噛噛堂しみじみ備忘録

鞄に本。リュックに本。
遅読、乱読、併読、積ん読、それでも中読。いえ中毒。
どうにもこうにも本とのハナシ。

クライマーズ・ハイ/横山秀夫

2006年07月16日 | 噛読了/総評の備忘録

「半落ち」の横山秀夫。
読みたいと思いつつ、未トライでしたが、文庫化を待って「クライマーズ・ハイ」をGo!

 衝立岩登攀に出かけようとしたその矢先、御巣鷹山の、あの事故がおきる!北関東新聞の悠木は全権デスクに任命されるが、共に登攀する予定だった同僚・安西は病院へ搬送されていた。修復しがたい家族関係、死んだ部下の身内との葛藤、社内人間関係の軋轢の行方は…

新聞人として、父として、友人として、上司として、部下として、子として、夫として、
その全てに、悩み、苦しみ、悶え、それでも光明を見出そうとする悠木。
日航機事故を縦軸に、衝立岩を横軸に読み進めるうち、
読者は確実に、忘我の状態クライマーズ・ハイにさそわれる!


フィクションでありながら、ノンフィクションの緊張をもたらす一作でした。



「面白いですよね。誰でもみんな、山に来ると不思議なほど正直になっちゃう」
「うん。なぜかな?やっぱり空気とか景色のせいかな」
「違いますよ」
燐太郎は笑みを小さくして言った。
「ひょっとしたらこれがこの世で最後の会話になる。無意識にそう思っているからですよ。山って、そういう場所ですから」…