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国際比較の視点から日本の社会保障を見る

2008-01-21 12:59:36 | 地球→ドイツブログ
【ドイツを鏡として日本を写す】
『社会保障改革ー日本とドイツの挑戦ー』
(2008、ミネルバ書房)を紹介しました。

内容は、少し専門的ですが、日本の社会保障政策の現状を掘り下げて考えるうえで
貴重な本だと思います。
それで、このカテゴリ「ドイツ」のなかで、終わりまで読み進めることにします。
*この本で、「社会保障」とは、医療・介護・年金の3分野を指しています。

【全体の展望】
この本の特色は、各論的な掘り下げのほかに、全体像が優れていることです。
序章は、今日取り上げる「国際比較の視点」(貝塚先生)と
次回以降にとりあげる「ドイツ社会保障制度の概要」(府川先生)が分担。
終章(ドイツモデルの行方。土田先生)とあわせると、
すぐれたドイツ社会保障論であり、日本社会保障論となっています。

【比較公共政策】
Comparative Public Policy といわれる分野の問題意識だが、日本の学界では殆ど育っていない。

以下、著者の描写。
短いが含蓄があり、定説にとらわれてないことが興味深い。

アメリカ・イギリス・ドイツについて、「パズル」であり、「特異性」である。
・アメリカでは、社会保障というとプラスのイメージではない。
・イギリスの社会保障は、もともと保守党のチヤーチルが、戦争に勝ったら経済的に保障しますと約束せざるをえなかったのであり、当時のイギリス労働党は、社会保障には理解もなく関心もなかった。
・どうして、辺境の地であるプロシア(いまのドイツ)に世界で初めて社会保障制度ができたのかは、十分に説明することは困難である。

【日本の社会保障】
・現在では、「福祉国家」という言葉は以前ほど使われていない。それは、イデオロギーとしての福祉国家が定着してこなかったことと、社会保障に対する政治的コミットメントの弱さがあったからではないか。

・戦後の日本の社会保障制度の進展は、連合軍の力が大きい。
アメリカのニューデーィルの考えを(本国ではできないので)日本でやってみた。

・1973年の年金スライド、1970年代の老人医療の無料化をどう是正するかが日本の1990年代以降の政策課題となった。
(高度成長が続くとの楽観的な見通しの下での構想だった)

【共通の課題】
少子高齢化に伴う政策課題は、ヨーロッパと日本に共通する。
・60歳以上の勤労意欲は違う(日本は高い)
・(社会保障そのものではないが)教育政策(奨学金など)は日本が貧しい。
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