EOS 20D + TOKINA AT-X 107 DX FISHEYE
で、ふたたびの柳橋である。
毎日のようにこの両岸いずれかを自転車で駆け抜けるが、こうして堤に座り、じっくりと腰を据えて写真を撮っていると、なんとまあ風情ある場所なのかとあらためて感心してしまう。それもそのはず、ちょうど撮影に立っている場所一帯はかつての花柳界。それも神楽坂や赤坂、浅草、新橋らとならんで東京六花街の一つに数えられていた“名”花街だったのである。明治から昭和30年代まで全盛を極めた日本屈指の花街。その名残は橋と両袂の『小松屋』、それに川岸の柳と墨汁のような川面に強い残景として感じることができる。
そうやって在りし日のこの界隈の情景を感じつつ、少し顔を上げてみれば、艶々としたインテリジェントビルやマンションが川に覆い被さろうとしていることに気付く。
決して無粋なのではない――強者どもが夢の後、なのである。