紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

星の王子さま

2006-03-06 23:58:32 | 読書
 年齢的にはとっくに十分すぎるくらい「おばさん」といっていいのに、いまだに気持ちは子ども。「若い娘」でも「少女」でもなく。自覚しないといけないと思って入るんだけど・・・。

 夫・H氏はそのことをしっかり見抜いているので、「自覚しなあかんで」とありがたい忠告をしてくれる。「たまには鏡でじっくり自分の姿をみな。自覚できるで!」と。・・・そんなことしたら、落ち込んでしょうがないやんか~。

 読書会の課題本で『星の王子さま』(サン=テグジュペリ/内藤:訳 岩波書店)を久方ぶりに読んだ。

 子どもの頃、父親が勝手に買って来たのを繰り返し読んだ。うわばみに飲まれた象の絵は、子どもの私にはやっぱり帽子にみえて、かなりショックだった。「大人かよ~自分」。子どものセンスのない子ども、大人の自覚のない大人。常にアンバランスな私。

 子どもの頃の感想はそれだけではない。なんだかとても気恥ずかしい話だと思っていた。判りきったお説教を、さも感心したみたいに聞いてる時みたいな。なんとなく釈然としない挿話もあった。たしかスイッチバックの話。今だってやっぱり釈然とはしない。どんなに年をとっても、私の中で意味が展開していかないだけなんだろうけれど。

 それでも、あんなに繰り返し読んだのは、なぜなんだろう。まだ輸入品が舶来品と言われていた頃だったから(ホントです)、おフランスっぽいイラストに憧れたのか。謎のような言葉を解き明かしたかったのか。

 たぶん『星の王子さま』の本の中に漂う空気に浸っていたかったのだと思う。お風呂に入る様に、「ちょっくら『星の王子さま』に浸かってきます~」って。ほとんど幻の3Dのように、こたつに寝そべりながら、ござの上でごろごろしながら、『星の王子さま』の世界に入り込んでいた。

 私が今も昔も一番共感した『星の王子さま』の住人。それは「飲んべえ」「飲み助」「酔っぱらい」。『お酒を飲むのが恥ずかしい。それを忘れたいからお酒を飲む』なんて、めちゃめちゃ人間らしい。「お金がないのに過剰に買い物する」とか「減食しようと思う程よけい食べてしまう」とか自覚症状ありすぎ!
 でもその無意味さを強烈に覚えているからこそ、きっと私は「忘れたいからお酒を飲む」ことだけはしたことがないのかも。もっとも飲酒自体に興味がないしなー。趣向を凝らしたボトルを眺めるのは好きだけど。

 いま『星の王子さま』は末宴bシュ。故・倉橋由美子から辛酸なめ子まで、お気に召すままお選びください。