サブタイトル「病床からガンの友へ」
原因不明の病気を繰り返す生命科学者の著者が、癌と闘う隣人・美瑳子さんへ、昭和58年~60年の間に送った手紙の数々。
自らが難病と闘っているからこその、言葉の数々。
高村光太郎や室生犀星、村野四郎、荻原朔太郎らの詩が、スイと織り込まれることの多い昭和60年前半までの手紙が、特に好ましい。
難を言えば、とっても上品で。上品過ぎて。
お心、お気持ち、お元気、お手紙、お散歩、お花、お話、、、
これらは許容としてもです。
お苦しい、お励まし、お慰め、お痛み、、、、とまでくると、妙にこそばゆい。
「…ただ、私が神といっているものは、一般の神、仏とは少し違うかもしれません。私の神は、私を安らかに受け入れてはくれますが、私のために何かをしてくれる神ではありません。私のことはあくまでも私がするのです。そのうえで傷ついたからだや心を静かに休ませてくれるところでしかありません」