貿易実務用語の知識体系

制度変更に記事のアメンドが追いついていない箇所もありますのでご留意ください。             

並行輸入

2007年01月14日 | マーケティング
海外の有名ブランド品等を、日本の正規Distributor以外の第三者が、外国で合法的に製造・販売された正規品(真正品)を外国で購入し、正規Distributorルート以外のルートで輸入する行為。

以前は日本の正規Distributorが商標権を持っている場合、商標権侵害として輸入の差し止め等が認められていた。

パーカー万年質事件―大阪地裁昭和45年2月27日判決では、 第三者の輸入販売しようとするパーカー社の製品と正規Distributorの輸入販売するパーカー社の製品とは全く同一であって,その間に品質上些かの差異もない以上,「PARKER」の商標の付された指定商品が第三者によって輸入販売されても,需要者に商品の出所品質についての誤認混同を生ぜしめる危険は全く生じないのであって,右商標の果たす機能は少しも害されることがない、として並行輸入が認められた。

並行輸入についての最高裁判決(BBS事件)(平成9年7月1日)では、特許発明に係る製品を譲渡した場合には、特許権はその目的を果たして「消尽」し、もはや特許権者は当該製品の使用等につき、特許権に基づく権利行使をすることができないとして、真正商品の並行輸入は、特許権侵害を構成しないとした。

なお、並行輸入と称し偽造品を販売する場合があるが、これは並行輸入には該当しない。

【輸入】わが国の輸入貿易管理

2007年01月14日 | 貿易実務
【1】原則
(1) 原則→自由
(2) 関税法の輸入の定義
①外国から本邦に到着した貨物を本邦に引き取ること
②外国の船舶により公海で採捕された水産物を本邦に引き取ること
③本邦において輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ること

【2】例外
(1) 輸入貿易管理令:
外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るという観点→輸入公表・輸入発表→経済産業大臣の承認(有効期間■■■■)が必要。
答:6ヶ月
・輸入公表とは:経済産業大臣が、輸入に必要な事項を公表する告示
→輸入割当を受けるべき貨物の品目
→輸入についての承認を受けるべき貨物の品目
・輸入発表とは:輸入公表により、輸入割当を受けるべきものとして公表された品目について、輸入割当申請手続きを定め、公示するもの。
・輸入承認の特例→総価額が18万円以下の無償貨物(総価額が18万円以下でも優勝は特例不可)


①輸入割当(IQ)品目→I/L(Import License)→輸入貿易管理令第4条1項:輸入承認が必要。 IQ品目には、「非自由化品目」と「国際協定品目」とがある。
(イ)「非自由化品目」(輸入公表別表1)
(資源保護・農業協定)にしん、たら、すけそうだら、たら(すけそうだらを含む)の卵、煮干し、ぶり,いわし、あじ、さば、さんま、帆立貝、貝柱、いか、干しするめ,食用の海草及び海草の調製食料品といった水産物
(生活保護)麻薬取締法等
(安全保障)銃刀法、核燃料物質等
*麻薬や拳銃は法令により認められているものであれば輸入は可能(相対的輸入禁制品)
(ロ)国際協定規則 (輸入公表別表1の2):輸入承認
・ワシントン条約付属書 I に定める野生動物とその加工品(もっとも保護が必要な動植物。商業取引禁止。動物園含め学術目的として輸出入両国の許可があった場合のみ可。)
・モントリオール議定書附属書ABC等に定める物質(特定フロン等)
・2国間協定 絹織物(中国)

輸入割当(IQ)品目= (イ)「非自由化品目」と (ロ)「国際協定品目」

輸入割当 原則数量割当。数量ムリなら価額。JETRASにより輸入割当申請可。

I/L(Import License)
I/Lを受けたがその貨物の全部または一部を使用しなくなった→遅滞無く希望しない割当量を記入してI/Lを経済産業大臣に返還。

輸入承認

②輸入承認【第二号】(輸入公表第2号)→ 経済産業大臣の承認を受けないと輸入できない品目
(イ)特定の原産地または船積地域からの特定貨物の輸入
・国際条約等→鯨、絹織物、さけ・ます(中国北朝鮮台湾)、本邦に属さない海面を船積地域とする水産物
・二国間協定
・国連経済制裁
(ロ)国際協定規制
・ワシントン条約非加盟国からの付属書II,IIIの動植物を輸入→経済産業大臣の輸入承認要(まず承認されない)
・条約加盟国たる輸出国の管理当局が発給した輸出許可書または輸出証明書の原本を提出→輸入承認不要。
・特定有害廃棄物(バーゼル条約)
・モントリオール議定書非締約国からの同Dにか翳れれ手いる製品

③輸入確認【第三号】事前確認品目および通関時「確認」品目
(イ)経済産業大臣、厚生労働大臣などによる事前の確認を要する「事前確認品目」→Exワシントン条約付属書 II,IIIの動植物を条約加盟国から輸入する場合、治検用微生物ワクチンおよび免疫血清の輸入など
(ロ)各省庁から取得した各種の証明書を通関時に税関に提出して確認を受ける「通関時確認品目」→Ex けしの実および大麻など

ワシントン条約(通称CITESサイテス 外務省HP
・付属書
I(絶滅の恐れあり、含む人工飼育)
From加盟国、非加盟国とも:商業取引禁止 個人、学術利用の場合①輸出国の許可 ②輸入割当→I/L→経済産業大臣承認 
II(絶滅可能性あり), III(保護) (II,IIIは人工飼育除く)
From加盟国:加盟国たる輸出国の許可証あり→輸入承認不要 無し→事前確認必要。From非加盟国:経済産業大臣承認(まず承認されない)
・動植物の加工品も対象

(2)輸入禁制品→関税定率法
関税定率法で輸入が禁止されている物品:5分野
<相対的輸入禁制品> 他の法律の規定により特別に輸入が認められるもの、例えば、麻薬、大麻等の麻薬類、拳銃については、政府及び政府の許可を受けた者は、輸入できる。
① 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤及びあへん吸煙具
② けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
<絶対的輸入禁制品>
③ 貨幣、紙幣、銀行券又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード
④ 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
⑤ 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
(税関長から知的財産権侵害物品と認定→輸入者が知的財産権利者から同意書取得→輸入可。)

関税定率法等の一部を改正する法律 
成立:平成15年3月28日 施行:平成15年4月1日
-育成者権侵害物品を輸入禁制品に追加

【3】輸入差止申立制度
(1) 認証手続申立:
①特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権
→自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合には、「税関長」に輸入の差し止めを申し立て、侵害物品か否かを認定するための手続をとるよう申し立てることができる。
② 回路配置利用権者:輸入差し止めの申立は出来ない。(差止めのための情報提供はできる:輸入差止情報提供制度→回路配置利用権を侵害する物品が輸入されようとする場合に、輸入を差止めるために回路配置権利用者が税関長に対し、権利の内容や侵害に関する証拠等の情報を提供するもの。)
(2) 金銭供託:
認定手続が終了するまでの間に輸入者が被るおそれのある損害(逸失利益、倉庫保管料等)の賠償を担保するため、必要に応じて申立人に対し、相当と認める額の金銭を供託するよう命令することがでる。この命令に従わない場合には、税関長は、認定手続を取り止めて輸入を許可する場合がある。
(3) 特、実、意:税関長に、特許発明当の技術範囲である事について、「特許庁長官」の意見を求めるよう要求可。
(4) 没収/金銭供託:
認定手続を終了したときは、認定結果を権利者及び輸入者に通知し、申立人の権利を侵害すると認定した場合には、その貨物を没収するか又はその輸入者に積戻しを命じることができる(ただし、商標権を侵害する物品は、積戻しは認められない)。

【4】その他の法令による輸入規制、国内販売規制
(1) 食品衛生法→食品等輸入届出が必要。
①原則→輸入食品だけでなく添加物、調理用器具、容器包装、幼児用玩具なども対象。
・食品衛生法で輸入禁止されている貨物:検査合格証が発行されない→港湾、空港を管轄する検疫所に食品等輸入届出書を提出して合格しないと税関に輸入申告できない→輸入できない。
・食品衛生法で輸入を禁止されていない貨物:輸入者は厚生労働大臣あての「食品等輸入届書」を検疫所の長に届ける→審査の結果問題なくば届出済み印が押されて返却。
②例外→食品等輸入届出手続きの簡素化・迅速化の制度
(イ)事前届出制度
すべての食品等について、貨物到着予定日の7日前から届出書を受け付けており、書類審査により検査の必要な場合はその旨連絡される。 検査の必要な物等を除き貨物到着前又は搬入後速やかに届出済証が交付される。
(ロ)外国公的検査機関の検査結果の受入
輸出国の公的検査機関で事前に検査を受け、その成績書が添付されている場合は、当該貨物について検疫所における当該検査が省略される。ただし、輸送途上において変化するおそれのある項目(細菌、カビ毒等)は除く。
(ハ)同一食品等の継続的輸入(計画輸入制度)
同一の食品等を繰返し輸入する場合、初回輸入時届出書に検査成績書を添付し、審査の結果問題がなければ、当該食品等及びその製造加工業者を登録することにより登録された食品等については、輸入時検査が一定期間省略されると共に、届出後速やかに届出済証が交付。

(2) JAS法→生鮮食品輸入販売で、原産地表示要。
① 輸入食品の賞味期限表示→食品の国際規格である■■■■にあわせ義務付け。
答:CODEX
② 品質劣化しやすい食品(品質保持期限5日以内)→消費期限(食べられる期限)を年月日で表示
③ その他の食品→賞味期限(おいしく食べられる期限)を年月または年月日表示
④ 輸入年月日の表示は特に義務付け無し。

(3) 植物防疫法
① 植物とその生産物に付く病原菌や害虫などが輸入貨物と共に国内に入り込むのを防ぐために、特定の貨物に対して検査を行う旨規定。
・植物防疫法、家畜伝染予防法は動植物によっては輸入港、空港を制限している。
② 対象品目:植物、植物の加工品、漢方薬など
・対象品目の輸入には輸出国の検疫機関が発行した植物検疫証明書 Phyto Sanitary Certificate が必要。また、輸入できる港湾や空港が指定。
・果物、野菜:植物防疫法の検査→食品衛生法による届出または検査→税関も必要に応じて関税法上の観点から検査 動植物の検疫は原則として二重検疫体制。
③ 輸出貨物:相手国がわが国の検査証明書を要求している場合、日本の検疫が必要。

(4) 家畜伝染病予防法  羊毛、ベーコン(+食品衛生法)

(5) バーゼル条約における特定有害廃棄物の輸出入→経済産業大臣の輸入承認

(6)フロンなど、オゾン層を破壊する物質→経済産業大臣の輸入承認

(7)関税法70条
① 輸入することにつき他法令で許可承認が必要な貨物は、輸入申告の際に許認可証等により証明を要求。
② 輸入貨物について検査、一定要件を満たす事を他法令で定めている貨物は税関の審査、検査の際に証明する事。

以上



WTO,セーフガード

2007年01月14日 | 貿易実務
【1】WTO:World Trade Organization(世界貿易機関)
(1) 沿革
・世界的な貿易自由化を推進することを目的とした機関
・現在140カ国ほどが加盟
・GATT: 第2次大戦後世界的にモノの自由貿易を推進するため、GATT(General Agreement on Tariffs and Trade:関税と貿易に関する一般協定)=国際協定(条約)締結。1947年、最初の関税率引き下げ交渉。加盟国が多角的貿易交渉(ラウンド)を行うことにより、関税引き下げや輸入制限の撤廃などを実施。(例:ウルグアイラウンド:原則として農産物の輸入制限撤廃→関税化に移行)。 サービス貿易、知的財産権等も含め、WTOに承継。
日本:
・1996年11月 ウィスキー、コニャック、ブレンデー等に対する酒税が焼酎に比べ高率であるとして、GATT違反とされ酒税法改正等で対応した。
・コメの自由化したくなかった。ウルグアイ合意によりミニマムアクセス(最低輸入量)を受け入れたが、それを押さえるために97/4より関税化。

1995年にGATTを発展的に解消しWTO設立。
ガットは協定の名前、正式な国際機関ではなかった→WTOは正式に国際機関。→少なくとも2年に1階開催される閣僚会議が最高の意思決定機関。
いわゆる「WTO協定」:「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(通称:WTO設立協定)」及びその付属書に含まれている協定の集合体。
・付属書1~3:WTO設立協定と一体のものであり、WTO加盟国となるためには、WTO設立協定と付属書1~3のすべてを一括して受諾必要。
・付属書4:各加盟国がこれらの協定を受諾するかしないかを選択することができ、これらの協定は受諾国の間でのみ有効。

(2) 付属書
①付属書1
・附属書1A:物品の貿易に関する多角的協定
(A)1994年の関税及び貿易に関する一般協定
(通称:1994年版ガット。従いWTOによりGATTが廃止になったわけではない)
(B)農業協定 ex関税割当品目
(C)衛生・植物検疫措置の適用に関する協定(通称:SPS協定)ex.偶蹄類の動物
・WTO上級委員会は2003年11月26日、 米国から輸入するリンゴに対する日本の検疫制度は十分な科学的根拠を欠き厳しすぎるとしてSPS違反とする米国の主張を認めた。
(D)繊維及び繊維製品(衣類を含む)に関する協定(通称:繊維協定 ATC)
・ 日米政府間の協定で実施されていた我国からの米国向け繊維製品のビザ制度は、WTOの繊維協定がGATTに統合したことから2005/1/1より廃止された。
(E)貿易の技術的障害に関する協定(通称:TBT協定) ex 工業標準化法
(F)貿易に関連する投資措置に関する協定(通称:TRIMs協定) Trade Related Inestment Measures 投資に関する制限を明示的に禁止。ローカルコンテント比率引き上げ要求、輸出入を均衡させる事を求める要求、出資比率成約、外国送金規制。
(G)1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定(通称:アンチダンピング協定)
中国は、日米、韓国、台湾、ロシアを原産地とするポリ塩化ビニールの価格によって国内産業が被害を受けているとして、反ダンピング関税を2003年9月29日から5年間徴収する事を決定した。
(H)1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定(通称:関税評価協定)
(I)船積前検査協定 (PSI) ex国際的検査機関
(J)原産地規則に関する協定
(K)輸入許可手続協定 ex 輸入承認制度
(L)補助金及び相殺措置協定→相殺関税
(M)セーフガード協定→緊急輸入制限、緊急関税

・附属書1B:サービス貿易に関する一般協定(通称:GATS)
サービス貿易における最大の障害である各国政府の規制を軽減することにより、3つの原則である最恵国待遇、市場アクセス、内国民待遇を実現してサービス貿易の国際的な拡大を目指す。
・附属書1C:知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(通称:TRIPs協定) ex並行輸入

②附属書2:紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(通称:紛争解決了解) DSB (Dispute Settlement Body)
→WTOによる紛争等を解決するための小委員会は、これを設置する事を加盟国が一致して反対しなければ(つまり、1カ国でも賛成があれば)設置される:「ネガティブ・コンセンサス方式」

③附属書3:貿易政策検討制度(TPRM)

④附属書4:複数国間貿易協定

(3) 米国のジャクソン・バニック条項
米国1974年通商法第4編(ジャクソン・バニック条項)により、移民の自由を認めない非市場経済国とは、最恵国待遇(MFN)を供与するための通商協定を締結することができないという規定。しかし、この条項では適用免除規定があり 大統領の権限で最恵国待遇を付与できる。そこで、WTO加盟前の中国に対しアメリカは最恵国待遇を毎年更新してきた。しかし、中国がWTOに加盟するとこれでは加盟国間での最恵国待遇を原則とするWTO協定違反になってしまう。
中国のWTO加盟に際し、米国が中国に対するWTO上の義務を履行するためには、中国に対して恒久最恵国待遇の供与を禁止している1974年通商法上の規定(ジャクソン・バニック条項)を適用しない旨の法律(対中PNTR付与法)を成立させた。

cf.GATT「無差別の原則」
①最恵国待遇の原則:特定の国を差別したり優遇しないで、すべての国に、他の国に与えている条件よりも不利にならない条件で協定を結ばなければならない。
②内国民待遇の原則:輸入品を税制や国内規制の適用面で、国産品に比べて不利に扱わないという原則。

【2】セーフガード
(1)「緊急輸入制限措置」輸入品の急増で国内産業が大きな損害を受けることを回避するため、
①政府が関税を引き上げたり 
②輸入量を制限したりして、(cf特別セーフガードは関税引上げのみ)
一時的に輸入品の流入を抑える制度。
WTO(世界貿易機関)のセーフガード協定で世界各国に認められている。
(2) 予見し得ない事情による輸入の増加や重大な損害の発生、国民経済上の緊急の必要性などの条件を満たし、政府が必要だと判断した場合に発動できる。(これらの条件を満たさずに発動すると、WTOが取り消しを命じる場合もある)
(3) セーフガードの種類
①一般セーフガード
対象:工業製品や農産物など、すべてのもの。
発動期間:原則4年(延長して8年まで)。
発動条件:日本ではまだ正式には発動した実績はない。
・発動条件を満たしているかどうかを、利害関係者(生産者、消費者、商社など)の意見を幅広く聴取し実態調査を行ったうえで、政府が客観的に判断しなければならない。
・措置を行う相手国に対して、同意を求めるための協議を行わなければならない。合意が不成立になった場合は、輸出国には対抗措置(報復措置)をとる権利がある。
2002年3月に発動された米国の鉄鋼セーフガードに対して我が国は対抗措置としての関税リストをWTOに通報していたが、11月WTO上級委員会は日本、EU等の主張を認め米国はWTO違反と決定し、米国はセーフガードを撤廃した。
・相手国と協議をする場合、その品目の輸出を中止してもらう代わりに別な品目を輸入するなどの、貿易上の補償を適切な形で与えなくてはいけない。
・輸入制限を行う場合には、過去3年間の輸入実績の平均を下回らないような措置を取る必要がある。
・発動期間中は、輸入制限の措置を徐々に和らげていかなければならない。
②繊維セーフガード
・繊維および繊維製品を対象としたもの。これも日本ではまだ発動の実績はない。
・中国のWTO加盟に際し中国からの繊維などの輸入が急増した場合、相手国がその輸入を制限しやすくする対中特別セーフガード(緊急輸入制限)が2008年まで認められた。 →2005年より中国は輸出繊維製品の多くに輸出税を課した。

③特別セーフガード
 WTO農業合意によって自由化(関税化)した農産物だけを対象にするもの。対象品目の輸入量が一定の量を超えた場合に、自動的に発動される。発動期間も1年足らずと短く、発動の条件も緩い。日本でも豚肉や生糸などで発動された実績がある。

一般セーフガードと特別セーフガードの比較
一般セーフガード(SG)      特別セーフガード(SSG)
関税引上げ/輸入数量制限    関税引上げのみ
対象品目全品目         農産物
4年(8年) 協議制         1年 自動的に発効