蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

秋吉作品を聴く「トシコより愛をこめて」

2022-04-24 21:11:33 | ジャズ


トシコ=タバキン・ビッグ・バンドの10作目のアルバムは、これまでとはちょっと違った趣向のものです。

もともと秋吉さんのビッグバンドは、秋吉さんの作品だけを演奏する、というのがコンセプトでした。

ところが、このアルバムは全曲ルー・タバキンの作品を秋吉さんがオーケストレーションしたものです。

秋吉さんはこのアルバムについて、「従来の先品パターンに変化を与え、ちょうど良い息抜き」になる、「どちらかといえば肩の凝らない作品」で「たまにはこうしたものも良いでしょう」、「このアルバムを通じて、ビッグバンドによるルーの作品を味わう機会を持てることは、嬉しい限り」などと語っておいでです。

収録曲は、ドン・バイアス(ts)を追悼して書いた「ア・ビット・バイアスト」、ソニー・クリス(as)追悼の「ラメント・フォー・ソニー・クリス」、「レット・ザ・テープ・ロール」、信楽焼の狸と「証城寺の狸ばやし」にインスパイアされたと思われる「タヌキの夜遊び」、「桜の最後の花びらが落ちる風情を表現しよう」とフルートのために書いた「落ちる花びら」、ビッグバンド2作目の「ロング・イエロー・ロード」で発表された「イェット・アナザー・ティア」、全6曲です。

このアルバムは、秋吉さんにビッグバンド結成を勧め、コ・リーダーとしてバンドを成功へと導いてくれたルー・タバキンへの感謝の1作なのでしょう。
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この一枚:「ビリー・ホリディの魂vol.2」

2022-04-17 14:09:39 | ジャズ


何年か前の正月にヴァ―ヴ録音のコンプリート・ボックスセットを手に入れてから、日本で発売された同レーベルのアルバムも買いそろえて来ました。

そのボックスセット付録のディスコグラフィを参考にしてほとんど集めたのですが、1956年のカーネギーホールでのライヴ録音だけが未入手でした。

カーネギーホールでの音源が収録されている「ジ・エッセンシャル・ビリー・ホリディ/カーネギーホール・コンサート」を探していたのですが、先日ディスクユニオンでこの盤を見つけ、裏面の解説を読んでみると「ジ・エッセンシャル・ビリー・ホリディ」には歌の合間にナレーションが入っている、と書いてありました。



この時のカーネギーホール・コンサートは、ビリーの自伝「レディ・シングス・ザ・ブルース」の発売記念的な意味があったのでしょう。

ナレーションは、その自伝からの抜粋をニューヨーク・タイムズ誌のライター、ギルバード・ミルステイン氏がステージで朗読したものだったようです。

一方、「ビリー・ホリディの魂vol.2」のライブ音源はそのナレーション抜きのものであり、加えて当時未発表だった2曲に大和明氏選曲の4曲が追加されている、とのことでした。

そういえば「ビリー・ホリディの魂vol.1」も同氏選曲の6曲が収録されていました。



大和明氏はビリー・ホリディ研究の第一人者ですから、氏の選曲によるビリー・ホリディの代表作が聴けるのはとても楽しみです。

このアルバムは、ビリー・ホリディ没後20周年を記念して、当時既にLP 盤は全て発売済みであったポリドールレコードが大和氏の提案を受けて編集したものだそうです。

上記のような事情を知らなければ、おそらく「ジ・エッセンシャル・ビリー・ホリディ」の方を購入してしまったでしょう。

このレコードを先に見つけて、裏解説を立ち読みできたのはラッキーでした。
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この一枚:「A・B・C」高瀬アキ(p)

2022-04-10 14:58:28 | ジャズ


思い起こしてみると、ジャズを聴き始めたころは日本人プレイヤーのレコードもそれなりに買っていました。

何から買ってよいか分からないので、スイングジャーナルのレビューなどを参考にしていたわけです。

買ったのは新譜ばかりで、本多俊之(as)、古沢良次郎(drms)、小宅珠美(fl)、宮沢昭(ts)、増田一郎(vib)といった方々のものが記憶に残っていますが、宮沢さんと増田さん(宮沢さん参加)以外はすでに手元にありません。

このアルバムもそうした中の一枚で、もちろんスイングジャーナルも参考にしたのでしょうが、シーラ・ジョーダン(vo)の参加も購入動機だったのではないか、と思います。

シーラは、スティーブ・キューン(p)のECM盤「思い出のワルツ」で知り、結構気に入っていましたので。

当時は持っているレコードが少なかったこともあり、割と頻繁に聴いていたように思います。

先日、久々にディスクユニオンに寄った際に450円!で出ていたので、思わず買ってしまいました。

タイトルの「A」は高瀬アキ(Aki)、「B」はボブ(Bob)・モーゼス(drms)、「C」はセシル(Cecil)・マクビー(b)のイニシャルのようです。

曲は、高瀬さんのオリジナル「 アイ・ヒア・ユア・ミュージック」、「憧憬」、「ありし日のエバンス」、「 A B C」、「 浄夜」、「1月19日」に加えて、橋本一子(p)さんの「ダウン・ダンス」、リー・コニッツの「サブコンシャス・リー」の全8曲です。

ほとんどの曲に聞き覚えがあって懐かしくもありましたが、40年経って聴くと新譜のように新鮮で、改めて気に入りました。

今度は手放さずにおこうと思います。

ちなみに、高瀬さんは現在ベルリン在住で、精力的に活動されています。
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