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蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

秋吉作品を聴く「ニューヨーク・スケッチ・ブック」

2025-01-05 14:38:25 | ジャズ


「91(ナインティワン)」レーベルからの11作目は5年振りのトリオ作です。

前のトリオ・アルバム「スケッチ・オブ・ジャパン」といわば対になる作品で、秋吉さん長年の活動の場であるニューヨークにまつわる曲を集めたものになっています。

録音された2003年8月は、すでにビッグバンドの解散が発表されており、翌9月にはブルーノート東京でラストライヴが予定されていました。

そんな状況で吹き込まれた本作は、ピーター・ワシントン(b)とケニー・ワシントン(drms)という「ディグ(1993年)」と同じリズム隊との共演です。

曲目は、カーティス・フラーの「ブルースエット」でおなじみのベニー・ゴルソン作「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」に始まり、セロニアス・モンク作「52番街のテーマ」、ジョン・ルイス作「スケーティング・イン・セントラル・パーク」、デューク・エリントン作「ドロップ・ミー・オフ・イン・ハーレム」、ジョン・コルトレーン作「セントラル・パーク・ウエスト」といったジャズ・オリジナルにビリー・ジョエル作「ニューヨーク・ステイト・オヴ・マインド」、秋吉さんオリジナルの「アップタウン・ストロール」、「レディ・リバティ」(ともに「ウィッシング・ピース」1986年収録)を加え、最後に数年前にイチロー出演のテレビ・コマーシャルでよく耳にした「私を野球に連れてって」で終わります。

ちなみに、ラストの「私を~」は1908年に発表された古い曲で、メジャーリーグでは7回表終了後の小休止の時にスタンドの観衆が立ち上がって歌うのが習慣だそうです。

秋吉さんは73歳(録音時)という年齢を感じさせない若々しさで相変わらず素晴らしい演奏を披露しています。

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秋吉作品を聴く「ヒロシマ ー そして終焉から」

2024-12-29 16:18:40 | ジャズ

前作「トリビュート・トゥ・デューク・エリントン」以来2年ぶりのビッグバンド作品です。

タイトルから容易に想像がつくように、このアルバムは広島の善正寺住職の委嘱を受けて作曲した同タイトル曲を初演した2001年8月6日、広島厚生年金会館での実況録音盤です。

タイトル曲「ヒロシマ・ライジング・フロム・ジ・エイビーズ(ヒロシマーそして終焉から)」は3楽章からなる43分にもおよぶ大曲です。

第1楽章:無益な悲劇
第2楽章:生存者の語り
第3楽章:希望

1楽章では爆発のすさまじさをジョージ・川口氏のドラムソロが表し、公募で選ばれた広島県立船入高等学校演劇部員によるナレーションが当日の悲劇が語られます。そのバックには韓国を代表する民族楽器奏者である元長賢氏の笛が物悲しく響きます。

3楽章は、一月後に起きた同時多発テロ事件を受けてその後コンサートの度に演奏されることになりました。

アルバムには、オープニング・テーマの「ロング・イエロー・ロード」と「ウィッシングピース」(1986年)も収録されています。

秋吉さんはこの後ライヴアルバムを1枚のこしてビッグバンドを解散します。



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秋吉作品を聴く「ソロ・ライヴ・アット・ザ・ケネディ・センター」

2024-12-22 14:45:48 | ジャズ


2000年4月1日にライヴレコーディングされたピアノ・ソロ・アルバムです。

レコードではメイベックでのリサイタルから6年振りのピアノ・ソロですが、当時秋吉さんは精力的にソロでのライヴを行っており、このアルバムに先立つ3月には日本で20か所も公演して回ったようです。

曲は、オリジナルの「インプロビゼーション イン ファイヴ」、「ザ・ヴィレッジ」、「リポーズ」にパウエルの「ウン・ポコ・ロコ」、エリントンの「アイ・ゴット・イット・バッド」、アルバム「トシコ=マリアーノカルテット」で演奏したゴスペルの「ディープ・リヴァー」、ガレスピーの「コン・アルマ」、スタンダードの「カウント・ユア・ブレシング」、「ジャスト・ワン・オヴ・ゾーズ・シングズ」、そしてアンコールの「テン・テン(毬と殿様)」、というヴァラエティ豊かなものです。

「メイベック」と重複するのは「ザ・ヴィレッジ」と「コン・アルマ」だけで、ちなみに2004年のソロ・ライヴのアルバムとは「ディープ・リバー」以外は全て異なる選曲になっています。

私としては、1978年のコンコード盤「フィネス」で好きになった「カウント・ユア・ブレッシング」が聴けるのが嬉しいです。


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秋吉作品を聴く「ライヴ・アット・ブルー・ノート・トーキョー ’97」

2024-12-15 15:57:52 | ジャズ


1997年9月録音のこのライヴアルバムは、副題に「フィーチャリング・Motohiko Hino」とあるように1999年5月に亡くなった日野元彦さんへの追悼盤です。

秋吉さんと日野さんは1976年、ルー・タバキンのリーダー作「デイ・ドリーム」で初共演、その約20年後(1995年)横浜のジャズ・プロムナード・コンサートで再会し、ベースの鈴木良雄さんとのトリオで演奏しました。

それ以来3年連続で秋吉さんは日野・鈴木とのトリオで来日公演を行い、その3年目の演奏を収録したのがこのアルバムです。

3年目ということでトリオとしての一体感もあり、3人が演奏を心から楽しんでいる様子が感じられます。

選曲は、オリジナルの3曲「ロング・イエロー・ロード」、「アイ・ノウ・フー・ラヴズ・ユー」、「シック・レディ」にエリントン作「ソフィスティケイテッド・レディ」、バド・パウエル作「ウン・ポコ・ロコ」、スタンダード2曲「カウント・ユア・ブレッシング」、「星に願いを」です。

日野さんのドラミングはまるで歌を歌うようで、秋吉さんの演奏に秘められた日本的なものがいつもに増して感じられるようです。

このトリオのスタジオ録音も聴きたかったです。

日野ご夫妻のジャズクラブ「アルフィー」には1999年7月にもこのトリオによるライヴの予定が入っていましたが、秋吉さんは来日し、ソロで演奏されたそうです。

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秋吉作品を聴く「トシコ・アキヨシ・アット・メイベック」

2024-12-14 15:33:50 | ジャズ

1994年7月録音のソロピアノによるアルバムです。

ジャケットにあるように、これはコンコード・レーベルの「メイベック・リサイタル・ホール・シリーズ」という企画の36作品目です。

メイベック・リサイタル・ホールというはカリフォルニア州バークレイにあり、コンコードが1989~1995年の間に42人のジャズピアニストのリサイタルを行いCD化しました。
スタンリー・カウエル、ケニー・バロン、バリー・ハリス、スティーヴ・キューン、ハンク・ジョーンズ、ジーン・ハリス、シダー・ウォルトン、ローランド・ハナ、ジョージ・ケーブルス、等々錚々たる顔ぶれです。

秋吉さんは1971年に初めてのソロピアノアルバムを出していますが、その時の5曲を今回再演しています。
「ザ・ヴィレッジ」「ポルカ ドッツ アンド ムーンビームズ」「イット ワズ ア ベリー グッド イヤー」「オールド・デヴィル・ムーン」「ソフィスティケーティッド レディ」

加えて「ロング・イエロー・ロード」収録のオリジナル「カドリール エニワン」、バド・パウエル作「テンバス・フュージット」、エリントン作「カム・サンディ」、ディジー・ガレスピー作「コン アルマ」,スタンダード「ザ シングス ウィー ディド ラスト サマー」

以上の10曲をいつもの美しい音色で演奏しています。

秋吉さんのピアノを聴きたいと思うと、ついトリオ作に手が伸びますが、純粋にピアノだけを楽しめるソロも良いものだと改めて思いました。

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