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蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

この一枚「ストレイト・アヘッド」J.R.モントローズ

2023-04-01 12:27:44 | ジャズ


このレコードのことはすっかり忘れていました。

どういう経緯で購入したのかは定かではないですが、確かに以前持っていました。

ジャケットはこれとは違ってイラストのものでしたが、結構気に入って何度も聴いた記憶があります。

モダン系のレコードを大量処分した際に手放したのは間違いありませんが、それ以来なぜか記憶から削除されて、「私的名盤百選」選考の際にも思い浮かばなかったようです。

最近になって、図書館でケニー・ドーハムの「アット・カフェ・ボヘミア」を借りてきて、このワンホーンのアルバムを思い出し、ディスクユニオンの店舗受取で再購入しました。

価格は680円でしたが、受け取りに行った吉祥寺ジャズ館にジャケット違いの480円という盤があって、すこし凹みました。

レコードの内容は「コートにすみれを」が入っていたことぐらいしか記憶になかったのですが、久しぶりに聴いてみると素晴らしいものでした。

まず、リズム隊が新鮮です。

ピアノはトミー・フラナガン、ベースがジミー・ギャリソン、そしてドラムがピート・ラロッカという他ではあまりお目にかからない面子です。

ピアノは説明不要の名人ですが、他の二人はより若い世代で当時の「新しいジャズ」に属する人たちと言って良いでしょう。

この人選が、いわゆるハードバップのリズムセクションとは違うフレッシュさを感じさせます。

曲は、「コートにすみれを」と「クリフォードの思い出」以外はモントローズのオリジナル5曲で、ワルツありブルースありラテンリズムあり、とバラエティーに富んだ構成です。

テナーサックスのワンホーンアルバムの中でも、これは個人的には1・2を争う名盤ではないか、と思います。

「100選」に加えたい一枚です。
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秋吉作品を聴く「カーネギーホール・コンサート」

2023-01-21 17:45:19 | ジャズ


前作「ウィッシング・ピース」以来6年ぶりの、ニューヨーク・バンド3作目は渡米35周年を記念して行われたカーネギーホールでのコンサートを収録したライヴ盤になりました。

録音は、1991年9月20日です。

曲はいつものように秋吉さんのオリジナルですが、「ユア・ビューティ・イズ・ア・ソング・オブ・ラブ」だけはリードアルトのフランク・ウェスの手によるものです。

1チルドレン・オブ・ザ・ユニバース - Children of the Universe
2アイ・ノウ・フー・ラブズ・ユー - I Know Who Loves You -
3アフター・ミスター・テン - After Mr. Teng
4ユア・ビューティ・イズ・ア・ソング・オブ・ラブ - Your Beauty is a Song of Love
5鴻臚館組曲 - Kourakan Suite
 パート1: 鴻臚館 - Part 1 Kourakan
 パート2: 祈り - Part 2 Prayer
6チェイシング・アフター・ラブ - Chasing After Love
7ハウ・ドゥ・ユー・ゲット・トゥ・カーネギー・ホール - How Do You Get to Carnegie Hall?

この中で、3アフター・ミスター・テンは、「フェアウェル」に、6チェイシング・アフター・ラブは「塩銀杏」に収録されていますが、他はこのアルバムで初めて演奏される曲です。

5の「鴻臚館」とは、「平安時代に設置された外交および海外交易の施設」で福岡・難波・京都にあったようですが、この曲はその中で発掘調査が進み展示館もある福岡市から依頼されたもののようです。

特筆すべきは、ゲスト参加のフレディ・ハバード(tp)のプレイです。

2・3・6・7でソロをとっていますが、特にアップテンポの3でのルー・タバキンとの凄まじいチェイスには興奮します。

ちなみにこの作品と次の「デザート・レディ」はコロンビア(ソニー)から発売されています。


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秋吉作品を聴く「インタールード」

2022-12-18 14:33:45 | ジャズ


1978年発売の「フィネス」に次ぐコンコード盤です。

1987年2月のレコーディングですから、ほぼ10年ぶりと言っていいでしょう。

ドラムスのエディー・マーシャルはトシコ・マリアーノ・カルテットのメンバーだった人で、久々の共演です。

ベースのデニス・アーウィンという人は、知らなかったので検索してみると、1970年代後半にアート・ブレイキーのジャズメッセンジャーズで、90年代にはスコット・ハミルトン(ts)やジョン・スコフィールド(g)とレコードを残していました。

収録全8曲のうち、秋吉さんのオリジナルが3曲、スタンダードが4曲、オペラ作品が1曲、という構成です。

オリジナルの「インタールード」と「アイ・エイント・ゴナ・アスク・ノー・モア」はアルバム「花魁譚」に、「アイ・ノウ・フー・ラヴズ・ユー」は「カーネギーホール・コンサート」でビッグバンド版を聴けます。

スタンダードは「ソー・イン・ラヴ」、「ユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム」、エリントン作「ソリチュード」、ベイシーナンバーの「ブルー・アンド・センチメンタル」。

残る「PAGLIACCI」はプッチーニ作とクレジットされていますが、ウエブで検索するとルッジェーロ・レオンカヴァッロ作のオペラ「道化師」があるだけで、間違いなのかよくわかりませんでした。

多分、このアルバムがレコードでも発売された最後のトリオ作だと思います。

CD時代に入っても、秋吉さんはバラエティーに富んだ作品を発表していきます。

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秋吉作品を聴く「ウィッシング・ピース」

2022-11-12 14:15:36 | ジャズ


1986年7月録音の、「ニューヨーク・バンド」第2作です。

前作「テンガロン・シャッフル」とは6名(トランペット1名、トロンポーン2名、サックス1名、ベース、ドラムス)が交代していますが、もちろんサウンドに影響はありません。

収録曲は「ウエストコースト・バンド」最後のアルバム「メモワール」でも演奏された「ミラノの饗宴」、タバキン作・秋吉さん編曲の「アンリクワイティド・ラブ(報われない愛・片思い)」、そしてB面全てを占める「リバティ・スート(自由組曲)」です。

「リバティ・スート」は、「レディ・リバティ」、フランク・ウェス(fl)をフィーチャーした「ウィッシング‣ピース」、「アップタウン・ストロール」で構成されています。

1986年は自由の女神像が建設されて100周年にあたり、ニューヨーク市が86名に「リバティ・アワード」なる賞を授与したらしいのですが、秋吉さんもその中の一人に選ばれ、その記念に作曲したものらしいです。

このアルバムが、おそらくレコードで発売された最後のビッグバンド作品でしょう。

次回作はやや間をおいて1991年9月録音のカーネギーホールでの実況盤で、以降はCDのみでの発売になったようです。

レコードファンとしては、残りの作品を全てレコード化してもらいたいものです。

レコード・ブームがまだ続いているようなので、どなたかやっていただけないでしょうか?

その際には、久しぶりに新譜として買いそろえたいと思います。
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秋吉作品を聴く「タイムストリーム」

2022-11-09 09:42:40 | ジャズ


1984年7月録音のトリオ・アルバムです。

これまでのトリオ作品では、旧知のジーン・チェリコやビッグバンドのメンバーがベースを弾いていることが多かったのですが、このアルバムで初めてジョージ・ムラーツと共演しています。

また、ドラマーも(レコード上は)初顔合わせとなる、ハードバップ全盛期の超売れっ子アート・テイラーという、新鮮なラインナップになっています。

油井正一さんのライナーノーツによると、ムラーツは秋吉さんが一度デュエットで共演してすっかり気に入っており、テイラーはムラーツとよく共演していたからという理由で決めたそうです。

テイラーは、「1959年にボストンのジャズ・クラブ「ストーリーヴイル」にセロニアス・モンクが来た際に、雲隠れしたモンクの代わりに秋吉さんが弾いた」という、秋吉さんが全く覚えていなかった思い出話をしてくれたそうです。

こういうエピソードを聴くと、秋吉さんがバド・パウエルやマイルス・デイヴィス、チャールス・ミンガス、もちろんモンクなどといった伝説のジャズ・ジャイアンツと同世代を過ごしたということが生々しく伝わってきます。

さて、収録曲はまず秋吉さんのオリジナルで大作「ミナマタ」の一部モチーフであった「プロスパリティ」で始まり、アート・テイラーのソロをフィーチャーした「コン・アルマ」、今度はムラーツのロングソロに終始する「ジャイアント・ステップス」と続き、チャップリン作のスタンダード「スマイル」、再びオリジナルのタイトル曲「タイム・ストリーム」、ラテン・リズムの「ティコ・ティコ」、全6曲です。

ムラーツ、テイラーという名人を得て、秋吉さんは生き生きと演奏を楽しんでいるようです。

このレコードの録音場所は、なんとブルーノートレコードでおなじみのルディ・ヴァンゲルダーのスタジオです。

秋吉さんは、ヴァンゲルダ―を嫌っていたらしいのですが、どういう心境の変化があったのでしょうか。

録音のことも含めて、この作品は他のトリオ作とは一味違うものになっているようです。
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