映画鑑賞検定3級blog

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「善き人のためのソナタ」

2007-03-28 | その他の国の映画
アカデミー外国語映画賞に選ばれていたこの映画。邦題に弱い私には猛烈に来るものがあり、チネチッタでの上映もあることだし友人と行って来ました。大きなスクリーンだったのでビックリ。そんなに人は入ってなかったけど・・・。

東ドイツの共産主義の中でシュタージという国家保安省で国民の監視活動を行っているヴィースラー。社会主義に忠実な彼に命じられた次の仕事は、劇作家ドライマンの監視だった。彼の活動を昼夜監視していたヴィースラーはある日盗聴器を通じてドライマンの友人であった劇作家が残していった楽譜”善き人のためのソナタ”を弾くのをを耳にする。



ちょっと泣きそうでした。かなり好きです、この映画。

旧東ドイツのこととかには決して詳しい人間ではない私。むしろ、疎い方です。
シュタージという言葉も初めて聞いたようなもんだし、壁が崩壊した時も”ふ~~ん、そうなんだ・・・”ってくらいのもんで、ニュース聞いてもよくわかっていなかったほどです。

でもそんな私でも、壁が崩壊した後、自分の監視されていた情報を閲覧できる、なんてそんな状況になったとしたら、そりゃあ恐ろしい話よ。
それを巧みに使った”協力者”によって、たくさんの人が逮捕されていくわけです・・・。お~~、恐ろしい。

でも、そんな中でもこの映画って、”東はいやだ~~!西に行かせろ~~!”っていうばっかりの映画っていうわけでもなくって、キチンとその訳がわかるような作りがいい。

共産主義の作り上げた体制の腐敗(特に一番腐敗していた時期なのでしょう)をキチンとドラマ的にえぐってる感じがするのに、社会派なだけではなく、キチンとヒューマンドラマになってるんですね。映像も冷たそうでグレーな感じで、とても良かったし、静かに盛り上げる音楽も素晴らしかった。

なんかね、とにかく本当に静かなんですよ。でもね、なんか、すごくうまく出来てる、っていうわけではないところが逆にいいような気がしました。

寒そうな映像に馴染みきってしまうようなシュタージの制服。さりげなく、でも人工的に植えられているようで、でも妙に悲しげだけどキレイに見える道端の花なんかがすごく印象的。

主演のウルリッヒ・ミューエ、完璧なのじゃないでしょうか。
本当に素晴らしかったと思います。

「いい報告書だ」

最高でしたね、あのセリフ。レニエ軍曹もいい味出してました。

壁の崩壊も驚くほどあっさりと描かれていたのに、ヴェルナーの表情だけで色々伝わってきて、すごく良かったです。

ラストも、ただ合うんではダメなのよ。あのラストがいいんだ。本屋、あんた、いい仕事したよ!

エンドロールのすごく素敵な音楽に、思わず涙が出そうになりました。
感動ってなんなんでしょうね。
よくわからないけれど、とにかく、自分が今こんな風にバカなblogを書いているということがどれだけ平和なことかって事を感じさせてくれるような映画でした。

西に太陽が昇る、とジョークを言った学生。
あいつ、壁崩壊をヴェルナーに告げた人ですよね?
ジョークをお偉方に聞かれただけで、出世の道は閉ざされ、手紙を開封する仕事に回されてしまう・・・。
ヴェルナーとあいつ(名前わからん・・・)と同じ処分とは・・・。
不条理なり、旧東ドイツ

実はストーリー的には結構ハードボイルド?と思わせてくれるようなお話で、頭の悪い私のような人間でも楽しめる良作です。

そういえば、東ドイツって食糧不足だったりしたのでしょうか?
みんな食べてるものが非情に質素で、美味しくなさそうなものばかりだったのが印象的です。

http://www.yokihito.com/index.html


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
グレーな景色 (Nyaggy)
2007-04-01 21:18:25
こんばんは!
グレーな寒い色合いの中で、道端の花の色が映えてて…っておっしゃる通りですね。
ウルリッヒ・ミューエの繊細な演技は素晴らしいですよね~。私もあのセリフ、好きです。
壁崩壊を告げた若い男性って、例のジョークを言ってた人だったんですか?そういえば、そうかも…。観てる時は、全然気がつきませんでした。
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>Nyaggy様 (微妙)
2007-04-02 17:46:10
こんにちは♪
自信ないんですけど、そうかなって思ったんですよ、あの若者。
M部隊所属って言っていたので、それもそれっぽいんですよね・・・。
顔はきちんと覚えていないので、あまり自信はないです。
あんなふうに色がないように撮れるのってすごいですよね。
あとからじわじわ思い出してしまいそうな映画ですね。
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TBありがとうございました (sakurai)
2007-05-01 11:24:02
いろいろとTBありがとうございました。
あの青年は、ジョーク飛ばしてた青年でしたね。
しっかり左遷されていたという。
東ドイツのあの頃を描いたものは、昔のハリウッド映画で、「トパーズ」とか、「鉄のカーテン」なんていうのがあって、結構はらはらどきどきのサスペンス映画が多いのですが、これは味わいがあってよかったですね。
>共産主義の作り上げた体制の腐敗
厳密に言うと、そうではないのですが、またまた厳密に言うと、共産主義と社会主義というのも違うのですが、社会主義国家のたどった道を見ると、そう感じますよね。

もし、興味がありましたら拙HPにお勉強コーナーがあって、ドイツと社会主義のこともありますので、お暇がありましたらどうぞ。
http://sakura1043.web.infoseek.co.jp/benkyou.htm
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タイトル (GMN(TRUTH?ブログエリア))
2007-05-02 21:51:37
何となく気になってしまう邦題ですよね。
善き人って一体どういう人の事を言うんだろう?みたいな。
でもってその音楽が流れる。これのことか。でも思ったほど音楽が鍵になるって感じでは無いな・・・などとも思いつつあのラスト。ぐっと来ちゃいますね。
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お返事送れて申し訳ありません。 (微妙)
2007-05-07 17:40:59
>sakuraiさま
うわぁぁぁ。自分の無知さが露呈している(^^;;;;
HP拝見しました。とても勉強になりました。
こういった場で勉強することができるというのはとてもありがたいことです。感謝感謝です。
また、稚拙なことを言ってしまうかもしれませんが、そのときはまたこうしていろいろ教えてください。

>GMN様
そうなんですよね、邦題がいいですよね。
音楽がキーなのかと思いきや軽く流してラストにいって、最後はエンドロールの曲が泣けたので、音楽に対してありがたみを感じてしまうような気がして、本当にいい邦題だったと思いました。
カタカナのタイトルより想像力がかき立てられるので邦題って好きなんです。
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