塩素がビタミンCと反応することによって生じる塩酸は、人間の体液濃度を一定に保つために大切な働きをしてくれる重炭酸イオンを破壊してしまいます。
体液の濃度は、ペーハー(pH)という単位で表されますが、人間の体液は、常に中性(pH7)よりほんのわずかアルカリ寄りのほぼpH7.35~7.40の間で一定に保たれています。
これが狂うと病気を引き起こすことになります。
pHの単位は1~14の中間の7が中性で、7から1の方へ数値が進むにつれて酸性の度合いが高くなり、7から14の方へいくにしたがってアルカリ度が高くなります。pHは、水素イオン濃度の高低によるもので、7を中心にして水素イオン濃度が高くなると酸度が増し、逆に低くなるに従ってアルカリの度合いが高くなります。
人間の体液濃度pH7.35~7.40という環境は、細菌の活動や繁殖を許さない領域であって、そこに狂いが生じることは、即ち病気や死を意味するのであります。
一般にアルカリ食品を多く摂ると、体液がアルカリになり、酸性食品の過剰摂取は体液を酸性側に移行させると信じている人は決して少なくありません。
むしろ、そう信じている人の方が数のうえでは多いかも知れません。これは日本だけにはびこる俗説であって、医学的には何の根拠もなく、諸外国にはこの考えは一切ありません。
アルカリ、酸性の議論は別としまして、人間の体液濃度を一定に保つために、重炭酸イオンが一役買ってくれていることは先に述べました。
重炭酸イオンは、体液中の水素イオン濃度が高くなると(酸性度が高まる)、水素イオンに反応して、これを炭酸ガスと水に分解して水素イオンの濃度を下げます。逆に水素イオン濃度が低下してアルカリに傾くと、今度は炭酸を水素イオンに変えて、水素イオン濃度を高めることにより、一定の濃度に保とうとしてくれます。
私たちは、無意味なアルカリや酸性を論じる前に、重炭酸イオンの大敵である塩素対策を考えるべきです。
重炭酸イオンが破壊されると、健康の維持が困難になることを示す例として、岡山大学の小林純教授は、各地の水質を分析し病気との関連を調べ、「水のアルカリ、酸性にかかわりなく、重炭酸イオンの多い地域に比して少ない地域に短命の人が多く、脳卒中のリスクもうんと高くなる。」という内容の調査結果を発表しておられます。
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