goo blog サービス終了のお知らせ 

蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

秋吉作品を聴く「スケッチイズ・オヴ・ジャパン」

2024-12-01 15:11:27 | ジャズ


「91(ナインティ―ワン)」レーベルでの8作目は、1990年の「リメンバリング・バド」以来9年振りのピアノトリオ作品で、タイトル通り日本に縁のある曲集です。

以下の7曲が収録されています。

1「キョート・パラドックス」
「モノポリーゲーム」に収録された「琴とジャズ・オーケストラの組曲」の第1部の曲です。

2「チルドレン・イン・ザ・テンプル・グラウンド」
原曲は相馬民謡「かんちょろりん節」で1965年「トシコの子守歌」に収録され、その後1975年のビッグバンド作品「ロング・イエロー・ロード」で「チルドレン~」名で発表されました。

3「鶴崎踊り」
大分民謡の「鶴崎踊り」を元にした新作です。秋吉さんが1998年に大分県から「かぼす大使」に任命されたことへの返礼だそうです。大分県は中国から引き揚げてきた秋吉さんがまず落ち着いた場所(別府)であり、またジャズピアニストとしての第一歩を踏み出したところでもあります。

4「毬と殿様」
2と同様「トシコの子守歌」に収録されていたおなじみの童謡です。

5「リポーズ」
1996年発表の「フォー・シーズンズ・オヴ・モリタ・ビレッジ」収録の同名組曲の第1部(冬)です。

6「プレイヤー」
1991年の「カーネギーホール・コンサート」収録の「鴻臚館組曲 」パート2です。

7「グルービン・イン・ヨコハマ」
トランペットの原朋直とアルトサックスの山田穣を加えたクインテットによる初録音の曲です。フロントの二人を思い浮かべて書いたそうです。

リズム陣は、ベースが「モノポリーゲーム」に参加していたフィリップ・アーツ、ドラムスは1960年の「トシコ=マリアーノカルテット」のメンバーで1987年「インタールード」にも参加したエディ・マーシャル(6だけカール・アレン)です。

「日本人である自分のジャズ」を貫いてきた秋吉さんが、日本をテーマにして制作した初めてのアルバムです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋吉作品を聴く「トリビュート・トゥ・デューク・エリントン」

2024-11-23 15:08:32 | ジャズ


前作「モノポリーゲーム」に続くニューヨーク・バンドの第7作目です。

録音された1999年は、デューク・エリントンの生誕100周年に当たり、モントレー・ジャズ祭はそれを記念して秋吉さんに「エリントンに捧げる」曲を依頼しました。

アルバムタイトルとなっている組曲がそれで、
1「セレブレーション・オブ・デュークス・バース」
2「ユーロジー」
3「デューク・フォー・ジ・エイジズ」
の3部構成となっています。

1はまず、冒頭の意表を突く大太鼓「ドドンドドン」と合いの手「ハイ!」に驚かされ、その後も大太鼓が活躍します。

また、2では雅楽の打楽器「鞨鼓(かっこ)」が登場しゆったりした日本的な響きが聴かれる演奏です。

3は一転してアップテンポのエキサイティングな演奏で、タバキン(ts)のロングソロがフィーチャーされます。

アルバムには組曲の他、エリントンナンバー「プレリュード・トゥ・ア・キス」、「デイ・ドリーム」、「歌を忘れよう」の3曲が収録されていますが、組曲も含めて全てモントレー・ジャズ・フェスティバルでも演奏されています。

敬愛するエリントンの作品をどのように演奏しているのか、エリントン楽団のものと聴き比べるのも面白いでしょう。

この作品は、トシコ・アキヨシ・ジャズ・オーケストラ・フィーチャリング・ルー・タバキンのスタジオ録音としては最後のものです。

この後、2枚のライヴ・アルバムを残して2003年末バンドは解散することになります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋吉作品を聴く「トシコ・プレイズ・トシコ/時の流れ(タイム・ストリーム)」

2024-11-16 16:57:54 | ジャズ


1996年10月録音の「99(ナインティワン)」レーベルでの7作目です。

この年は秋吉さんにとって渡米40周年であり、ジャズ活動開始50周年ということで、「記念盤」らしくCDケースに豪華(?)な紙カートン付きです。



中央の穴からジャケットの若き日の秋吉さんが見える趣向です。

ジャケットは幼少期からの秋吉さんがコラージュされており、副題「時の流れ」を表しています。

内容は、タイトル通り全てこれまでに発表された秋吉さんのオリジナル曲の再演で、ロサンゼルス時代の主要ソリストであったボビー・シュー(tp)とゲイリー・フォスター(as)との再会も楽しみです。

ベースは「リメンバリング・バド」以来のジョージ・ムラーツ、ドラムスはおなじみのルイス・ナッシュ、曲によってルー・タバキンとビッグバンドのメンバーが加わります。

曲目及び収録アルバム・ソリストは以下の通りです。

1ロング・イエロー・ロード「トシコ・マリアーノ・カルテット」他収録 トリオ

2メモリー 「孤軍」他収録 トリオ+ボビー・シュー(tp)

3孤軍 「孤軍」他収録、トリオ+ルー・タバキン(fl)

4インタールード 「花魁譚」他収録 トリオ+ゲイリー・フォスター(as)

5スタジオJ「ザ・メニー・サイズ・オブ・トシコ」他収録 トリオ

6フェアウェル・トゥ・ミンガス「フェアウェル」収録 トリオ+ルー・タバキン(ts)

7デラシネの花「マーチ・オヴ・ザ・タッド・ポールズ」収録 トリオ+ジョー・マグナレリ(tp)、ジム・スナイデロ(as)

8ザ・ファースト・ナイト「トップ・オブ・ザ・ゲイトの秋吉敏子」収録 トリオ+フルートアンサンブル

9ジャミン・アット・カーネギー「テンガロン・シャッフル」収録 トリオ+ジム・スナイデロ(as)、ジョン・エカート(tp)、ルー・タバキン(ts)

10タイム・ストリーム「タイム・ストリーム」他収録 ピアノ・ソロ

ところで、このレコードのタイトルはかなり紛らわしいものです。

「トシコ・プレイズ・トシコ」は1978年録音の同タイトルがあり、「タイム・ストリーム」も1984年録音のアルバムがあります。





秋吉さんの作品を集めているときは、この3作には混乱させられました。

ともあれ、「記念盤」にふさわしい充実した一枚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋吉作品を聴く「イエス、アイ ハヴ ノー 4ビート トゥデイ」

2024-11-10 14:29:46 | ジャズ


「ナインティ・ワン(91)」レーベルからの第6弾は、タイトル(「ノー 4ビート)」が示す通り意表をついたボサノバ集です。

リズム陣にブラジル系のプレイヤーを配し、曲によってルー・タバキンやホーン奏者、チェリストを加えて、ボサノバ、ボサノバ以前のラテン、スタンダード、秋吉さんのオリジナルにクラッシックの人気曲まで含んだ選曲で、バラエティーに富んだ楽しいアルバムになっています。

そのブラジル系奏者というのは、
デュデュカ・ダフォンセカ(drms)
バルチーニョ・アナスタシオ(perc)
イーボ・アラウフォ(perc)
の3名で、いずれも私にはなじみのない名前ですが、ライナーノーツによるとアントニオ・カルロス・ジョビンのレギュラー・ドラマーだったダフォンセカをはじめ著名な人たちらしいです。

この3名に初顔合わせのリンカーン・ゴーインズ(el.b)、ビッグバンドからルー・タバキン(fl)、スコット・ウェンドホルト(tp)、スコット・ウィットフィールド(tb)に、レイ・スチュアート(tuba)とロベルタ・クーパー(cello)が加わります。

曲は、ジョビン作の「ワンス・アイ・ラヴド」・「ワン・ノート・サンバ」、古いラテンナンバー「ティコ・ティコ」・「アマポーラ」、スタンダード「スター・アイズ」、オリジナル「ポリネイション(「フォー・シーズンズ:森田村の四季」収録)・「ウォーニング!サクセス・メイビー・ハザーダス・ユア・ヘルス(「ロード・タイム」他収録)、そしてバッハ作曲の「G線上のアリア」です。

1995年8月録音の、秋吉さんとしては異色のアルバムです。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋吉作品を聴く「ナイト・アンド・ドリーム」

2024-10-26 15:22:46 | ジャズ


1994年6月録音の「91(ナインティワン)」レーベル5作目です。

今回はフロントをビッグバンドから3人ピックアップしてのセクステットです。

三作連続のウォルト・ワイスコフ(ts)と「シック・レディ」参加のスコット・ロビンソン(as・bs・bcl)にジョー・マグナレリ(tp)の3人がただソロを回すのではなく、曲に応じてソロを分け合っています。

秋吉さんが「理想的なベース奏者」と絶賛するピーター・ワシントンも三作連続の参加で、ドラムスのミッキー・ローカー(drms)とは久しぶりの共演です。

ローカーは1968年の「トシコ・アット・トップ・オブ・ザ・ゲート」と1970年の「イン・ジャパン」に参加していたので、一緒の録音は24年振りになります。

1「ナイト・ワルツ~あなたと夜と音楽と」
2「ダーン・ザット・ドリーム」
3「エルシブ・ドリーム」
4「月光値千金」
5「星に願いを」
6「ドリーム」
7「夜は千の目を持つ」
8「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」

曲名を見るとアルバムタイトルの「夜」と「夢」に関係あるものばかりで、それが今回の趣向というわけです。

オリジナルの「エルシブ・ドリーム」(「塩銀杏」収録)以外はよく知られた曲ですが、1曲目の「ナイト・ワルツ」は「あなたと夜と音楽と」のコード進行で秋吉さんが書いたテーマで、「あなたと~」のメロデイは終盤で「ナイト・ワルツ」と同時に出現するという洒落たアレンジの演奏です。

なお、「エルシブ・ドリーム」と「夜は千の目を持つ」(「トシコ、旧友に合う」収録)以外は初録音の曲だそうです。

いつものことですが、選曲・ソロ・アレンジと聴きどころの多いアルバムです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする