写真は、「おソ松な日々Ⅱ」(2010.04.19)からお借りしています。
今朝、河東哲夫さんからメールでの便りが届きました。
河東さんは、1979年から3年間、私が当時に西ドイツの首都ボンにあった日本大使館での同僚です。いまは退官されて、評論活動を精力的にされています。奥さんは、モスクワ大学で知り合ったというデンマーク出身の方です。
* * *
現在、デンマーク経済について文章を書いています。「今よりいちだん高い生活水準で経済を回していくために、日本はデンマークから何を学べるか」という趣旨です。ただ「社会保障にもっと金を出せばいい」とか、「そのためには税金をもっと高くしろ」とかの無責任な議論のためにデンマークを引っ張り出すのでなく、企業が従業員の社会保障費を負担する割合が低いとか、そのために国内投資、外国人による直接投資が盛んで、GDPが伸びやすくなる、そんな点に着目しています。もちろん、素晴らしい住宅水準にも。
日本ではまだ相続税が高すぎるようで、私の家の周辺では宅地を手放す人が増えています。ところが、200平米くらいの住宅地が3つにも分割されて売り出されることが多いのです。人口が減少する世の中で、これはしみったれ過ぎていませんか? ボリ過ぎではありませんか? 多くの人がもっと大きい家に住んで、多くの家具・設備を備え、ゆったり住める社会にしていくために補助金を出してほしいと思います。消費するための金をばらまくよりも、一段高い水準に生活を高める方にカネを使ってほしい。恵まれた者の言う戯言でしょうが(私も小さい頃は貧しい方でした)、世界第2位の経済大国がいつまでもしみったれて、なけなしのカネを分捕り合うだけでは、ジリ貧ではないですか。
* * *
詳しくは、河東さんのサイトをお読みください。
河東哲夫 右側の欄「世界はこう変わる」にアップされています。
このサイトは、日本語のほかに、英語、中国語、ロシア語で書かれているというユニークなものです。ここでは、日本語版をアップしています。
今回紹介する記事(4月18日付)、デンマークに関する部分の出だしです・・・
☆ ☆ ☆
日本の経済が苦しくなってきていて、それはもうバブル崩壊以後20年間ずっとそうなのだが、そのことが就職難や財政赤字などの形で本当に身にしみてわかってきたものだから、そろそろ慌て始めた人が増えた。何も気がついてない人たちが大半だが。
20年前ソ連が崩壊したとき、毎日パンの値段が倍増していくようなインフレに直面したロ
シア人は、溺れようとする人がワラをもつかむように、「日本モデル」やら「中国モデル」やら、全ての問題を打ち出の小づちのように解決してくれる奇跡を、国外に求めた。
同じことを、日本人が始めているということだ。情けない。自分で新しい富を作りだすしか、解決はないというのに。今ある富を分け直そうとしても、それはかえって成長を阻害したりして、自分で自分の首をいっそうしめていく。
それでもどこかに理想の分け方があるだろうというわけで、つまり社会福祉も経済成長も両方叶えてくれるものとして、デンマークやスウェーデンの北欧モデルが流行し始めた。そりゃその気持ちはわかるけど、どちらも500万人強の人口小国。いずれも工業国だが、500万人を養うために必要な企業の規模は大きくなくていい(スウェーデンには大企業が多いが)。1億人強が食べていかなければならない日本では、北欧の20倍の規模を持った富のジェネレーター=モノづくりが必要で、今のようにモノづくりが海外に流出する一方では、いくらデンマーク・モデルだ、スウェーデン・モデルだといったところで、富の基盤が不十分で経済が回らない。
で今日は手始めとして、デンマークの生活実感を拙著「意味が解体する世界へ」(草思社)から抜粋してお目にかけたい。いや、たしかに本当にいい国、本当にいい人たちなのだ。それでもアフガニスタンに出兵して、何人も亡くなっているが。
以下、上記のサイトでご覧ください。
◆河東 哲夫氏略歴
1947年東京生まれ。1970年東京大学教養学部を卒業後、外務省に入省。
ハーバード大学大学院ソ連研究センター、モスクワ大学文学部での研修を経て、東欧課長、在スウェーデン大使館参事官、文化交流部審議官、在ボストン総領事、在ロシア大使館公使、在ウズベキスタン・タジキスタン特命全権大使などを歴任。
東京大学および早稲田大学の客員教授を兼務。
*私が、ドイツで一緒だったのは、河東氏がまだ一等書記官の頃です。(私は、一等書記官を経て参事官でした)
デンマーク事情に関しては
坂之上介護福祉研究会(資料編)702 Denmark に、最近の動向をアップしています。51件。英語が多いですが、日本語もあります。
今朝、河東哲夫さんからメールでの便りが届きました。
河東さんは、1979年から3年間、私が当時に西ドイツの首都ボンにあった日本大使館での同僚です。いまは退官されて、評論活動を精力的にされています。奥さんは、モスクワ大学で知り合ったというデンマーク出身の方です。
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現在、デンマーク経済について文章を書いています。「今よりいちだん高い生活水準で経済を回していくために、日本はデンマークから何を学べるか」という趣旨です。ただ「社会保障にもっと金を出せばいい」とか、「そのためには税金をもっと高くしろ」とかの無責任な議論のためにデンマークを引っ張り出すのでなく、企業が従業員の社会保障費を負担する割合が低いとか、そのために国内投資、外国人による直接投資が盛んで、GDPが伸びやすくなる、そんな点に着目しています。もちろん、素晴らしい住宅水準にも。
日本ではまだ相続税が高すぎるようで、私の家の周辺では宅地を手放す人が増えています。ところが、200平米くらいの住宅地が3つにも分割されて売り出されることが多いのです。人口が減少する世の中で、これはしみったれ過ぎていませんか? ボリ過ぎではありませんか? 多くの人がもっと大きい家に住んで、多くの家具・設備を備え、ゆったり住める社会にしていくために補助金を出してほしいと思います。消費するための金をばらまくよりも、一段高い水準に生活を高める方にカネを使ってほしい。恵まれた者の言う戯言でしょうが(私も小さい頃は貧しい方でした)、世界第2位の経済大国がいつまでもしみったれて、なけなしのカネを分捕り合うだけでは、ジリ貧ではないですか。
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詳しくは、河東さんのサイトをお読みください。
河東哲夫 右側の欄「世界はこう変わる」にアップされています。
このサイトは、日本語のほかに、英語、中国語、ロシア語で書かれているというユニークなものです。ここでは、日本語版をアップしています。
今回紹介する記事(4月18日付)、デンマークに関する部分の出だしです・・・
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日本の経済が苦しくなってきていて、それはもうバブル崩壊以後20年間ずっとそうなのだが、そのことが就職難や財政赤字などの形で本当に身にしみてわかってきたものだから、そろそろ慌て始めた人が増えた。何も気がついてない人たちが大半だが。
20年前ソ連が崩壊したとき、毎日パンの値段が倍増していくようなインフレに直面したロ
シア人は、溺れようとする人がワラをもつかむように、「日本モデル」やら「中国モデル」やら、全ての問題を打ち出の小づちのように解決してくれる奇跡を、国外に求めた。
同じことを、日本人が始めているということだ。情けない。自分で新しい富を作りだすしか、解決はないというのに。今ある富を分け直そうとしても、それはかえって成長を阻害したりして、自分で自分の首をいっそうしめていく。
それでもどこかに理想の分け方があるだろうというわけで、つまり社会福祉も経済成長も両方叶えてくれるものとして、デンマークやスウェーデンの北欧モデルが流行し始めた。そりゃその気持ちはわかるけど、どちらも500万人強の人口小国。いずれも工業国だが、500万人を養うために必要な企業の規模は大きくなくていい(スウェーデンには大企業が多いが)。1億人強が食べていかなければならない日本では、北欧の20倍の規模を持った富のジェネレーター=モノづくりが必要で、今のようにモノづくりが海外に流出する一方では、いくらデンマーク・モデルだ、スウェーデン・モデルだといったところで、富の基盤が不十分で経済が回らない。
で今日は手始めとして、デンマークの生活実感を拙著「意味が解体する世界へ」(草思社)から抜粋してお目にかけたい。いや、たしかに本当にいい国、本当にいい人たちなのだ。それでもアフガニスタンに出兵して、何人も亡くなっているが。
以下、上記のサイトでご覧ください。
◆河東 哲夫氏略歴
1947年東京生まれ。1970年東京大学教養学部を卒業後、外務省に入省。
ハーバード大学大学院ソ連研究センター、モスクワ大学文学部での研修を経て、東欧課長、在スウェーデン大使館参事官、文化交流部審議官、在ボストン総領事、在ロシア大使館公使、在ウズベキスタン・タジキスタン特命全権大使などを歴任。
東京大学および早稲田大学の客員教授を兼務。
*私が、ドイツで一緒だったのは、河東氏がまだ一等書記官の頃です。(私は、一等書記官を経て参事官でした)
デンマーク事情に関しては
坂之上介護福祉研究会(資料編)702 Denmark に、最近の動向をアップしています。51件。英語が多いですが、日本語もあります。