便所サンダル大全

日本製便所サンダルについていろいろ語ります

森川ゴム工業所 Health 紳士No.105

2020-06-26 19:22:57 | 森川ゴム工業所(Health)
今回は意表をついて(もう夏が来るのに)森川ゴムの防寒サンダルのお話です。


このHealth No.105、見た目に反してファンが多いサンダルで、入荷するとすぐに売れていきます。

Lサイズのチョコブラウンだけが。

何箱か取ると、確実に金茶のMだけが1箱できるくらい残ってシーズンを越します


それでもめげずに取り扱うのは、私自身がこのサンダルが好きだから。


■レンガ(赤茶)
■ゴールデンロッド(金茶)
■ブラウン(茶)
■チョコ(コゲ茶)


そもそも森川ゴムのサンダルは通好みなのでベンサン.JPでもある程度思いきらないと扱えないのですが、このNo.105を導入したのは雪山での出会いが発端です。


最近はほぼ行かなくなりましたが、毎年正月の年越しは妙高の雪山でスノボをする(という名目で私だけあまり滑らず温泉に入ってゴロゴロしている)というのが通例で、10年以上は続いていたでしょうか。

いつもはラボランド黒姫というコテージを借りて大人数で過ごすのですが、2016~2017年の年越しイベントはちょっと人数が少なめになったので

「ロッジあめのうお」

というとこに泊まりまして。




私が大好きな池の平の「ランドマーク妙高高原 温泉かふぇ 」からすぐ近くにあったので、滑らなくても温泉入ったりご飯食べたりマンガ読んだりできる好立地。

その「ロッジあめのうお」で、外に出る用のツッカケとして置いてあったのが、まさにHealth No.105だったのです。


それまでNo.105を履いたことのなかった私は、

「お、森川の防寒とはなかなか渋いの使ってるな」

と思いつつ、足を突っ込んだ瞬間に衝撃を覚えました


森川のサンダルは素材全体が柔らかいのですが、

・適度に吸いついてまとわりつくようなフィット感
・雪山の宿で使われているくらいのグリップ感
・ふわっとした中にもグッと足元を支えてくれる安定感

これらが混然一体として雪深い山の上でも絶妙に快適な履き心地を私に与えてくれたのです。


「こんな素晴らしいサンダルを今までスルーしていて申し訳なかった・・・」

と、2017年の年始開けに最初にやったことはNo.105の仕入れでした。

それ以来、売れようが売れなかろうがしつこく仕入れ続けています。(ちょっとだけ)


とはいえ、売れる時はドバっと売れてしまうのでなかなか注意が必要なサンダルでもあります。

やっぱり森川の良さを分かってる人は買ってくれるんですよねー。

※逆に腰が悪い人はPEARLの硬さが良いらしいですが。


蛇足ですが、その森川のサンダルを仕入れていた浅草の問屋さんに久しぶりに発注しようと思って電話をした繋がらず、他の問屋さんに聞いてみたら廃業しちゃったとのこと・・・。

こうして履物屋も問屋も次世代に引き継がれずに失われていくんですよね・・・。

※私がベンサン.JPを始めてからサンダル問屋の廃業は4件目です。


がんばってメイドインジャパンのサンダルの価値を広めていこうと決意しなおしたこの6月なのでした。

ところで私の後も誰か継いでくれないかなぁ。



ニシベケミカル VIC No.2011 紳士シーサン

2020-06-19 20:00:08 | ニシベケミカル(VIC/Charming)
夏も近づいてきてますので今回も鼻緒型のサンダルをご紹介します。

知る人ぞ知る、「最強ビーサン」こと「VIC No.2011 紳士シーサン」です。

※レディースは「No.2012 婦人シーサン」になります


■ブラック
■チョコブラウン
■メタリック
■オーク


全体的にワラジのような感じで麻縄のような細かい網目模様が施されていて、意匠に大変凝ってます。

というかワラジのイメージで作られてるんでしょうね。


ご覧の通り、「一体成型のビーチサンダル」なので、鼻緒がすっぽ抜けることがありません。


そして、裏面には当然グリッドが入っていますので、これまたプールサイドなんかでも滑りづらくなってます。


あまり知名度が無いためかそんなにメチャクチャ売れてるわけでは無いのですが、一旦はまった人には買いまくられてしまうサンダルでもあります。


ニシベのサンダルには珍しく「VIC」のロゴは入っておらず、代わりに


「Sea Sun」のロゴが入っています。


おそらく、ギョサンに対抗できる新サンダルとしてのニシベからの提案だと思われまして、実は「SeaSun」と名がつく歴代のサンダルはそこそこ数があるのです。

ウチで扱えたことがあるのは「No.2010 シーサン(廃番品)」だけなのですが、結構バラエティに富んでいましてこんな感じです。



※2011年カタログより

これらの後に作られたのが現行の「No.2011」と「No.2012」なんですね。
残念ながら、上のカタログの製品はどれ一つ生き残っておりません。


逆に言えば、生存競争の激しいニシベケミカルのレギュラーの座をいまだに守り続けている現在のシーサンは

とてもいい製品

と言って差し支えありません。


ちなみに今年は「ネイビー」が参戦しているのですが、考えてみたらまだ今年シーサンを発注してませんでした・・・。

母ギョのボニンブルーは扱えないのですがシーサンのネイビーは扱えますので早々に発注しようと思います。



というか、例年3月くらいに発注するのにコロ助のせいで完全に失念しておりました・・・。

このブログのおかげで思い出しました。

めでたしめでたし。


ニシベケミカル VIC No.570 VIC・カリプソ(母島ギョサン)

2020-06-15 18:52:33 | ニシベケミカル(VIC/Charming)
ベンサン.JPでの取り扱い商品には違いないのですが、今回はベンサンではなくてギョサンです。

私は個人的に

・鼻緒タイプ = ギョサン
・ベルトタイプ = ベンサン

と呼んでいるのですが、丸中工業所は自社のサンダルを全て「ギョサン」と呼んでいますので注意してくださいね。

※「PEARLギョサン」は丸中工業所の登録商標です


さて、この「VIC No.570 VIC・カリプソ」は

母ギョ(母島ギョサン)

の異名を持っておりまして、なぜならば主に母島で販売・利用されているからです。

■レンガ

■ゴールデンロッド

■カーキ

■ブラック



そもそもギョサン(漁業従事者用サンダル)は、小笠原の漁協で使われたのがヒットの発端で、10数年前は小笠原土産として知る人ぞ知るサンダルでした。


なぜか主に島しょ部で使われることが多くて、たしか2006年くらいに沖縄から本土に戻ってきた友達(現・ぎょさんネットのナル店長)が

「こっちで全然見ないけど、沖縄だとみんなギョサンっての履いてるんだよね~」

と聞いて、そこから私もギョサンにドはまりしまして、一年中ギョサンを履いて過ごしてたくらいです。

※というか、2人でぎょさんネットを立ち上げました。


そんなギョサンも、小田原のマツシタ靴店やぎょさんネット、そして何よりも嵐の大野君のおかげ(テレビの某コーデチェックコーナーで毎週ギョサンを履いてきていた)で爆発的ヒットとなり、今ではヒットを通り過ぎて夏の定番にまで昇格しています。


さて、そんなギョサンですが、小笠原の父島で扱われているギョサンは主に丸中工業所(PEARL)、そして森川ゴム工業所(Health)のものばかりなのです。

ところが、このニシベケミカルのギョサン VIC No.570は、なぜか母島で主に取り扱われており、父島の人も母島で買っていることから母島ギョサンと呼ばれているんですね。

本土ではなかなか扱っている店を見つけるのも難しいかと思います。


ベンサン.JPでは1年に1~2回だけ仕入れるのですが、毎年ブラックとカーキのLサイズが速攻で売り切れて、Mサイズのレンガと金茶が翌年まで残るというのを繰り返しております。

※いや、ほんとレンガと金茶もカッコいいのでみなさんよろしくお願いします




で、この母ギョなんですが、やはりニシベ特有の粘り気のある柔らかさで滑りづらさは天下一品。

そしてニシベならではのカカトの横穴でクッション性も抜群。


過去に、私以外に母ギョを街中で履いている人を1回だけ見かけたことがあるのですが、お互いの足元をパッと見て、

「ふっ・・、わかってるな・・・。」

と、お互い心が通じ合ったような気がしました。


前身の「VIC No.550」も名品中の名品だったのですが、現行品のNo.570も負けず劣らずの名品です。

この、全体にある小さめのボツボツが、裸足で履くことを前提としたギョサンにベストマッチ。

ボツボツが当たらない場所が無いだろうという位にビッシリと張り巡らされていて心地いいことこの上ありません。

もちろん私はPEARLのギョサンもHealthのギョサンも好きなのですが、どれか一つだけ選べと言われたら、やはり母ギョを選んでしまいます。


さて実は、このNo.570、今年2020年は

「母島限定カラー ボニンブルー」

というのが出ています。

母島限定なのでウチでも扱えません。

母島に行かないと買えないのです。


母島に知り合いもいないですし、とりあえず近々の入手は諦めていたのですが、


手に入りました。( ´∀`)


コロ助の影響で母島に観光で行く人が減ってしまったので、期間限定で小笠原のお店がボニンブルーの母島ギョサンをネット販売しております。

欲しい方は急いで探してみてくださいね。


あ、ちなみにボニンブルーというのは、小笠原諸島の英語名「Bonin Islands」からきておりまして、小笠原諸島には江戸時代後期から人が定住したみたいです。(小笠原村公式HPより)

それまでは発見されてはいたけれども無人島だったので、

無人島 ⇒ ブニン島 ⇒ ボニン諸島

というような変遷を経て、

「小笠原の海の美しい色 = ボニンブルー」

といわれるようになったようです。。

そりゃ母島限定カラーになるわけです。


ということで、母島ギョサンの現行カラーは全5色。



スタッズベンサン

2020-06-06 17:26:59 | 雑記
えー、今回はメーカーさんのオリジナルベンサンではなくて、諸般の事情により私飯田が運営するベンサン.JPのオリジナル商品「スタッズベンサン」のお話です。

このスタッズベンサン、実は私がオリジナルで考案したものではなく、マキシマムザホルモンのマキシマムザ亮君の2012年8月7日 のツイート、

「そう、ヤツの便サンは鋲付き 」

というのが元でして。


マキシマムザ亮君の10代の頃から付き合いのある友達が履いているベンサンがスタッズを付けたダンヒルだったのです。

※残念ながら、ついっぷるがサービス終了したため、当該ツイートについている画像は現在はもう見ることができません。


さて、当時そのツイートを見た私は、

「カッコいいからいつかこれを製品化してやろう」

と目論んでしました。


そんな時、私の高校のころからの友人である「ぎょさんネットのナル店長」から、

「まさかっちゃん!面白いこと思いついたからダンヒル1足送って!」

と頼まれまして。


なんだろな、と思いつつダンヒルを送って数日後、彼から送られてきたのがこれだ。(1・2・3←古)



さすが付き合いが長いだけあってまったく同じことを考えていました。
こういうのをシンクロニシティって言うんですよね。


せっかく作ってくれたので、いい機会だと思って製品化に邁進したのが2013年。


スタッズを危なくなく、かつ確実にダンヒルに留める方法として私が考案したのが

ねじ式スタッズ+ゴム製ワッシャー

の組み合わせでした。


金属製ワッシャーの方が当然確実で丈夫なのですが、サンダルを履くときにワッシャーが爪のスキマにグサリと入った日には目も当てられません。

ゴム製ワッシャーならネジもある程度めり込みますし、安全度は高くなります。


ということで、試行錯誤を重ねたうえで2014年に出来上がった製品化第一弾が、これです。

↑これは当時販売していたプリン型の方。


思い出しただけでも鬱になります。

パッと見た感じ何でもない製品に見えますが、このネジ式スタッズは不良品が多く、ネジがスタッズの奥まできちんと入りきらないものが多かったのです。

そのため、ネジとスタッズの組み合わせを替えてキチンと奥までネジが入るものを「30組」揃えた上に、大小のポンチ2つを使って板ゴムからゴム製ワッシャーを30枚作らねばならなかったのです。


当時お買い上げいただいた方はそんなことは知る由も無いかと思いますが、この製品を1組作るのにだいたい1時間強を費やしていました。

ゴム製ワッシャーもいろいろなホームセンターを回った結果サイズがちょうどいい物が見つからず自作せざるを得なかったというのもあります。


しかし、こんな作業をいつまでもやっていられない!と次に考案したのがジビッツ型スタッズ

これならネジを取ったスタッズにジビッツの土台(※)を接着剤で付けるだけだから楽だ!と、嬉々として制作に励みました。

※ジビッツはク〇ックスにつけるアクセサリーのことです


これです。



思い出しただけでも鬱になります。

思いついたときは楽にできると思っていたこの形状、やってみると飛んでも無い面倒さでした。

まず、ジビッツ土台の接着面のバリをヤスリで削ってまっ平にしなくてはなりません。

接着剤もいろいろなものを試しましたが合金とプラスチックをそれなりの強度で接着するにはエポキシ系+瞬間接着剤の2つが必要で、完全に接着するためには一晩おいておかないといけないわけです。


で、それだけならまだしも、翌朝強度チェックするとだいたい30個中5個くらいは「ポロリ」と土台が外れて、ヤスリで削るところからやり直しになるわけで・・・。


こんなものを大量に販売していたら、売れれば売れるほど時間を失って仕事ができなくなります。

※余談ですが、Tモリ倶楽部とMステで鬼〇院翔さんが使ってくださったのがこのバージョンです。

※そして、テレビにスタッズベンサンが映った際は毎回在庫を0にして欠品扱いにしてました。


ということで、(私の心の安寧のためにも)

もう、一体成型のオリジナルスタッズを作ろう!

と一念発起し、知り合いのツテでつながったノベルティ制作会社さんに図面を渡して鋳型からオリジナルで制作して出来上がったのが、現在の製品、

「スタッズベンサンカスタマイズチャームZ」 

というわけなのです。

おお、なんて神々しい・・・・。

これなら袋&箱に詰めるだけ。

時間を異常に浪費する労働から解放された今では、ご注文が入ると嬉々としてパッケージングしております。


で、実は何名かから、「スタッズを付けたものを販売していただけませんか」というお問合せをいただきましたが、すべてお断りしております。

なぜかというと、これを30個ダンヒルに装着するには小一時間かかる上に右手の親指が痛くなるからです。


1回だけ、フェス出店のために完成品を5個作りましたが、その日は右手の親指の腹が真っ赤に腫れました。


つまり、その労働量を製品価格に加算した場合、弊社オリジナル商品であることを鑑みると10,000円前後の価格を付けざるを得ないわけです。


というような理由で完成品の販売は行っていませんでしたが、作成したヤツがまだ残っているのでマルシェルで売ることにしました。(´∀` )

好評だったら、時間が余ってどうしようもないときにでもまた作ろうかと思います。

よろしくどうぞ。