蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

私的名盤100選:96「クルーパ・アンド・リッチ」 ジーン・クルーパ&バディ・リッチ

2016-02-27 23:11:15 | ジャズ


タイトルとジャケットを見るとノーマン・グランツお得意のバトルセッションかと思ってしまいますが、この盤は少し違います。

ドラマー2人が共演しているのは1曲だけで、他は2曲ずつをそれぞれが一人で叩いています。

ジーン・クルーパもバディ・リッチもスイング期を代表する白人ドラマーで、それぞれ自身のビッグ・バンドを率いていた大スターですが、スタイルはかなり違います。

リッチは、自分で世界一と豪語し、それを誰もが認める程のテクニシャンです。

一方、クルーパは派手なアクションのドラム・ソロというイメージが強いかもしれませんが、実はソリストを巧みに鼓舞する繊細なドラミングをする人です。

この名人2人に、ディジー・ガレスピーとロイ・エルドリッジ、イリノイ・ジャケーとフリップ・フィリップスというペットとテナーの名手を二人ずつ配して、いつものバトルをさせつつ二人の名ドラマーの違いを浮き彫りにしよう、というのがこのアルバムのテーマだと思います。

唯一の共演トラックにしても、対抗心むき出しという訳ではなく、それぞれが自分のスタイルを貫いています。

オスカー・ピーターソンという申し分ないピアニストと共に二大ドラマーがフロントの4人をどのようにプッシュしていくのか、またそれによって4人のバトルがどう展開するのか、聴きどころ満載の1枚です。
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私的名盤100選:95「スタン・ゲッツ・アンド・ザ・オスカー・ピーターソン・トリオ」

2016-02-27 23:09:49 | ジャズ


スタン・ゲッツは、すでに「スタン・ゲッツ・カルテット」と「スウィート・レイン」を選んでいますが、この快作も選ばずにはいられません。

ヴァーヴ・レーベルと契約して以降、ゲッツはクールなサウンドからハードにスイングするスタイルに徐々に変わっていきますが、このアルバムはその時期のゲッツを捉えた最良の一枚です。

ヴァーヴのハウス・リズムセクションとも言えるオスカー・ピーターソン・トリオがバックを務めていますが、ピーターソン(p)、レイ・ブラウン(b)、ハーブ・エリス(g)によるドラムのないトリオというのがこのセッションの特色です。

当時のピーターソン・トリオは、この編成だったのだから当然といえば当然なのですが、レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、ベン・ウェブスター、ソニー・スティットなどとの吹き込みでは、皆ドラムが加わっています。

これが、グランツ、あるいはゲッツの意図だったのか、たまたまだったのかは分かりませんが、ドラムがないことでゲッツの溢れ出るフレーズがより浮かび上がる気がします。

グランツお得意のバラード・メドレーもあり、名手たちの至芸を堪能できる選曲です。

このレコードを聴くと、モダン・テナーの最高峰はやはりゲッツだと納得できるばずです。
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私的名盤100選:94「シッツ・イン・ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ」 ソニー・スティット

2016-02-27 23:06:31 | ジャズ


ソニー・スティットは、チャーリー・パーカー(as)と演奏スタイルがよく似ているためアナザー・バードなどと呼ばれ、彼自身それを気にしてパーカー存命中は主にテナーを吹いていたそうです。

しかし、彼のプレイはパーカーとは似て非なるもので、ファンもそれを理解していたのは、彼が生涯に残した膨大な数のアルバムが証明しています。

さて、彼は職人的プレイヤーで、どのアルバムでも高水準の演奏をキープしています。

中でも名盤の誉高いのが、ルースト・レーベルの「フロム・ペン・オブ・クインシー・ジョーンズ」ですが、私は敢えてこちらを選びました。

理由は、まず、オスカー・ピーターソン・トリオがバックを務めるワン・ホーン・カルテットでの録音であること。

加えて、テナーも吹いていることです。

スティットはどんな編成でもこなせますが、最も本領発揮できるのは自由に吹けるワン・ホーンで、しかもオスカー・ピーターソン・トリオが相手となれば、それこそ何でもできそうです。

また、スティットのテナーはアルト同様素晴らしく、私はむしろテナーの方が好みです。

テナーに関しては、レスター・ヤングの影響を受けたと言われますが、スタン・ゲッツやズート・シムズのようないわゆるレスター派のテナーではなく、リラックスしたゆとりを感じさせて気持ちよくスイングするあたりにレスターの面影が忍ばれる、ということだと思います。

さて、このレコードはA面がアルトでパーカーとルイ・アームストロングに、B面がテナーでレスターとベン・ウェブスター、ハリー・エディソンなどのスイング期の巨人に捧げる演奏を収めています。

従って、A面はパーカー、B面はベイシーゆかりの曲中心になっています。

また、このレコードは、ピーターソン・トリオにエド・シグペン(drms)が加入して初めてのツアー途中にパリで吹き込まれたもので、オスカー・ピーターソンにとっても特別なものです。

ライナーによると非常に楽しいセッションで、全てワン・テイクで録音されたという、ピーターソンのキャリアの中でも珍しいレコーディングだったそうです。

なるほど、そうした状況で吹き込まれた演奏が悪かろう訳がありません。

快演です。
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サンスイAU-707

2016-02-27 23:03:55 | オーディオ


オンキヨーやLoーDの時もそうでしたが、このサンスイも使っているうちに良くなってきました。

最初は低音が出過ぎでトーンコントロールをかなり絞っていたのですが、このところ大分落ち着いてきて、バランス良く鳴るようになってきました。

フォノイコライザーも同様で、最初はあまり感心しませんでしたが、最近ではLoーDとはまた別の味わいある良い音を奏でるようになってきました。

このアンプは、背面のスイッチでプリとパワーを分離出来るので、プリメインアンプとして使う他にプリアンプとしてトライオードに繋ぎ、パワーアンプとしてLoーDと繋いでいます。

つまり、現在、プリ・パワーの組み合わせは、

1LoーD・トライオード

2LoーD・サンスイ

3サンスイ・トライオード

と3通りあり、それにプリメインのサンスイとオンキヨーを加えると5通りの音が楽しめるようになっています。

さらに、それぞれのフォノイコライザーを独立して(rec.out端子から出力)使うと組み合わせはもっと増えます。

今のところ、一番気に入っているのはサンスイ・トライオードのペアで、LoーDに比べてレンジは狭いものの、ジャズ、特に管楽器は太い音で魅力的です。

一方、プリをLoーDにすると、音場が広がりすっきりと伸びやかな音になります。

また、フォノイコライザーをLoーDにしてサンスイ・トライオードペアで聴くと、ちゃんとその中間の音がします。

これまで入り口から出口まで一直線のシステムだけを聴いてきてそれが当たり前だと思っていましたが、こういう楽しみ方も良いものだと認識を新たにしました。

1970年代までのプリメインアンプは、プリとパワーが分離出来るモデルが多いようです。

アンプを買い換える際に、下取りに出さずに2台のプリメインアンプで4通りの音を楽しむという選択肢もあったのだろうな、と考えて当時のオーディオ・ファンの「ゆとり」というか「懐の深さ」のようなものを感じました。
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コロンビア No.164 その2

2016-02-12 12:30:30 | 蓄音機


せっかく手にいれた164なのでキレイにしようと思います。

モーターボードを外した時に、箱の内側だけは掃除しておきました。

ネットで購入した他の蓄音機と同じく鉄針がたくさん落ちていて、ホコリもたまっていました。

もう一度、ボードを外して、ホーンの中を掃除します。

モーターは異常なさそうですが、念の為に香箱(ゼンマイが入っている筒状の箱)を開けて様子を見てみます。

この機種はダブルゼンマイなので、香箱も2つです。

グリスが足りないようなので、追加しておきました。

本当は、古いグリスは取り除いた方が良いのでしょうが、面倒なので追加するだけにしておきます。

ボードの表面やレコード入れの中は革張りですが、カビなどで白くなっています。

靴クリームをつけて磨き、黒い靴墨を塗ってみました。

メッキに錆びはありますが、まずまずキレイになり満足です。

さて、例のサウンドボックスですが、ビスを外してみても分解できません。

そこで、ガタつきがあるアームを先にバラしてみることにしました。付け根部分のネジを外し、穴に錐を差して回すと取れました。

グリスが固くなっています。ボールベアリングが6個、窪みにはまって回転する簡単な構造でした。

黒いグリスを拭き取り、新しいグリスを塗って・・・。

ボールが落ちてしまうので、少し苦労します。

グリスで固めて、試行錯誤してなんとかはまりました。

考えればなんとかなるものです。

ガタつきもなくなりイイ感じですが、針のナナメは解決しません。

意を決して、サウンドボックス(NO.9)をバラすことにします。

ネジを外して、取れそうなところを力技でー‥。

パリンと取れて片側が床に落下しました。

癒着していたようです。

振動盤が逆向きに凹んでいたので指で押すと、ペコンと簡単に戻りました。

ナナメの原因はコレだなぁ、と組み立ててレコードに針を下ろすと、案の定ほぼ垂直になりました。

レコードをかけてみると、さすが純正、5Bよりしっくり来ます。

これが本来(?)の164の音なんだなぁ、と一応は納得しました。

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