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第三章 分割・民営化攻撃の本格化と国労闘争
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第九節 国鉄改革法の成立と国労本部方針の揺らぎ
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├○ 一 衆・参同日選挙での自民党の圧勝と国鉄改革法案の成立 │
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国鉄改革法の成立
選挙後、自民党は中曽根総裁の続投を決め、9月11日に臨時国会を開会し、25日に国鉄改革八法案再提出にともなう趣旨説明が行われた。9月15日に開かれた衆議院本会議において「国鉄改革に関する特別委員会」の設置を、賛成多数で可決した。
国会に再提出された国鉄改革関連法案は、「日本国有鉄道改革法案」「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法案」「新幹線鉄道保有機構法案」「日本国有鉄道清算事業団法案」「日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案」「鉄道事業法案」「日本国有鉄道改革法等施行法案」「地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案」である。
「日本国有鉄道改革法案」は分割・民営化の基本的な改革理念を盛り込む監理委員会の答申を忠実に条文化した法案で、87年4月1日に国鉄改革を実行し、東日本など旅客六会社と貨物会社を分離すること、新幹線については新たに保有機構を設立し一括保有して貸し付ける、現国鉄は新事業体を分離した後、清算事業団となり、北海道、四国、九州の三旅客会社については経営安定化のための基金を設立する、という内容であり、国鉄分割・民営化の基本法の性格をもっていた。
「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法案」は、新設される会社の目的・事業や新会社設立の方法などが盛り込まれている。「新幹線鉄道保有機構法案」は東北・上越・東海道・山陽の四新幹線の鉄道施設を一括保有し、本州の三旅客会社に貸し付けることを目的とする保有機構について定めた法案であるが、整備新幹線は除外してある。日本国有鉄道清算事業団法案」は、長期債務の処理、国鉄の土地その他のしさんの処分などをおこなうとともに、新会社に不採用となった職員の再就職にあたることを目的とする清算法人を設立することを定めてある。「日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法案」は、3年の時限立法であり、希望退職者と清算事業団職員の再就職を援助・促進することを趣旨としている。以上の五法案が分割・民営化の基幹法案である。
そのほかに、民営化した新会社と私鉄等を一括して規制する。「鉄道事業法案」と「日本国有鉄道改革法等施行法案」、「地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案」の3法律案が関連法案として提出された(法律の詳細は四章三章)。
これらの法案は「特別委員会」で集中審議されることになり、9月25日から本格的な論戦が始まった。
社会党は、前述した「非分割・株式会社化」の独自案を国会に提出し、国鉄の公共性維持を主張した。共産党は、分割・民営化に反対し、「要員削減で安全上の問題もでる」だけでなく、国民の交通権を確立するために公的企業として国鉄を維持すべきだと強調した。公明党は分割・民営化に賛成であるが、本州分割で二分割案を提唱した。民社党は政府案に賛成であった。
衆参両院の国鉄改革特別委員会を中心とする国鉄改革法案の質疑時間は、衆議院で約56時間、参議院で約46時間であり、問題の大きさ、広さから言っても十分な論議がつくされたとは言えなかった。しかも、質問に対して政府が十分な答弁をしなかったり、明確な方針を示さず曖昧なままにした課題があった。新会社発足に伴って生ずる問題点を盛り込んだ付帯決議が特別委員会で法案とともに採択された。付帯決議の骨子は次の通りである。
① 国と各旅客会社は収支の改善を図り、地域鉄道網を健全に保全し、運賃の適正水準維持に努め、輸送の安全確保に万全 を期す。また、陸海空の交通環境変化に対応しうるよう総合交通体系の整備・確立を推進する。(②、③略)。
④ 特定地方交通線については、地域社会経済に与える影響を慎重に検討し、自治体等と十分協議し、取り扱いを定める。
⑤、⑥略)。
⑦ 長期債務処理は各年度予算で的確な措置を講ずる。また旅客会社等の株式売却については公正性確保等で慎重な検討を行う。(⑧略)。
⑨ 国鉄職員の雇用と生活の安定を図るため、
イ、新会社の採用基準と選定方法は本人の希望を尊重し、所属労組で差別されぬよう特段の留意をする。
ロ、再就職職員の公的部門受け入れは改革実施前に一括採用を内定するよう極力配慮する。
ハ、北海道、九州など再就職困難な地域では、できる限り新事業体で吸収するよう努める。
ニ、基本的賃金、労働条件については国鉄と関係労組とで十分協議するよう配慮する。
ホ、地域異動者に公的住宅の確保、高校の確保と転・編入の内申書による選考などの措置を講ずる。
⑩ 国鉄共済年金については89年度までの分は掛け金・給与に影響させることなく、国鉄の自助努力と国の責任で処理するよう86年度中に財源措置の結論を出す。
(⑪、⑫、⑬略)。
そして、86年11月28日、参議院本会議において国鉄改革八法案は、自民党、公明党、民社党、新政クラブ、サラリーマン新党などの賛成によって成立した。
続く
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