップ・サービスは、今後も行う必要がありますが、時間や場所などに限界があります。「寄添い・伴走型支援」であるパーソナル・サポートは、「人によるワンストップ・サービス」としてこの限界を乗り越えることができます。こうした取組により、雇用に加え、障がい者や高齢者などの福祉、人権擁護、さらに年間三万人を超える自殺対策の分野で、様々な関係機関や社会資源を結びつけ、支え合いのネットワークから誰一人として排除されることのない社会、すなわち、「一人ひとりを包摂する社会」の実現を目指します。鳩山前総理が、最も力を入れられた「新しい公共」の取組も、こうした活動の可能性を支援するものです。公共的な活動を行う機能は、従来の行政機関、公務員だけが担う訳ではありません。地域の住民が、教育や子育て、まちづくり、防犯・防災、医療・福祉、消費者保護などに共助の精神で参加する活動を応援します。」
【真剣な「妄想」】
この「パーソナル・サポート」は、思いつきの域をでないもので、その後、社会福祉士などの本来こういった問題を専門とする組織や専門家からの批判や提言はないようです。
(上記の2010.06.14付けMaachanの問題提起は重要です)
アローチャートによるケアマネジメント 2010.08.05
では、「妄想」と断ったうえで、
「准介護支援専門員」
「セルフ・ケアマネジメント士」
というアイデアを提唱しています。
このブログの管理者である吉島先生は、ケアマネジャーです。
「・・・准介護支援専門員資格は、当面介護支援専門員を補助する資格として位置づけられるが、
地域包括ケアシステムの大きな柱の一つとしてとらえている。
新資格の取得のためには、
介護支援専門員と同様「実務研修受講試験」を受験し合格する必要があるが、
50歳以上の者に限り受験資格が与えられ、正答率30%で合格とし、
実務研修の受講は免除される。実務にあたっては、指定居宅介護支援事業所に所属しその介護支援専門員の管理・指導の下、
モニタリング、給付管理業務、サービス担当者会議、保険請求の業務が可能であるが、
アセスメント、ケアプラン原案作成の業務はできない。
ホームヘルパー等との兼務を想定している。
新資格は、都道府県への登録により有効となるが、65歳となる誕生日をもって失効する。
ただし、65歳となった誕生日の翌日より、セルフケアマネジメント士の資格への切り替えが可能。
切り替えを希望する者は、勤務経験証明書を添えて、地域包括ケアシステムセンターに申請が必要。セルフケアマネジメント士は、本人・配偶者、二親等内のケアプラン作成をすることができる。
サービス利用に関しても償還払い扱いとはならない。
この場合、任意の指定居宅介護支援事業所との連携契約をした旨の届出が必要となる。・・・」
【「対人援助」の視点】
そこで、冒頭に引用した
今朝の「 想い・思い・おもいver2」の提案に戻ります。
「・・「対人援助」にしろ、「ヒューマンサービス」にしろ、
これから、きちんととらえられていくべき領域なのだと思います。
人と関わる仕事である以上、どのような専門職であっても、
コミュニケーションに関する能力や、
利用者や家族が担っている課題の構造への理解、
他の専門職や機関に対する理解等を深めると共に、
ネットワークやチームアプローチ、アセスメント等の技法などを磨いていくことが求められるでしょう。
そして、それらを土台として、
社会福祉士は社会福祉士として、
介護福祉士は介護福祉士としての
そして、それ以外の専門職もそれぞれにおける
「倫理」や「価値」や「技術」が求められていくのではないでしょうか。」
このブログの管理者どりーむ氏も(基礎資格は看護師ですが)ケアマネジャーであることはこの新しい資格が想像以上に意義ある仕事をしていることをうかがわせます。
私は、
ここで示された概念をもとに、
・介護支援専門員を軸とした関連専門職のキャリア形成
・後見人制度の充実
が、これからの課題だと思います。
鳩山総理の時代の「新しい公共」や菅総理の「パーソナル・サポート」は自民党の時代には構想できない流れではありますが、担い手である中間組織の形成や新しい専門職の強化などの具体的な構築は政治家に任せているだけでは進まないと思います。
大向こうの大議論や思い付きではなく、吉島先生やどりーむ氏のような「現実的で理想的な」(ドイツの哲学者へーゲルの言い草をまねしました)アイデアが深められるときがきたと痛感します。
《3716字》