「無料より安いものもある」
ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー著、櫻井祐子訳、ハヤカワノンフィクション文庫、2021年11月
日常生活におけるさまざまな出来事や判断を行動経済学の観点から解説した本。
行動経済学の書籍、なかでもダン・アリエリー教授の著書は何冊も読みましたので、
目新しい理論はなくなってきました。
ただ理論を裏付けるエピソードが興味深いので、つい購読してしまいます。
【お金についてどう考え、どんなまちがいをしでかしてしまうのか】
・同じ60ドルのシャツでも、定価60ドルのシャツと定価100ドルのところ40%割引の60ドルで売られているシャツでは、後者を選んでしまう
・低中高3つのモデルがあると真ん中のものを選んでしまうが、それは往々にして売り手が一番売りたい品
・クレジットカードを使うとき、金離れがよくなる
・自分が所有しているものの価値を高く評価してしまう(授かり効果)
・自分に少し取り分があったとしても、相手の提案が不公正だと思えば、その提案を拒否する(最後通牒ゲーム)
・技能が高く効率的なサービスよりも、無能なために時間がかかるサービスに高いお金を払ってしまう
・表現方法は製品・サービスに対する私たちの感情を変化させる
・売り手は彼らの短期的利益に走り、買い手の長期的利益には配慮しない
自分も、クレジットカードやキャッシュレス決済は、現金よりも気軽に使ってしまうので、
こまめに明細を確認したり、オートチャージは利用しないようにしています。
一方で、日本はまだまだ現金志向が強く、クレジットやキャッシュレス決済比率が低いことが、
消費が活性化せず、経済が停滞している要因の一つではないかと思ったりもします。
長い目で見ると、コロナでキャッシュレス決済が進んだことは、
日本経済回復の一因となるかもしれません。
本書の内容では他に、
・機会費用(なにかをするために、今またはあとであきらめなくてはならない費用)
・サンクコスト(埋没費用。いったんなにかに投資すると、その投資を簡単にあきらめられなくなること)
は投資に限らず、日常において意識しておきたいです。
関連エントリ:
【ダン・アリエリー著書】
アリエリー教授の「行動経済学」入門
ずる
不合理だからすべてがうまくいく
予想どおりに不合理
【行動経済学関連書籍】
愛と怒りの行動経済学
それをお金で買いますか