
秋吉さんとルー・タバキンがニューヨークで新たに結成したビッグバンドの第1作です。
バンド名が、これまでの「トシコ=タバキン・ビッグ・バンド」から「トシコ・アキヨシ・ジャズオーケストラ・フィーチャリング・ルー・タバキン」に変わっています。
実質はこれまで同様の双頭バンドなのですが、タバキンが他の仕事をしやすいように配慮したためだそうです。
ジャケットで、かわいらしいカウボーイ姿でボーズをとっているのは一人娘の満ちる嬢です。
バンドメンバーは一新されたわけですが、ベイシーアイツのフランク・ウエスがリード・アルトとなり、アルトとフルートのソロを聴かせてくれているのは嬉しい限りです。
演奏はまず、秋吉さんの好きなシャッフル・リズムのタイトル曲で始まります。
新たな旅立ちに心躍る感じがします。
続いては、ウェスのアルトサックスをフィーチャーしたバラッド「フェイディング・ビューティ」。
A面ラストは、1980年のクール・ジャズ・フェスティバルの一企画「アキヨシ・トシコ・アンド・フレンズ」でディジー・ガレスピーたちと演奏したアップテンポの曲で、ブライアン・リンチ(tp)が鮮やかなソロを聴かせます。
B面最初は、15分越えの大作「ブルー・ドリーム」で今度はジム・スナイデロのアルトが長いソロをとります。
アルバム最後は、フルートカルテット+トリオで「トゥッティ・フルーティ」としてレコーディングしたことのある「ハッピー・ホッファー」です。
もちろん、ルー・タバキンのテナーとフルートが全曲で聴けるのは言うまでもありません。
1984年5月録音のこのアルバムで「デビュー」した新バンドは、2004年まで何と20年も存続しました。
以前も書きましたが、私はこのアルバム発売直後に札幌でコンサートを聴きました。
そして、おそらく会場で販売していたこのレコードを購入しました。
しかし、未熟だった私の耳にはなじまず、秋吉さんの音楽に「再会」したのはバンド解散後のことでした。
よく分からないながらもこの後も秋吉さんの作品を聴き続けていたら良かった、という後悔が残ります。