我が町のいわば秘境、奥鍋谷の森に行ってみた。クマが出没するとの噂、ヘルメットをかぶり鈴をつけて行った。ここが何という所か分からないが道端にソンバイロと読める標柱が立っていた。

場所を示す標識だが意味も分からない
ソンバイ口なのかもしれない。県道である舗装路が終わるところに着いた。

県道の終点
車を止めると、タイミングよくサシバのピックーイという鳴き声が聞こえた。



上空を飛ぶサシバ
辺りは思ったより広く木々の間に広がる青空を見上げるとサシバの薄茶色の日の光で透ける羽が見えた。
突然鋭い鳴き声が聞こえた。思わずドキッとしたがヒノキかアテの木の枝にカケスが見えた。



樹間のカケス
二ホンカワトンボも多くなった。

透明型ニホンカワトンボ
路上にはトラフシジミやスミナガシもいた。

道路脇の岩の上のトラフシジミ

道路脇の虫の死骸などが集まっている場所のスミナガシとコチャバネセセリ
頭の上の方から甲高いが美しい鳴き声が聞こえた。よく響き、上から鳴き声が降ってくる感じである。辺りの高い木を見回しても何の動きも感じられない。30分程そうして鳴き声の主を探したが、見つけることができなかった。諦めて帰ろうとした時、せせらぎの反対側の岸の背の低い枯れ枝に止まっている鳥を見つけた。

やっと見つけた鳴き声の主
改めて耳を澄ますと、まさに素晴らしい鳴き声の主であった。日の光が射し込んでいるので、かえって見にくく直ぐには何であるか分からなかったが、目が慣れてくると茶色の体が見えミソサザイだと分かった。

背を向けたミソサザイ


やっと顔を見せてくれたミソサザイ
幸運にも、私がカメラを構えてあちこちきょろきょろしている間にも、相手は「ここだよ。ここだよ。気付かないの」と言っているかのように囀り続け私が気付くのを待ってくれた。


目の前で堂々と囀ってくれたミソサザイ
ミソサザイは以前にも見たことはあったが、こんな静かな渓流のそばで甲高く美しい声で長く囀るのを聞いたのは初めてであった。
森の奥にも恋の季節が始まっている。