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私の本棚

将来の夢は自分専用の図書館をもつこと。大好きな本に囲まれて暮らしたい。

教科書の詩をよみかえす  川崎洋

2013-12-31 23:21:04 | いまの本棚
「詩のこころを読む」を読んで以来、詩ブームが到来している。
この本は本屋さんで見かけて即座に購入を決定しました。

コンセプトが良い。
今よりずっと読書が好きだった小学校~高校時代、国語の教科書に載っている文章には一通り目を通していました。
(詩のみならず評論や物語も含めてです。)
あのとき通り過ぎたものをもう一度読み返したい時期に来ているようです。
先生が勧めてくれた本など、どこかにきちんとメモしておけばよかった。

詩について書かれた著者の注釈は、私には少しむずかしく堅苦しく感じましたが、これもひとつの詩の読み方なのでしょう。
個人的には、「詩のこころを読む」くらいの語りが好きです。

今回気に入った詩は
石垣りん「峠」、吉野弘「素直な疑問符」、室生犀星「小景異情」、まど・みちお「きりん」、山本太郎「散歩の唄ーあかりと爆に」、中原中也「一つのメルヘン」などでした。

それにしても、「クラバート」のあとにこの本を読んで思うのは、
絵本と詩はよく似ているということです。



クラバート  オトフリート=プロイスラー

2013-12-25 18:26:55 | むかしの本棚
見かけた本屋さんでなつかしく誘われるものがあり、買ってしまった。
プロイスラーといえば、小さい魔女を愛読していました。あと大どろぼうホッツェンプロッツなんかも有名ですよね。

鮮やかなストーリーと、湿地に生える草や石臼にひかれる麦が見えてくる語り口。
そう、本当に絵本みたいなの。
表紙のイラスト(版画なのかしら・・・・?)のような、ちょっといびつでふしぎな、少しむかしの綺麗な絵本のよう。
小さい頃に二回は読んだことがあるはずなのですが、ストーリーはほとんど忘れてしまっていて、ただダークな世界観とからすの姿だけが残っていた。

今また読んでみて、ストーリーは追えたものの、やはり不思議な感覚は拭えず、古く美しいアニメーションを見ていた気分。
憧れるのは言葉少なくもまっすぐな娘さん。こんな生き方がしたい。
ところどころに啓示とも言うべき一節が現れるのが、大人になってから増えた童話の楽しみ方でしょうか。

ストーリーはむしろ無骨で直線的なのに、この余韻と魅力はなんなのでしょう。
これが童話の魔法なのかな。
なにしろ小さなこども向けとは言えませんが、自分のこどもが本好きな子に育ったら是非読ませたい一冊。









魔王 伊坂幸太郎

2013-12-25 17:03:39 | いまの本棚
気になる作家、伊坂幸太郎。
「重力ピエロ」で衝撃を受けて以来、ほそぼそと読み続けてきましたが、未だ重力ピエロを越える衝撃はなく。

彼の小説は主張ありきのものが多く、言い回しも独特。
独特の世界観、哲学ですみずみまで構成されているのが気持ちよくもあるのですが、その分主張に共感できないと妙に難しい。
法学部出身というのは頷ける。
2008年の作品だというのに、ちっとも時間の流れは感じさせず、それどころか今の世相に照らすとより一層リアリティが増しているような危惧がある。






詩のこころを読む  茨木のり子

2013-12-25 16:40:42 | いまの本棚
定価で新品を買えばよかった・・・・!
とくやしくなった。(ブックオフにて購入)
詩については不勉強で、ずっと苦手に思っていた。
そんな人にこそ読ませたい。私のことですが。

詩人である茨木のり子(わたしが一番きれいだったとき、の作者)が気に入っている詩を選び出しあつく語ってくださいます。
まるで中高時代の恩師の情熱的な授業を受けているような気分になりました。

特に気に入った詩は、吉野弘の「I was born」「生命は」、黒田三郎の「僕はまるでちがって」、高橋睦郎の「鳩」(以前、江國香織の小説の中表紙にこの詩の一節が書いてあり、素敵な詩だと感じていましたが、思いがけない再会をしました)、新川和江の「ふゆのさくら」、石垣りんの「その夜」などでした。
素敵な出会いに満ちた宝箱のよう。


大切な友人にプレゼントしたい一冊。


第一の性 (反貞女大学)  三島由紀夫

2013-12-25 16:11:50 | いまの本棚
「反貞女大学」収録の第二章、「第一の性」。
男性について考察されている。

個人的には、第一章の「反貞女大学」の方がユーモアに富んでいて好きだった。
けれどこちらはこちらで、なにしろ三島自身の自省が含まれているわけなので興味深い。
特に、「男は愛され型」、「男の色気とは?」など。

個人的には、ところどころに挿入される三島の私生活の模様(ヒューズが飛んでもオロオロして女房に縋る、今でも女房の買物をみんな持ってやる癖がついている、など)
がキュートでほほえましく感じた。これはこれで三島のポーズではあろうと思うが。
市ヶ谷で檄を飛ばした彼の姿は、少なくともこの作品からは全く感じることができなかった。

三島の作家研究からは随分離れていましたが、久々に年表でも読み返そうかと思った。

早世した作家というものには、その信条や精神性から、早世してしかるべきだったと思わせる節も多いのですが、
それでもやはり、好好爺になった三島、太宰、芥川なんてものを見てみたかった、
年を取ったらどんな小説を書いただろうかと思わずにはいられない。