国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第一回衆議院 運輸及び交通委員会 第2号から転載 3話目

2012-12-24 12:52:04 | 国鉄関連_国会審議
私自身がそうだったのですが、ネットの普及が無ければこうした国会審議などを読むことは無かったと思います。
しかし、ありがたいことにネットの普及でこうした昔の国会議事録なども簡単に検索して調べることができるようになりました。
終戦直後の国鉄(当時は運輸省)の現状が書かれているのですが、単年度の赤字が当時のレートで14億ですから、これも膨大な価格です。
昭和21年には47億の赤字・・・以下に戦後のインフレが酷かったか想像に難くありません。
石炭の費用だけで100億、収入が93億しかないと言う話であり、食費が10万円かかりますけど、収入が9万円しかないから何とか賃上げしてください見たいなものですよね。

> 最近終戰後の昭和二十年度におきましては、十四億程度の運營上の赤字公債を發行いたさなければ、二十年度の収入をもつて日々の經營を賄うことができなかつたような状態でございました。從いまして將來の改良、建設の方へ餘剰の金を振り向けることが當然できなかつた次第であります。二十一年度におきましては、その經營上の赤字が四十七億圓に達しまして、本年度はさいぜん政務次官から詳細御報告申し上げましたように、九十數億の赤字が今囘の運賃値上げを實施いたしましても、豫想せらるるような状況でございます。從つて私ども今囘運賃値上げをいたしますことによつて――もし値上げをいたしませんと石炭費だけでも本年度は百億圓かかるのでございます。それに収入が九十二三億しかございませんから、人件費も物件費も、石炭以外のものは何も拂はないでも石炭を買う金にすら事を欠くという状態でございまして、今囘の運賃値上げによつて最小限の經營上の各般の欠陷はこれを除去してまいりたい。たとえば車輛の修理にいたしましても、線路の修理復舊等にいたしましても、これらは全力をあげてやつてまいらんければならぬ。但しそれにしても九十億餘りの赤字が出ますので、この點さいぜん財務次官からも御説明申し上げましたように、積極的な經營の合理化である輸送力の増強、能率の増進、また消極的な經營の改善、合理化である諸經費、物資の節約、石炭等についても現在七%程度の節約をいたしておりますが、一〇%までそれを引上げて、それによつて生じた石炭をもつてさらに輸送力の増強に振り向けるというようなことで、最近旅客の方もかなり輸送力を増強いたしております。貨物につきましても、やがて月間千萬トン輸送が完成されようといたしております。
>  さらに私どもの目標は月に千二百萬トン輸送にまで高めてまいりたい、その際には物資の流通によつてインフレーションが促進されるというようなことはもうとうなくして、物資がきわめて圓滑な流通をすることによつて、インフレーションなり、地方的な價格の偏差を是正することができるのではないか。かような積極的な面についてあらゆる努力を拂つております。また從來しばしば從事員のサービスの面、あるいは車輛その他の整備の面についてもとかくの御批判をいただき、改善しなければならぬ點も多々ございましたが、これらの點につきましてもでき得る限りの努力をいたしまして、車輛の修繕を一日も早くやつてまいりたい。かように存じておるような次第でございます。

また、当時の線路の疲弊は酷く、値上げすることも理解できるが、線路の保守をきちんと行わないと、汽車に乗ること自体が非常に危険状況ではないかと指摘しています。
実際に、戦時中の鉄道の酷使された状況であり、戦時中に製造されたD52形機関車などはボイラーの爆発事故を起こすなど、機関車乗務員はもとより乗客にとっても危険極まりないものでありました。
その辺を成重衆議院議員が指摘しています。
残念ながら、ネット上で検索する限りでは、九州出身の議員としか判明しないのですが、ご存じの方おられましたらご教示願います。

線路等が非常に戰爭以來いたんでおり、この點についていろいろ事故等を起しております。汽車に乗ること自體が非常に危險を伴うということに國民は恐怖の觀念をもつておるのであります。私ども九州から通つておりますが、技術的に見て危險を感せられておる地域がたくさんあります。こういう點についてどの程度に大體保守關係等に對して御計畫をもつてなさつておるか。あるいは車輛の整備につきましても、運賃は次から次に數倍に上つていきますが、今日の車輪のあり方というものは非常に不健全な状態にありますことを私どもは見受けております。これに對してどういう車輛整備に關する御計畫をなさつておるか、具體的な御説明を願いたいと思います。

ということで、当時の国鉄の置かれた状況等も併せてみていただければ幸いです。


○伊能政府委員 ただいま政務次官から御説明を申し上げました中で、第二點につきまして私から佐々木さんにお答え申し上げます。
 御承知のように國有鐵道が平時の状態にございました當初は、年間の収入によりまして若干の利子も拂い、若干の剰餘金が生じておつたのが例になつております。それによりまして改良費、建設費の方へその餘剰の金額を繰入れ、それもつて鐵道の將來の整備、擴張を行つていく。もしその金額が足らない節は生産公債を發行して整備擴充するということが、從來の國有鐵道の運營の根本の建前に相なつておりました。ところが最近終戰後の昭和二十年度におきましては、十四億程度の運營上の赤字公債を發行いたさなければ、二十年度の収入をもつて日々の經營を賄うことができなかつたような状態でございました。從いまして將來の改良、建設の方へ餘剰の金を振り向けることが當然できなかつた次第であります。二十一年度におきましては、その經營上の赤字が四十七億圓に達しまして、本年度はさいぜん政務次官から詳細御報告申し上げましたように、九十數億の赤字が今囘の運賃値上げを實施いたしましても、豫想せらるるような状況でございます。從つて私ども今囘運賃値上げをいたしますことによつて――もし値上げをいたしませんと石炭費だけでも本年度は百億圓かかるのでございます。それに収入が九十二三億しかございませんから、人件費も物件費も、石炭以外のものは何も拂はないでも石炭を買う金にすら事を欠くという状態でございまして、今囘の運賃値上げによつて最小限の經營上の各般の欠陷はこれを除去してまいりたい。たとえば車輛の修理にいたしましても、線路の修理復舊等にいたしましても、これらは全力をあげてやつてまいらんければならぬ。但しそれにしても九十億餘りの赤字が出ますので、この點さいぜん財務次官からも御説明申し上げましたように、積極的な經營の合理化である輸送力の増強、能率の増進、また消極的な經營の改善、合理化である諸經費、物資の節約、石炭等についても現在七%程度の節約をいたしておりますが、一〇%までそれを引上げて、それによつて生じた石炭をもつてさらに輸送力の増強に振り向けるというようなことで、最近旅客の方もかなり輸送力を増強いたしております。貨物につきましても、やがて月間千萬トン輸送が完成されようといたしております。
 さらに私どもの目標は月に千二百萬トン輸送にまで高めてまいりたい、その際には物資の流通によつてインフレーションが促進されるというようなことはもうとうなくして、物資がきわめて圓滑な流通をすることによつて、インフレーションなり、地方的な價格の偏差を是正することができるのではないか。かような積極的な面についてあらゆる努力を拂つております。また從來しばしば從事員のサービスの面、あるいは車輛その他の整備の面についてもとかくの御批判をいただき、改善しなければならぬ點も多々ございましたが、これらの點につきましてもでき得る限りの努力をいたしまして、車輛の修繕を一日も早くやつてまいりたい。かように存じておるような次第でございます。
○正木委員長 委員長から皆様にお願いがあります。實はぜひない所用がありまして退席をいたさなければなりませんので、條章に基づきまして委員長代理職務として高瀬傳君をお願いいたしますから、どうかよろしくお願いいたします。では高瀬君どうぞ…
○高瀬委員長代理 それでは皆様のお許しをいただきまして暫時委員長代理をいたします。佐々木君何か御質問はありませんか。
○佐々木(更)委員 ありません。
○高瀬委員長代理 それでは通告順によりまして成重君に發言を許します。
○成重委員 この運輸交通委員會は陸運、海運竝にこれに附蔕いたします道路交通關係等も、これにやはり關係しておるのですか、その點をちよつとお伺いしておきたいと思います。たとえば關門國道というものは、この交通委員會がこれから檢討すべきの問題ですか。それともそれは國土計畫の方でやるべき問題ですか。
○高瀬委員長代理 今運輸交通に關する所管事項を譚み上げます。運輸及び交通委員會の所管事項は、陸運に關する事項、水運に關する事項、倉庫營業に關する事項、氣象に關する事項、これだけでございます。
○成重委員 道路關係は國土計畫にはいつておりますね。
○高瀬委員長代理 さうです。國土計畫の第一事項に國土、二番目に港灣、河川、道路、砂防その他土木に關する事項があります。
○成重委員 さいわい鐵道大臣がおいでになつておるようでありますし、多少高瀬君の質問と重複する點があるかもしれまんんが、簡單に質問の要點だけ申し上げまして、お答え願いたいと思います。
 鐵道運賃値上げは、昨年來たびたびにわたつて次から次に行われました。それに關連して、地方鐵道等が地方でいろいろな問題を起しながら、やはり鐵道運賃値上げに伴つて値上げされておるようであります。これから先のこうした鐵道の運營は、今のような獨立採算制による行き方では非常に困難であると私どもは考えるのであります。この獨立採算制によつて今後の鐵道を運營されるといたしましても、はたして妥當であるかどうかという點の將來の見透しについて、ひとつ大綱的なお考えをお伺いいたしますとともに、これに合わせて、アメリカあたりは主として會社經營でやつておると思いますが、イギリス等においては、あるいはこれは國營でやつておるところがあるのではないかと思います。先進國における鐵道經營の形態がどういう形によつて動いておるか、その點を御參考までに伺つておきたいと思います。
 第二の點につきましては、運賃値上げによる費用をもつて、鐵道自體の固定資本でやるべき保守等に充當することは妥當であるかどうかということをお答え願いたいと思います。
 それから第三には、經營の合理化については、いろいろ長官からのお話を承つておりますが、もう少し具體的に――私どもは今度鐵道が運賃値上げをするについては、結果においてはこうなるのだという、多少國民の納得のいくような經營の合理化に對する具體案を御明示願いたいのであります。たとえば往々巷間傳えられております鐵道内における人員の合理的配置轉換等に關して、どういう具體策をもたれておるのか。あるいは線路等が非常に戰爭以來いたんでおり、この點についていろいろ事故等を起しております。汽車に乗ること自體が非常に危險を伴うということに國民は恐怖の觀念をもつておるのであります。私ども九州から通つておりますが、技術的に見て危險を感せられておる地域がたくさんあります。こういう點についてどの程度に大體保守關係等に對して御計畫をもつてなさつておるか。あるいは車輛の整備につきましても、運賃は次から次に數倍に上つていきますが、今日の車輪のあり方というものは非常に不健全な状態にありますことを私どもは見受けております。これに對してどういう車輛整備に關する御計畫をなさつておるか、具體的な御説明を願いたいと思います。それからサービスをよくするというようなこともおつしやつておりますが、はたしてどの程度どういうことによつて從業員の方の御指導なさるつもりであるかという點もお伺いしたいと思います。運賃値上げに關連して必ず國民から起ります問題は、第一がサービスの問題であると考えるのであります。これらの點に對する具體的な御對策を御説明願いたいと思います。
 第四は地方鐵道であるとか、あるいは電車であるとか、殊に地方鐵道、電車等におきましては、地方的にみて獨占事業であるために非常に不合理な運賃、不合理な區間等によつて種々な問題を起しておることも私どもは見、聞き及んでおります。はたして鐵道が今度御計畫なされました通りの比率によつて、地方鐵道の運賃値上げを運輸省において認めるかどうかという點も、參考のために御説明願いたいと思います。以上四點について簡明に御答えを願います。

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