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私の本棚

将来の夢は自分専用の図書館をもつこと。大好きな本に囲まれて暮らしたい。

パイナップルの彼方  山本文緒

2014-10-19 08:39:32 | いまの本棚
嫌になることがあったので、お風呂の中でリフレッシュに読んだ。
あっという間に時間が経ってのぼせかけた。

本当に、私にとっては山本文緒はするする水のように読めてしまう作家。
典型的な人物の造作も、妙にリアルに生き生きと見えてしまうところがすごいところだと思う。
何度読み返しても、ちょうど切ったばかりの果物の断面みたいに生々しい。
特にこの作品は初期のものなので、フレッシュさが強いのかも。
私自身は、彼女の作品に出てくるたいていの人物よりは少しはまっとうな人生を送っていて、もう少し計画性もあるし、
共感するところが必ずしもあるわけではないのに、気がつくと意外に感情移入して読んでいる。
私より思い切って感情的に登場人物が生きていてくれるから、一種のカタルシスを得ているのかな。
正直に生きるとはたいへんなことです。

きっと君は泣く  山本文緒

2014-10-07 11:21:57 | いまの本棚
懐かしくなって読み直した山本文緒の作品。
彼女の作品はやはり独特の魅力がある。特にこの作品は不思議と魅力的。
高校時代にずいぶん作品を読んだからかもしれないけれど、いいところが全然ない登場人物も、語り口も、すっと肌に馴染むような感じがする。

容姿を鼻にかける高飛車な椿も、こういったキャラクターを主人公に据える時点でイレギュラーな設定なのだが、
ここまで突き抜ければ大したもので、いっそ魅力的でかわいく思える。というより、彼女の行き場のなさにだんだん心配になってくる。
少々少女漫画的にも思える登場人物の造形も、どれもかわいげがあって憎めない。みんな一生懸命なのがよく分かる。
その一生懸命さを、えぐいくらいにかっこわるく情けなくストレートに描くあたりが、山本文緒の真骨頂。
いいところが全然ない登場人物ばかりなのに、最後に進むにつれ切なくなってしまう。
勢いもあるしよく書けているなあといった印象がつよい。


幸田文 生誕110年、いつまでも鮮やかな物書き

2014-10-06 15:27:10 | いまの本棚
最近マイブームになっている幸田文について、少しは考察も読もうと購入。
河合出書房新社から出ているムックなのですが、見た目からの予想よりずっとボリューミー。
これで1300円はお得でした。買って良かった。
系統的な考察本ではないが、さまざまな方の幸田文評や、幸田文と娘の対談が読めたり、充実している。

幸田文というと、どうしても「幸田露伴の娘の」という説明があたまについてしまうように思うけれども、
それはどうにも分かちがたい正しい接頭語でありながら、時として不要な思考を読み手に与えてしまう。
幸田露伴に薫陶を受けた娘としての文、を越えたイメージを持つことは作品の中でも難しく、まして作家としてのキャリアのスタートはやはり露伴に関する随筆だったのだから当然なのだが。
小説の数はそれほど多くなく、随筆もバラエティに富み、作家としてプロフェッショナルであったかというとまた独特の位置にいる。
時期によってスタイルを変えていった女性作家であるので、一貫する何かを見いだすのは意外にも難しい。
本当に難しい作家だとおもう、幸田文。

この本を読むと、多くの文章で「崩れ」について触れており、未読の身としては是非読まなければいけないという決意をあらたにした。
幸田文の本はさまざまな出版社からこまごまと出ていて、系統的に集めるのがやや困難なのがこまりどころ。


それからはスープのことばかり考えて暮らした  吉田篤弘

2014-10-03 16:47:58 | いまの本棚
独特のタイトルが気になって、長く欲しいものリストにおさまっていた作品。
ようやく読んでみた。
名前を聞いたことのある「つむじ風食堂の夜」もこの作者の作品。

率直にいえば、物足りなかった。
ありふれた癒やし系小説というか、雰囲気小説というか。
最近こういうのはやっているのかなあ、という何とも言えない複雑な気持ち。
Amazonでの評価はえらく高いのですが、私の好みとはあいませんでした。
残念。