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蓄音機でジャズを聴く!

蓄音機とジャズを中心に、日々の出来事をつづる。

秋吉作品を聴く「穐吉敏子オーケストラ・イン・上海 フィーチャリング・ルー・タバキン」

2025-05-10 16:03:55 | ジャズ


2010年10月17日、上海東方芸術中心でライヴ録音されたアルバムです。

秋吉さんは1993年にNHKの番組で戦後初めて生まれ故郷の満州を訪れ、放課後にピアノを習った恩師「楊(ヤン)」先生と再会しました。

そして、1995年にオーケストラを率いて再訪し、恩師の前で演奏を披露しました。

中国でもう一度コンサートを行いたいという秋吉さんの思いは、同じく満州出身の全日空会長:大橋洋治氏らの支援を得て実現することになりました。

ビッグ・バンドは2003年に解散していましたので、メンバーのスケジュール調整などで多忙を極める中、出発前に3日間のリハーサル、さらに現地で中国楽器の奏者を加えてのリハーサルを行い当日を迎えました。

収録曲はおなじみ1「ロング・イエロー・ロード」、1991年カーネギーホール・コンサートで演奏された2「アイ・ノウ・フー・ラヴズ・ユー」、1995年大連・瀋陽コンサートで初演された恩師に捧げた3「マイ・ティーチャー・ミスター・ヤン」、四川省康定県に伝わる民謡をアレンジした4「康定情歌」、リンカーンセンターからの委託で作曲した5「ドラム・コンファレンス」、2001年広島で初演され2003年の同時多発テロ事件以降はコンサートのクロージングナンバーとなった6「ホープ」です。

3と6ではマンディ・満ちるがボーカルで加わっています。

今のところ最後のビッグ・バンド作品です。

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秋吉作品を聴く「クラシック・エンカウンターズ」

2025-04-27 15:19:59 | ジャズ


2010年5月に東京で録音された、クラシックの名曲を取り上げた作品です。

アルバムの構成は、各曲まず旧知のピアニスト本荘玲子氏が原曲を演奏し、それに続いて秋吉さんが独自の解釈で演奏する形をとっています。

これは、ジョン・ルイスから贈られた、彼がミリアナ夫人と共演したアルバム「ゴールドベルク変奏曲」で、夫人がハープシコードで演奏した後にジョンが即興演奏するという構成を踏襲したもののようです。

演奏曲は以下の通りです。

1モーツァルト:トルコ行進曲
2バッハ:2声のインヴェンションよりニ短調
3ショパン:ノクターン作品9-2
4ベートーヴェン:ソナタ「悲愴」よりロンド
5チャイコフスキー:バレー組曲「くるみ割り人形」より「アラビアン・ダンス」
6グリーグ:ソルヴェーグの歌
7フォーレ:パヴァーヌ
8レオンカヴァッロ:オペラ「道化師」より「衣装をつけろ」
9ビゼー:オペラ「カルメン」より「ボヘミアンの踊り」

1は秋吉さんが小1のときに上級生の弾く同曲がきっかけとなってピアノを習い始めた、というピアニスト秋吉の原点となった曲です。

6は1961年の「ロング・イエロー・ロード(黄色い長い道)」や1978年の「フィネス」にも収録されている古くからの愛奏曲です。
元々はスタン・ゲッツの「ディア・オールド・ストックホルム(スウェーデン歌曲)」に触発されてレパートリーに取り入れたそうです。

8はチャーリー・マリアーノのレパートリーで、トシコ=マリアーノカルテットでよく演奏し、その後ソロのレパートリーとなったそうですが、これまで録音されてはいないようです。
しかし、この「衣装をつけろ」の秋吉さんのソロを聴く限り、1993年の「砂漠の女」に収録された「ハーレクイン・ティアーズ」はこの曲がベースになったものと思われます。
同アルバムのライナーノーツで「この曲を書いたときにあるグランド・オペラが心にあった」と語っておられます。

このアルバムのコンセプトは、決してクラシック曲のジャズ化ではありません。
原曲をテーマとしているのは6「ソルヴェーグの歌」だけで、秋吉さんの演奏を聴いて原曲を思い浮かべることできるのは3「ノクターン作品9-2」と5「アラビアン・ダンス」くらいでしょう。

他のソロ・アルバムとは異なる「穐吉ワールド」が味わえる好企画だと思います。


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秋吉作品を聴く「レット・フリーダム・スイング」

2025-03-29 15:59:11 | ジャズ

このアルバムは、秋吉さんがドイツの「SWRビッグバンド」に指揮者・ピアニストとして客演した珍しい作品です。

SWRビッグバンドとは、1950年に南ドイツ放送連盟によって設立されたラジオ放送のためのダンスオーケストラが起源のバンドで、近年ではカウント・ベイシー楽団のアレンジャーとして有名なサム・ネスティコや、フランク・フォスター、ドン・メンザ、ビル・ホルマンなどのアメリカの著名アレンジャー・ビッグバンドリーダーとのコラボアルバムを制作してきています。

このアルバムでは秋吉さんのオリジナルを12曲演奏していますが、アンサンブル、ソロともに本家と甲乙つけがたい内容です。

収録曲は、1「ドラム・コンファレンス第3楽章」2「リポーズ」3「ハーレクイン・ティアー」4「孤軍」5「ミラノの饗宴」6「レット・フリーダム・スイング」7「レディ・リバティ」8「ポリネイション」9「アイ・ノウ・フー・ラヴズ・ユー」10「ウォーニング!サクセス・メイ・ビー・ハザーダス・トゥ・ユア・ヘルス」11「ソング・フォー・ザ・ハーベスト」12「ホープ」13「ハーレクイン・ティアー(ライヴ・バージョン)」

秋吉バンドでの演奏は、2・8は「フォー・シーズンズ」、3は「砂漠の女」、4は「孤軍」、5は「メモワール」、7は「ウィッシングピース」、9は「カーネギーホール・コンサート」10は「ロードタイム」11は「フェアウェル」12は「ヒロシマーそして終焉から」で聴くことができます。

1「ドラム・コンファレンス」はニューヨークのリンカーンセンターからリズムをテーマに委託されて作った曲で、このアルバムが初収録でしたが2年後のバンド再結成時のライヴアルバム「イン上海」でも演奏されています。

アルバムタイトルにもなっている6「レット・フリーダム・スイング」は初収録で、現在のところ秋吉バンドでの演奏は録音されていないようです。
「インサイツ」収録の「ミナマタ」を思わせる曲調で、フランクリン・ルーズベルト大統領夫人で人権活動家として知られるエレノア・ルーズベルトのスピーチがフィーチャーされています。

秋吉バンドとの最大の差異は、やはりルー・タバキンのテナーとフルートが聴こえないことです。

本家の演奏と聴き比べてみるのも楽しいと思います。




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この一枚「マスター・オブ・ジ・アート/ウディ・ショウ」

2025-03-29 12:51:51 | ジャズ


このレコードも、以前処分して最近買いなおした一枚です。

ウディ・ショウを知ったのは、多分スイングジャーナル誌の新譜紹介だったと思います。

ジャズを聴き始めて間もないころで、情報はもっぱら同誌から得ていました。

CBSから出た「ユナイテッド」がそのアルバムでした。


次に発売されたのがこの「マスター・オブ・ジ・アート」で、当時話題になっていた新レーベル「エレクトラ・ミュージシャン」からのリリースでした。

メンバーは前作同様当時のレギュラークインテットの面々で、ゲストとしてボビー・ハチャーソン(vib)が加わっています。

ウディ・ショウ(tp)
スティーヴ・ターレ(tb)
マルグリュー・ミラー(p)
スタッフォード・ジェームス(b)
トニー・リーダス(dr㎳)

録音は1982年2月、ニューヨークのクラブ「ジャズ・フォーラム」でのライヴで、プロデューサーはマイケル・カスクーナです。

演奏曲はどれも魅力的で、ウォルター・デイビス・ジュニア作の「400イヤーズ・アゴー・トゥモロウ」、マイルス・デイビスが「スティーミン」で演奏している「ダイアン」、セロニアス・モンクの「ミステリオーソ」、そしてショウのオリジナル「スウィート・ラヴ・オブ・マイン」、以上4曲です。

オープニングの「400イヤーズ・アゴー・トゥモロウ」はアフロビートとフォービートが交互に繰り返される面白い構成の曲で、当時強烈な印象を受けました。

また、「スウィート・ラヴ・オヴ・マイン」はジャッキー・マクリーン(as)のブルーノート盤「デモンズ・ダンス」に収録されていて人気曲らしいのですが、私は未聴でした。
昨年、アート・ペッパーの「ザ・トリップ」を購入して同曲を聴いたときに聞き覚えがあると思いましたが、「ここで聴いていたんだ。」と腑に落ちました。



ウディ・ショウは、他にも同一メンバーによるライヴ盤を2枚購入しましたが、最も印象に残ったのは当アルバムでした。

フュージョン全盛だった時代に4ビートを貫いたウディ・ショウの名盤です。


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秋吉作品を聴く「ヴィンテージ デューク・エリントン・ソングブック」

2025-03-15 16:24:33 | ジャズ


多分2007年録音(正確な年月日は何故か記載されていません)のルー・タバキンとの初のデュオアルバムです。

秋吉さんオリジナルの一曲「ユーロジー」以外は全てエリントン及びビリー・ストレイホーンによる作品です。

「ユーロジー」はエリントン誕生100周年を記念して、モントレージャス祭によって依頼された「エリントンに捧げる」組曲の第2部にあたる曲です。

他は「A列車で行こう」、「ソフィスティケイテッド・レディ」、「ムード・インディゴ」、「スイングしなけりゃ意味ないよ」「イン・ア・センティメンタル・ムード」といったスタンダードから、よく聴く「コットンテイル」、「オール・トゥ・スーン」、「ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー」、あまり馴染みのない「ドロップ・ミー・オフ・イン・ハーレム(秋吉さんは「ニューヨーク・スケッチブック」で演奏しています)」、「ジプシー・ウィズアウト・ア・ソング」、「セレナーデ・トゥ・スウェーデン」まで12曲が選ばれています。

演奏は、公私にわたって40年来のパートナーとのデュオなのですから悪かろう訳がありません。

ありそうでなかった夫婦デュオによる作品です。

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