【陳さんのこと】
私は、勤務する大学では大学院専任なのですが、あと1年あまりということもあり、演習を担当する学生もいません。
現在、博士課程1年の陳さんへの講義を1つ持っているだけです。
院生1人・先生1人ですから、特定の時間だけではなく、空いた時間はいつでも講義時間になり、演習時間になります。
おととい(11月11日)の夕方、
議論したことは、
「中国の医療政策(医療費を保障するシステム)の長期方向」についてです。
日程的には、
11月26日の夜の講義時間帯で、博士1年生4人の「研究計画報告会」があり、その資料を来週11月20日までに提出する必要があります。
陳さんは、社会保障論を専門とされるT教授の演習で博士論文の指導を受けていますから、私との議論はあくまでも自由な立場からのものです。
このブログで再三陳さんが登場するのは、学部1年生への講義で陳さんがTA(ティーチング・アシスタント。有給)として手伝ってくれているためです。毎週、その準備、授業時間、後始末とお世話になっています。
【論文のメインテーマ】
おとといの論議のことは、このブログへの陳さんのコメント(11/12)を読んでも陳さんにとっても重要なものだったようです。
博士課程は3年間ですが、1年の今頃は、論文の構想手順と研究の段取りがはっきりと見えている必要があります。
修士論文の頃から、陳さんの研究内容を聞いていますので、それを踏まえて、おとといはかなり原則的な議論の整理をしました。
修士論文では、
・中国の医療の実態、とくに農村部における医療費の問題
・中国の医療政策の歴史
についてまとめています。
博士論文では、
「中国の医療保障の基本方向をどのように考えるか?」
として、陳さんの仮説を明確にし、それを踏まえた各論の構成、量的研究の方法
の大綱を確立すること
を意図して、白紙に戻った原則的な意見交換をしました。
【公的なシステムと商業的システムとの調和】
1 中国では、2009年4月から、国民皆保険に向けての長期計画が発表された。
2 従って、基本の方向は、政府から表明されたことになる。
3 ところが、これまでの研究からいえることは、すべてを公的なシステムに依存することは無理があるし、適切でもない。
4 具体的には、民間の保険会社による医療保険との併用です。
5 比較対象群として、日本の医療費政策を念頭に置く。この場合、日本の政策自体が、政権交代などもあり見直しを迫られていることに留意する。
6 仮説の大綱(原則論)を基に、医療サービスの供給、地域の資源配分、財源論などの各論事項を体系的に考察する。
*日本の制度と対比した先行研究(徐 林卉、王 文亮)は、中国政府の医療改革施行以前のもの。詳しくは、陳さんのブログ参照ください。
*写真は、加計呂麻島でリュウキュウアサギマダラ。徒然なる奄美 の2009.11.12付けの記事からお借りしました。
私は、勤務する大学では大学院専任なのですが、あと1年あまりということもあり、演習を担当する学生もいません。
現在、博士課程1年の陳さんへの講義を1つ持っているだけです。
院生1人・先生1人ですから、特定の時間だけではなく、空いた時間はいつでも講義時間になり、演習時間になります。
おととい(11月11日)の夕方、
議論したことは、
「中国の医療政策(医療費を保障するシステム)の長期方向」についてです。
日程的には、
11月26日の夜の講義時間帯で、博士1年生4人の「研究計画報告会」があり、その資料を来週11月20日までに提出する必要があります。
陳さんは、社会保障論を専門とされるT教授の演習で博士論文の指導を受けていますから、私との議論はあくまでも自由な立場からのものです。
このブログで再三陳さんが登場するのは、学部1年生への講義で陳さんがTA(ティーチング・アシスタント。有給)として手伝ってくれているためです。毎週、その準備、授業時間、後始末とお世話になっています。
【論文のメインテーマ】
おとといの論議のことは、このブログへの陳さんのコメント(11/12)を読んでも陳さんにとっても重要なものだったようです。
博士課程は3年間ですが、1年の今頃は、論文の構想手順と研究の段取りがはっきりと見えている必要があります。
修士論文の頃から、陳さんの研究内容を聞いていますので、それを踏まえて、おとといはかなり原則的な議論の整理をしました。
修士論文では、
・中国の医療の実態、とくに農村部における医療費の問題
・中国の医療政策の歴史
についてまとめています。
博士論文では、
「中国の医療保障の基本方向をどのように考えるか?」
として、陳さんの仮説を明確にし、それを踏まえた各論の構成、量的研究の方法
の大綱を確立すること
を意図して、白紙に戻った原則的な意見交換をしました。
【公的なシステムと商業的システムとの調和】
1 中国では、2009年4月から、国民皆保険に向けての長期計画が発表された。
2 従って、基本の方向は、政府から表明されたことになる。
3 ところが、これまでの研究からいえることは、すべてを公的なシステムに依存することは無理があるし、適切でもない。
4 具体的には、民間の保険会社による医療保険との併用です。
5 比較対象群として、日本の医療費政策を念頭に置く。この場合、日本の政策自体が、政権交代などもあり見直しを迫られていることに留意する。
6 仮説の大綱(原則論)を基に、医療サービスの供給、地域の資源配分、財源論などの各論事項を体系的に考察する。
*日本の制度と対比した先行研究(徐 林卉、王 文亮)は、中国政府の医療改革施行以前のもの。詳しくは、陳さんのブログ参照ください。
*写真は、加計呂麻島でリュウキュウアサギマダラ。徒然なる奄美 の2009.11.12付けの記事からお借りしました。
その本は、「医療制度は長期的な持続可能性を高めることができるように、保険財政・医療提供体制・民間保険の三つの観点から、論述しています。」とくに、医療制度改革のなか、「公的保険の給付範囲を重点化しつつ、民間保険が公的保険を補足していく」と、提言について興味が深いです。
コメントをいただき、ありがとうございます。
今の私にとっては、古瀬先生のご指導の下で、立派な論文が書きたいと思っております。またその研究成果(公的保険と民間保険との調和する)は中国の政府に提言したいです。
なお、今後ご鞭撻のほどをお願いいたします。
陳氏には、是非とも母校中国の、これからの福祉政策に関わってもらいたい。又、関われる人材であると確信いたしました。
本の26頁図表1-3(望ましい医療制度の類型)は、私の研究目的と同様だと感じました。
「標準的な公的医療を国民に等しく給付し、 税や社会保険料の負担を抑える。標準以上の 医療は個人が選択して自己負担で受ける。所 得に応じて受けられる医療の内容が変わって くる」
こうした考え方(低負担給付+自己選択)は、公的医療保険と民間医療保険との調和をとれることです。
中国の医療制度を考察するのに
アメリカの現状、それとオバマ政権の提案の動向を対照群とすることは「素人の意見」どころか
もっとも重要なポイントです。
ただし、
がんばる院生ほど網羅的になって
本筋を失うことがあるので
私としては
あくまで中国をしっかり研究する
故郷へ帰ってアンケートなどもする
という彼の今の研究方向を支持しています。
世界的に見て
今の段階で
アメリカがどのような進路をとるのか
(今のところは先進国では社会的なシステムとしては最低といわれています。医療技術は最高なのに)
また中国の行方も
多くの国々(途上国)が見ています。
毛沢東の頃には戻れないが
どのような公的なネットをひくのか。
教科書的に
世界の医療費システムを今の時代に講義するとすれば、
まず最初に大国でありながら医療費システムがないかあるいは不十分なため模索中のアメリカと中国を対比しながらとりあげるのが一番わかりやすいと思います。
*日本は、ヨーロッパのシステムの上澄みだけをまねてこれまた深刻な状態ですが、これの打開には世界の事例はあまり参考にならず、日本人自らが考えて選ぶ時期ですね。
アメリカもオバマ政権になり、国民皆保険制度を模索中との事です。又、アメリカも中国同様、今まで民間保険主体の国ですので、中国政府の考える、これからの保険制度とアメリカ政府の考える保険制度との比較も面白いと思いますが?