蓄音機でもジャズの話題でもないので気が引けるのですが、ここひと月ばからCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のレコードばかり聴いています。
私はジャズファンになる前はかなり熱心なロックファンでした。
きっかけは三歳上の姉の影響でした。
彼女がいわゆる「洋楽」を聴きだしたのが、私が小学校高学年のころ、1970年前後のことだったと思います。
兄弟というのはある種の対抗意識がはたらくようで、私も姉が聴いていたラジオ番組を聴き始め、姉と一緒にステレオ装置を買ってもらい、シングル盤を買い始めたのが私とレコード・音楽との出会いでした。
その後も「対抗意識」はつづき、姉とは贔屓のバンドがかぶらないように聴いていた気がします。
たとえば、姉が「ブラッド・スエット・アンド・ティアーズ(BS&T)なら私は「シカゴ」、「エマーソン・レイク・アンド・パーマー(EL&P)なら「キング・クリムゾン」、「デヴィット・ボウイ」なら「ロキシー・ミュージック」といった具合です。
CCRも姉が好きだったバンドでした。
それに対抗して私が聴いたのは、あえて言えば「ビートルズ」だったのかもしれません。
今ならCCRとビートルズを対等に扱うことはありえませんが、当時CCRは飛ぶ鳥を落とす勢いで、「ビートルズの後継者はCCR」などと真面目に言われていたのです。
まあ、とにかく姉はビートルズに手を出しませんでした。
そんなわけで私はCCRのレコードは持っていませんでしたが、曲はよく聴きました。
もちろんヒット曲の多いバンドでしたから、ラジオから流れてくる曲を耳にする機会は多かったのですが、それとは別に彼らを特集した番組を録音したテープをよく聴いたからです。
そのころ我が家には小型のテープレコーダーがありました。
まだカセットテープが普及する前ですから、オープンリールです。
それにCCR特集を録音し何度も聴きました。
私の場合は、音楽よりも司会の「みの・もんた」氏の軽妙でユーモラスなトークが面白かったからです。
そのころは文化放送のアナウンサーだったみの氏の虚実入り交えてのCCRに関するエピソードがとにかく楽しく、ほとんど暗記してしまったほどでした。
番組終わりの自己紹介で「新婚家庭スムーズみのもんた・・・」と言っていたのですから信じられないくらい昔です。
とにかくみの氏のトークと一緒にCCRのヒット曲も覚えてしまったというわけです。
CDが普及してきた1990年ころ、1970年代の洋楽のベスト盤(安価な輸入盤)を何枚か購入しました。
サンタナ、ボズ・スキャッグス、ビリー・ジョエルなどとともにCCRのものもありました。
例のテープで聴いた曲の他にも良い曲がたくさん入っていました。
それからはごくたまに聴いていましたが、ラジカセを手に入れてからはカセットテープに録音して聴くようになりました。
(ラジカセで聴くのはジャズよりもロックの方が私にはしっくりくる気がします。)
そうこうするうちに、レコードでも聴いてみたくなりました。
ベスト盤に収録されていない曲にも興味があります。
コロナ騒ぎでディスクユニオンは店を閉めていましたが、通販はやっていたので見てみると1000~1500円で結構出ていました。
5月になって「店舗受取」が再開されると、まずファーストアルバムの「スージーQ(原題は「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」)を買いました。
(「店舗受取」だと送料がかからないのでよく利用しています。)
それが気に入って、他のアルバムも買うことにしました。
ライブ盤・ベスト盤を除くとCCRは全部で7枚のアルバムを出しています。
1枚ずつ買っていって7枚全部そろえることにしました。
「店舗受取」とヤフオクを併用して週1のペースでそろえていきました。
昨日最後の1枚「バイユー・カントリー(邦題は「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル登場」)が届きました。
セカンド・アルバムですが、日本発売としては最初のものです。
姉が持っていたのは7枚中4枚です。
お互いが持っているレコードを聴くことはほとんどなかったので、ベスト盤に入っていない曲は初めて聴きました。
良い曲もたくさんありましたし、ベスト盤で聴くのとアルバムの中の曲として聴くのでは印象がちがったりして面白いです。
どのアルバムも恐らく今後も折に触れて聴くことになると思います。
CCRは3年足らずで解散しましたが、ファンタジーレコードに莫大な利益をもたらしたようです。
その後ファンタジーが、プレスティッジやリバーサイドなどのジャズの名門レーベルを傘下に入れることができたのはそのおかげかもしれません。
とすると、CCRはジャズファンにも貢献したことになるのではないでしょうか。