介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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介護保険の財政【ドイツを学び日本を考える】

2008-03-23 12:26:00 | 地球→ドイツブログ
【部分保険】
『社会保障改革ー日本とドイツの挑戦ー』(ミネルバ書房、2008)
を読んでいます。

今日は、第2部介護の第2回「第5章 介護保険の財政」です。p128-p149
担当は、田中耕太郎氏(山口県立大学)です。

日本の法制では、すべての介護費用を介護保険からまかなうという仕組みだが、ドイツでは、
・基本的に介護に必要な費用は全額をまず本人が負担し、
・これが年金や預貯金の取り崩しでも支払えない場合、
・税財源による社会扶助がその不足額を支給
・介護保険は、その社会扶助総額が増大しないためのもの
という論理がある。

このため、
ドイツでは、
・当初から、居住費と食費はホテルコストとして給付外
・本人負担額が通常の年金受給者であれば負担できる範囲内にとどめて、できるだけ介護扶助受給者を減少できればそれでよし
・・という考え方である(「部分年金」)

【財政安定のための仕組み】
という大前提の制度の思想の違いの他に、
・日本では、公費負担があるが、ドイツでは保険料のみで運営。
・日本では、保険料は、業種・地域で相違するが、ドイツでは、全国一律1.7%と法律で固定している(これを労使折半)
・給付対象は、要介護度1から要介護度3までの3段階で、ドイツの要介護度1は、日本の介護保険の要介護度3前後に相当する。つまり、中重度に限定されている。
・在宅給付には、金銭給付が用意されている(金銭給付の給付限度額は、現物給付の約半分)

などの仕組みがビルトインされていて、日本の制度に対して、相当強固な財政安定措置といえる。

【介護費用の25%は本人の負担】
ドイツでは、1995年4月から在宅介護給付を、1996年7月から施設介護給付を開始した。
その後、給付・財源とも順調に増大している。
*その概要は、松本勝明『介護保障』(信山社、2007)などにより、別途紹介します。

2001年のドイツの介護費用の財源構成(マクロのデータ)を見ると
公的介護保険からは60%が
本人負担は    25%
社会扶助が    10%
となっている。
*ドイツでは、社会扶助に対する国庫負担はない。(日本は、75%を国庫負担) 

【それでも費用の増大を懸念】
これだけ聞けば、ドイツの財政健全化への万端整っているようにみえ、日本とはだいぶ違うな、と思われるでしょう。

それでも、ドイツでも、今後、団塊世代が高齢化するなど介護需要増大は日本と同じで、例えば、さらなる方策を用意する必要があると認識されている。
・医療保険との統合案
・租税財源による給付案
・積み立て方式への切り替え
・保険料率の引き上げ   2007年1月から0.25%引き上げ1.95%
*著者によれば、いずれもその実現の可能性は低いとしている。

*写真 おなじみの図書館。4Fにガヤコーヒーのレストラン。3/21 金曜。



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