恋染紅葉

映画のこと、本のこと、日々の些細なことを綴ります。

「残り全部バケーション」伊坂幸太郎(集英社)

2013-01-05 | 本(あ~さ行の作家)
人生の〈小さな奇跡〉の物語
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。
(出版社あらすじより)


軽く一気に読める小説です。
全くバカバカしいようなことが起こっていくのですが、そのひとつひとつに意味があって、人と人とか偶然にも繋がっていたというようなお話です。

主なキャラクターである「岡田」と「溝口」は、俗にいうチンピラまがいの男。
世間的には真っ当な人間じゃないのですが、実は彼らはさりげなく篤い、いい男です。
親のDVとか離婚問題とか、社会派ドラマになりそうなテーマも、「こうすれば解決します」ではなく、「こんなふうに角度を変えて、何かをしてみたら?」と小説ならではの持って行き方にスッとします。

そして、いろんなものに喩えての人生前向きな言葉に「座布団1枚!」

たとえば、車のバックミラーだとかギアの話。

ミラーで後ろばかり見てたらよけい事故を起こす。バックミラーは過去と一緒でときどき見るだけでいい。

(みたいな内容)とか、

運転できなくても、ギアをDに入れておけば勝手に前に進む。

(みたいな内容)とか。

なるほどなあというのが散りばめられています。
そう思うと、重い気分も軽くなりそうです。


ラストは「え??」なんですが、それもまた良し。
成るように成るさです(笑)

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