男ゴコロと旅の空 rainbow in my heart

出張に行く。食事する。女を抱く。酒を飲む。仕事する。丸裸の俺?

『家なき鳥』 グロリア ウィーラン 

2006-09-02 19:30:47 | Weblog
娘の夏休みの課題。
赤十字の献血ポスターも、読書感想文も、
結局僕がほとんどやりました。
娘、中2になっても、まるで小学4年のような
文章力であります。
ピアノじゃ、1万曲以上から選ばれた13曲に残る
作曲力がありながら、文章がこれじゃ、頭痛いです。
昔、歌唱力なら天下一品の本田美奈子が、
コンサートでのベシャリだけは
『わたしぃ、今日ぅ、メチャクチャ感動して』しか
言えなかったのと比較しても、酷過ぎます。

うちの奥さんの、たらたらやってる娘に向かっての小言
“パパにやってもらって、その態度はなによ!
 感謝しなさい!!”に対して
“うるさいな!集中してるんだから静かにしろ!!”
と私。
それが原因で夫婦喧嘩って、
こりゃどういうことなんでしょう(笑)
何がなんだかわかりませんが。。。

で、『家なき鳥』。

インドの貧村の少女コリーは、貧しさ故に、
13歳で口減らしのために嫁がざるを得ない。
しかも嫁ぎ先の家では、夫たる少年が不治の病に侵されており、
『ガンジス川の水で清めれば治る』という迷信じみた妄想のため、
その旅費としての、コリーの持参金を当て込んでの結婚だ。
なんだ、これじゃ、詐欺じゃないか!とまぁ、日本人なら
完全に婚約破棄だし、成田離婚だな。
ところがここはインド。一度嫁いだら、戻ってきては家の恥。
二度と戻ることはできないのである。
あげくにその少年も、あっさり病死してしまうとなれば、
コリーは完全な厄介者だ。
義母は、ずっとコリーにつらく当たり、義父の死後、
コリーを未亡人の町へと捨ててしまう。
こんなあらすじを読めば、いったいどの時代の話だ?と思うでしょう。
ところがコリーの義妹の嫁ぎ先が、コンピュータエンジニアで、
だから彼の家には電気が引いてあるのよ、となれば、
「おいおい!現代の話かよ、これ!!」
という衝撃だ。
ガンジス川で結核が治る?未亡人を捨てる??
IT大国・インドの現実がこれですか!

こんなことが公然と行われているインド。
いまだに「女が文字を覚えるとろくなことはない」という男尊女卑を、
当然の文化として受け入れている人々がいる。
何千年もの間、そうして生きてきたし、これからもそのままであろうという
あまりにも根の深い、ブラックホールのような世界。
ガンジーの無抵抗主義というのも、このような土壌の中で
培われてきたものなのだな、と、改めて感じてしまいました。
だから、コリーも、当然すべての運命を受け入れます。
それがおかしいとか、間違っているとか、
そういう発想はないのです。自分に与えられた運命の中で、
どのように楽しみを見つけ、どのように生き残っていくか。
このような世界だからこそ生み出される心の豊かさ、
文字を持たないからこそ発現した芸術性。
そしてコリーの類まれな好奇心と聡明さが、
文字を手に入れ、また洞察力を養い、
最後には幸せを手に入れるのです。
あらすじとは正反対の、生命力に溢れた、たくましい物語です。
お涙頂戴というわけではなく、まぁ、見事なほどに美しい物語。


アメリカンドリームが、努力の末に成し遂げられた幸せとすれば、
このコリーの物語こそ、インディアンドリームと言えるのかも知れません。
闘わず、運命を受け入れる、その先にある幸せ物語。
ただし、この本を本当に読んでもらいたいインドの貧しい女性たちが、
いまだに読むための文字を知らないという現実は、
目の前を暗くするけれど。

moca、是非読んでごらん。
昔のきみなら、この本を読んで泣くかもしれないけれど、
いまのきみなら、元気と勇気が沸くに違いない。

今、このタイミングで、この本に出会えたことに、
僕はとっても感謝しています。


あらすじと感想は、とても秀逸なのが、ほかにもありました。
http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=1551&pg=20030107

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6 コメント

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プー!(*≧m≦)=3  (めのう)
2006-09-03 02:48:11
学校に提出できないもんだから

ここでしっかり発表しちゃってるしぃ(爆)

しかし、現代のお話だったんですね

それにはびっくり

図書館に行ってみようかなぁ



てかbさん、やっぱ甘やかしすぎwww

まぁ来年はお受験でしょうから、成績落とす訳にもいかないでしょうし…ですけど

まさか、高校行ってまではしませんよね?(爆)

人間、ひとつ光ってる物を持っているならそれで十分じゃない

bさんがオールマイティーすぎるんだよw

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読書感想文 (イリヤ)
2006-09-03 09:51:51
bさんエライ!

私なんて弟の読書感想文、1000円で下請けしてあげようって言ったら「イリヤの文章、幼稚すぎて提出できないからいらない・・」って言われました;;

でも口減らしで嫁ぐお嫁さんの持参金をあてにする嫁ぎ先・・どっちも哀しすぎます。
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ブログって。。。 (bays_star)
2006-09-04 11:34:00
めのうさん、ブログっていいですよね。

自分のやりたいこと、なんでもできるから。

感想文だって、書き放題だ(爆)



僕は、オールマイティなんかじゃありません。

昔、旧クルネコちゃんのブログで見た言葉、

「何でも出来る代わりに何一つ出来ない



ってのが、妥当なセンでしょう。



娘が高校進学の折は、めのうさんのブログで学んだ、

例の方法でいこうかと(笑)

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イリヤ。。。 (bays_star)
2006-09-04 11:44:49
僕が今まで読んだ中で、いちばんヒドイ話は、

アラン・シリトーの短編集「ノッティンガム物語」

に収録されている

「イーノックと2通の手紙」でしょうか。

ある日、父親と母親が、まったく同じ日に、



「あなたとは、もう一緒に暮らしていけません。

 息子のイーノックをよろしく」



という手紙を残して、蒸発しちゃうんだ。

ああ、可哀相なイーノック。。。



図書館行って、借りてくるべし!
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Unknown (とーこ)
2007-02-14 09:23:44
こういうテーマの本が、課題作品なんですか?うーん、私の世代では、「二十四の瞳」なんかでしたね~。自分の好きな本の感想文なら書けるかも。

確かに、IT王国インドでも、こういう現実もありますね。まぁ、いろいろというか…。私の知り合いのインド人女性には、子供連れて離婚して、再婚して、幸せに暮らしている人もいます。
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ふむふむ (bays_star)
2007-02-15 20:00:16
なんにしても、偏見は良くないってことだね。
物事にはいろんな視点があるし、
自分の目線だけでは計り知れない奥の深さがある。

僕にはインドの友人はいないからなぁ。
いつかインドの人と知り合うチャンスがあるといいな。
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