
「91(ナインティワン)」レーベルからの11作目は5年振りのトリオ作です。
前のトリオ・アルバム「スケッチ・オブ・ジャパン」といわば対になる作品で、秋吉さん長年の活動の場であるニューヨークにまつわる曲を集めたものになっています。
録音された2003年8月は、すでにビッグバンドの解散が発表されており、翌9月にはブルーノート東京でラストライヴが予定されていました。
そんな状況で吹き込まれた本作は、ピーター・ワシントン(b)とケニー・ワシントン(drms)という「ディグ(1993年)」と同じリズム隊との共演です。
曲目は、カーティス・フラーの「ブルースエット」でおなじみのベニー・ゴルソン作「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」に始まり、セロニアス・モンク作「52番街のテーマ」、ジョン・ルイス作「スケーティング・イン・セントラル・パーク」、デューク・エリントン作「ドロップ・ミー・オフ・イン・ハーレム」、ジョン・コルトレーン作「セントラル・パーク・ウエスト」といったジャズ・オリジナルにビリー・ジョエル作「ニューヨーク・ステイト・オヴ・マインド」、秋吉さんオリジナルの「アップタウン・ストロール」、「レディ・リバティ」(ともに「ウィッシング・ピース」1986年収録)を加え、最後に数年前にイチロー出演のテレビ・コマーシャルでよく耳にした「私を野球に連れてって」で終わります。
ちなみに、ラストの「私を~」は1908年に発表された古い曲で、メジャーリーグでは7回表終了後の小休止の時にスタンドの観衆が立ち上がって歌うのが習慣だそうです。
秋吉さんは73歳(録音時)という年齢を感じさせない若々しさで相変わらず素晴らしい演奏を披露しています。