
主役が小西真奈美さん。
フードコーディネートが飯島奈美さん。
夫と別れると幼稚園児の娘のんちゃんを連れて、
実家へ戻る主人公。
資格も取り柄もなくて、プライドが高く、短時間しか働けない
32歳の女に仕事はないと厳しい世間。
鯖の味噌煮に出会って人生が変わる!
お弁当屋さんを開くと宣言するのだが...
ここでありがちなサクセスストーリーにはならないのが
面白かった!
「働く」ことについて、世間はとことん厳しい。
差し伸べられた手を拒んでばかりでいたけど、
受け取れるようになっていく。
大人の成長物語であった。
しかし、おっしゃるとおりなんだけど、
胸に痛い言葉がたくさんあった。
私の甘さゆえでしょうが。
人生は思ったようにはいかないけど、
思わないと進めない。
号泣と離れて行く手。
去年の春見ていたら、もう少し覚悟ができていたかも。
でも、求職中に見たら、とことん落ち込んだかも。
美味しい食事が出来て行くのを見るのが
やっぱり好きだ!
あんな風に作れるようになりたいんだけどな。

ターニングポイントになった芝居。
健康診断の後、
空腹だから美味しいモノを食べるつもりだった。
病院を出たら、ぽつりぽつりと小雨のため断念。
せめて美味しいパン屋さんに寄り、
ビデオ鑑賞に変更。
(ダビング作業も進めないとね)
1994年のサイン入り戯曲と
テレビ放送を録画したビデオがあるほど
思い入れのある作品。
死を前にした老人が一生を振り返る。
失ったものばかり思い出し、
生まれて来たことを思い返す。
最後、父、母、妻、娘、愛人、弟、友人らに
一言、言葉をもらう。
父の「大好きだった」が胸に迫る。
一生という時間の充実とはかなさを知る。
ラストの
「今がすべてだ、今がね...」の迫力。
そうなんだと腑に落ちる。
生まれる前の自分と、死の直前の自分の対話。
このシチュエーションは、ずしんとくる。
今の自分は過去と未来の自分でもある。
当時、この作品で感じた衝撃。
私は芝居が本当に好きだったんだ。
そして、今もココロを揺さぶる作品。
ココロにだけ残るから芝居である。
でも、こうして見返すことができ、本当に良かった。
そのための小雨だったのか...。