愛煙家の多事総論

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ゲルマン魂真骨頂

2006-07-01 16:17:15 | 独W杯
ゲルマン魂・・・と言ったって、実際にドイツ人がその言葉を使っているわけではない。スペインに対して無敵艦隊と言ったりするのも、ドイツに対してゲルマン魂云々言うのも、日本だけだ。

が、昨日のドイツには確かにゲルマン魂があったよ!!!間違いなく!!!


ということで、見事ドイツ勝利!!六本木のドイツ人バーでドイツ人と団子になりながら見てたんですが、同点ゴール時にはテーブルがひっくり返り、レーマンとカーンの握手時にはみんなでうきゃうきゃとサルのように興奮し、レーマンがPK戦でスーパーセーブをした時には店の親父が「ドイッチュラーン!!」と吠えて、仕事を終えたレーマンがカーンのところに駆け寄って抱きしめたシーンになると、みんなで泣きながら肩を組んでドイツの国歌を歌いだす・・・。
あんまりにも五月蝿かったのか、ほかの店からクレームでも言ったのか、警察が来てその場にいた連中全員注意されちゃいました。

が、それくらい興奮し、嬉しかったドイツ勝利。ドイツ人にとっては勿論、俺にとっても。正直「勝ってくれ!」とは思っていたが、勝てる相手ではないと思っていた。選手層は異常に厚いし、攻撃は分厚いし、守備も厚い・・・厚い厚い厚いとひたすら厚いアルゼンチン。対するドイツはどこか薄っぺら。実際、昨日のドイツ代表の守備は、薄っぺらいどころではなかった。超薄って感じ。

では、試合の寸評を。

前半は激しいボールの奪い合いとなる。どっちかというとアルゼンチンの方がペースは上向きだった。ボールポゼッションはドイツ35のアルゼンチン65の時間帯もあったので、アルゼンチンがやや押していたことは確かだろう。しかしドイツの守備陣は何度かミスをしながらも、何とかアルゼンチンの攻撃を凌いでいた。DFに必要なのは技術や経験ではなく気持ち・・・かつてマルディーニがそう語ったが、なるほどドイツの守備には気持ちが入っていた。経験と技術はなかったが。そんなドイツの堅い守備を前に攻めあぐねるアルゼンチン。しかし、攻めあぐねていたのはドイツも一緒だ。アルゼンチンの堅い守備に阻まれ、効率的な攻撃が出来ない。お互いジリジリした展開が続きながら、前半は終了となった。

試合が動き出したのは後半に入ってからだった。まず、「魔の時間帯」である後半開始早々にアルゼンチンが先制した。ドイツの気持ちの糸が切れたのだろうか。いや、それ以上にアジャラのヘディングシュートが素晴らしかった。身体の入れ方、タイミング、狙った場所。お手本にしたくらいの完璧なシュートだった。
ドイツは先制されたことで、是が非でも1点取らなければならなくなった。ドイツはそのご快速ウィング、オドンコールを投入して事態の打開を図る。実際、オドンコールの突破から生まれたチャンスは数多く、またオドンコールが「攻めの流れ」を作ったことで、CKやFKのチャンスを生み出した。が、そのチャンスを粗雑なプレースキックでモノに出来ないドイツ。一方、アルゼンチンも苦しい展開に。守護神アボンダンシェリが負傷退場し、貴重な交代枠を一つ使ってしまう。今思えば、この交代がターニングポイントだった。
その後、アルゼンチンは積極的に攻めあがるでもなく、かといって消極的になるでもなく、無難な攻撃に終始した。相手のパスミスから決定的チャンスを得るも、それをモノに出来ない。アルゼンチンはその後、リケルメをカンビアッソに、クレスポをクルスに代え、やや守備的な布陣を布いた。時間帯、ドイツ守備陣の状態を考えれば妥当な選択だっただろう。諦めないドイツは、シュバインシュタイガーに代わってボロフスキを投入して攻撃にリズムを持たせようとする。そしてこれが当たった。左サイドからバラックがクロス。ボロブスキーが頭でゴール前に流すと、クローゼがDFと競り合いながらへディングシュート。そのシュートは見事アルゼンチンのゴールをこじ開けることに成功し、ドイツが同点に追いついた。
その後、両者共に激しい攻撃に出る。ドイツはクローゼに代わり、ノイビルを投入。アルゼンチンも攻め上がり、何度もドイツゴールを脅かす。
しかし、結局どちらからもゴールは生まれず、試合は延長戦へ。

延長戦に入ってからは、まさに消耗戦、死闘だった。お互い交代枠を使い果たし、疲れた選手を、調子の悪くなった選手を交代することも出来ない。特に、ドイツはバラックが負傷したため、実質10人で戦うこととなった。1プレイごとに顔を歪ませて膝に手を当てるバラック。それに対してアルゼンチンも数的優位を作り猛攻を仕掛ける。延長戦は前後半ともアルゼンチンの猛攻で終始した。しかし、そのアルゼンチンの攻撃を、辛くも凌ぎ続けるドイツ。手に汗握る、目が離せない展開が続いたが、延長戦でも決着がつかず、試合はPK戦に。
この結果、この試合には勝者も敗者も存在しなくなる。建前上は、だが。

両チームの選手とも、それぞれPKに望む際の精神状態を整える小休憩。そんなときだった。120分間ゴールを守ってきたレーマンに、カーンが駆け寄って何かを囁き、そして固い握手を交わした。
この感動的なシーンに、スタジアムは揺れた。今まで数え切れないほど反目を続けてきた両者。カーンがレーマンの、レーマンがカーンの悪口を言い、クリンスマン監督もどっちつかずの態度を取り、メディアがそれをさらに煽り、両者の関係は最悪だと言われていた。しかし、その二人が握手。これにより、スタジアムの、そして両者の関係に気を配らざるを得なかった他の選手達の士気が一気に高まったことは確かだろう。勿論、レーマンの気持ちも高まっただろう。

いよいよ始まったPK戦。
両者とも1本目は譲らずに決める。しかし、アルゼンチンの2本目、レーマンが完璧にコースを読み、危なげなく止める。これでドイツがリード。3本目は両者共に決め、ドイツの4本目も決まる。
いよいよ、アルゼンチンの4本目。これを止められればアルゼンチンは敗退する。止めればドイツは勝ち進む。カンビアッソは一呼吸おいた後、足を振り切った。カンビアッソの足から離れたボールは、鋭く空気を切り裂きながらドイツゴールに迫ったが、レーマンの見事なセーブの前に、力なく落ちた。
アルゼンチンの控えGKレオナルド・フランコは、ドイツのPKを止めることは出来なかった。

歓喜に沸くドイツ。失望にうずくまるアルゼンチン。スタジアムはドイツコールで一色に染まり、アルゼンチンサポーターは顔を覆った。
この試合の殊勲者レーマンは、ゆっくりと立ち上がり、その後チームメイトの感謝の抱擁を受けた。そして、カーンの元へ駆け寄ると、お互いに抱擁。もうこの時点で涙を流さないドイツ国民はいなかっただろう。そう確信したくらい、美しく、感動的な場面だった。これがもしW杯の決勝戦での出来事だったら、俺は感動の余り心臓麻痺で死んだに違いない。

こうして、準々決勝第1試合は幕を閉じた。120分の死闘を雄雄しく戦った遼チームの選手達に、惜しみない賛辞の握手を贈りたい。

そして感動をありがとう!ドイツ!!!

やっぱりドイツは最高だ!!


んで、やっぱりアルゼンチンにとってはアボンダンシェリの交代が響いただろなぁ。その後の交代でリケルメを下げ、カンビアッソらを投入して守備的婦人にしたのも、フランコの能力に疑問を感じた上での行動だったし、彼の交代がなければ試合はもっと別な展開を迎えていただろう。アルゼンチンも交代枠を残した上で延長に入ったかもしれないし、またその前にサビオラ、メッシらを投入して2点目を決めにかかっていたかもしれない。アボンダンシェリの交代が、アルゼンチンの歯車を徐々に狂わせていったことに間違いないと思う。


ドイツの次の相手は、優勝候補の一角イタリア。
ブラジルと並んで優勝候補の最右翼だったアルゼンチンを下したとはいえ、イタリアはW杯前にドイツが大敗した相手。苦手意識は多少なりともあるだろう。しかし、本番になると何故か異様に力を発揮するドイツ、国民の後押し、それらがあれば、イタリアを降せるものと信じている。






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