
チャーリー・クリスチャンはモダンジャズギターの祖と呼ばれています。
ただ単にアンプをつないでソロをとった、というだけでなく、彼の弾くモダンなフレーズがバップの誕生に貢献したという訳で、その意味ではレスター・ヤングと共通しています。
そんな二人のスタジオでの共演を捉えた唯一の記録がこのレコードです(サイド2:3-7)。
編成は、二人に加えて、ベニー・グッドマン(cl)、バック・クレイトン(tp)、カウント・ベイシー(p)、フレディー・グリーン(g)、ウォルター・ペイジ(b)、ジョー・ジョーンズ(ds)のオクテットです。
ベイシーのコンボにクリスチャンとグッドマンが加わって、カンサスシティ・エイトと言っても良さそうなメンバーですが、内ジャケットの写真を見るとグッドマンが中央でりードしている様子が見て取れます。

ライナーによると、グッドマンはこのメンバーで活動することを考えており、このセッションはそのためのリハーサルだったということです。
レスターとクリスチャンはそれぞれソロをとる以外に特別な絡みはありませんが、当時のレスターは絶頂期にあり創造的なソロを吹いています。
ベイシーにもたっぷりとソロスペースが与えられ、「間の芸術」・「休止符の間でさえスイングしている」と評された独特のピアノスタイルが楽しめます。
加えて、バック・クレイトンが素晴らしいプレイを聞かせます。
残念なことにこの計画は実現せず、グッドマンはクーティー・ウィリアムズ(tp)とジョージ・オールド(ts)をフロントにレコーディングをしていきます(ベイシーは加わります)。
もしかしたら、あまりにベイシーカラーが強くて自分が客演しているような印象になるのを嫌ったのかもしれません。
いずれにしても、この録音が残っていたのは幸運でした。
中古レコード店でごくたまに見かけますので、ベイシーファンの方は見つけたら「買い」です。
ちなみに、サイド1:1-5はベイシー・バンド、サイド1:6-8・サイド2:1-2は、グッドマン・セクステットのライブ録音です。
これからも応援しています。乱文失礼しました。