タイトルとジャケットを見るとノーマン・グランツお得意のバトルセッションかと思ってしまいますが、この盤は少し違います。
ドラマー2人が共演しているのは1曲だけで、他は2曲ずつをそれぞれが一人で叩いています。
ジーン・クルーパもバディ・リッチもスイング期を代表する白人ドラマーで、それぞれ自身のビッグ・バンドを率いていた大スターですが、スタイルはかなり違います。
リッチは、自分で世界一と豪語し、それを誰もが認める程のテクニシャンです。
一方、クルーパは派手なアクションのドラム・ソロというイメージが強いかもしれませんが、実はソリストを巧みに鼓舞する繊細なドラミングをする人です。
この名人2人に、ディジー・ガレスピーとロイ・エルドリッジ、イリノイ・ジャケーとフリップ・フィリップスというペットとテナーの名手を二人ずつ配して、いつものバトルをさせつつ二人の名ドラマーの違いを浮き彫りにしよう、というのがこのアルバムのテーマだと思います。
唯一の共演トラックにしても、対抗心むき出しという訳ではなく、それぞれが自分のスタイルを貫いています。
オスカー・ピーターソンという申し分ないピアニストと共に二大ドラマーがフロントの4人をどのようにプッシュしていくのか、またそれによって4人のバトルがどう展開するのか、聴きどころ満載の1枚です。