虐待児の保護、マオリ族に学べ 加害の親含め親族会議
2006年12月19日 ASAHI.COM
虐待された子どもの保護を家族や親族の意見などで決めるニュージーランド式のシステムが注目されている。「子どもは家族や親族が育てる」と考える先住民マオリ族の家族会議の慣習を採り入れたもので、法制化から18年目。専門職が子どもの保護や更生方法を決めるのではなく、虐待をした親を交えた親族が決めていく発想は将来再び子どもとスムーズに暮らせると欧米などにも広がりつつある。厚生労働省研究班は来年度から全国数カ所で試験的な取り組みを始める。
ウェリントンで11月末、ニュージーランドのシステム「ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)」に関する初めての国際学会「カミング・ホーム」が開かれた。政府機関「子ども、青少年家庭局」の主催で、米、日、英など12カ国の研究者らが参加した。パネルディスカッションでは、今年6月にオークランドの団地で起きた虐待事件にかかわった関係者が、制度の有効性を訴えた。
生後3カ月のマオリ族の双子が頭部損傷で死亡。21歳の父親が殺人容疑で逮捕された。家には祖父やおじなど9人の大人が同居していた。
双子のほかに、2人の子どもがいたため、8月、養育について話し合うFGCが開かれた。FGCは事案ごとにつくられ、このケースもソーシャルワーカーや警察官などの専門職、家族や親族が集まった。
まず、子どもの祖父母や親族も含めた「拡大家族」で、事件の経緯や家族の状況を把握した後、子どもの養育先などを決める。その後、専門職を交えて、家族が決めた養育計画を検討。全員が合意すれば計画通りに進むが、反対があれば家庭裁判所へ移される。
残された2人の子どもは、自宅から離れた地域に住む親族が引き取ることになった。
FGCは1989年、子どもの福祉に関する決定に家族参加をうたった「子ども、青年とその家族法」がつくられたことをきっかけに制度化された。背景に、ニュージーランド人口の14%を占めるマオリ族の「子どもは家族と所属する部族が育てる」という家族観がある。
子どもの保護策を虐待した親も交えて親族が話し合うことで、虐待した親の更生を親族で支えるとともに、将来子どもと一緒に暮らしやすくなるという。
米、英、北欧などでは先駆的取り組みとして、一部の児童保護機関や民間団体がFGCを実施。90年代から、家族と専門職が協働して子どもの保護につなげる傾向が強まっている。
日本では、来年度から3年間の予定で、厚生労働省のプロジェクト研究班が、全国数カ所の児童相談所などで試験的に実施、効果や問題点などを探り日本型FGCの可能性を検討する。高橋重宏・東洋大教授(ソーシャルワーク論)は「親族の付き合いがあり、きずながまだ残っている日本人には有効な方法ではないか。法的根拠や制度をどうするかなども整理したい」としている。
〈マオリ族の民族運動とFGC〉 先住民マオリ族は1840年以降、英国の植民政策下に置かれた。1980年代に権利回復運動が盛り上がり、伝統文化の見直しが進んだ。その中で、高い少年非行率や虐待など家族問題のために、施設や血縁関係のない里親の元に子どもが置かれることへの不満も噴出。マオリ政策を提言する大臣諮問委員会が86年に発表した報告書「プアオ・テ・アタ・ツ(夜明け)」は、社会福祉の分野でマオリの伝統的な親族(家族)や部族内で問題を解決する「当事者参画型システム」の導入を提言した。FGCのベースとなった。
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子供にとっては親に守ってもらうのが一番安心なわけです。
その親から虐待を受けてしまうっていうのは本当に悲劇。
死ぬまで我慢しちゃうし、親を好きだから他人に訴えないわけです。
親に愛されていないかも知れないなんて現実を受け入れられないわけですね。
本当に悲劇です。
精神科の治療と同じく、親もろともに救済する必要があるのでしょう。
日本語では「畜生にも劣る」なんて表現がありますが、野生動物には殆ど見られないことでしょう。
これは人間固有の病気なのかも知れません。
恐ろしいことです。
2006年12月19日 ASAHI.COM
虐待された子どもの保護を家族や親族の意見などで決めるニュージーランド式のシステムが注目されている。「子どもは家族や親族が育てる」と考える先住民マオリ族の家族会議の慣習を採り入れたもので、法制化から18年目。専門職が子どもの保護や更生方法を決めるのではなく、虐待をした親を交えた親族が決めていく発想は将来再び子どもとスムーズに暮らせると欧米などにも広がりつつある。厚生労働省研究班は来年度から全国数カ所で試験的な取り組みを始める。
ウェリントンで11月末、ニュージーランドのシステム「ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)」に関する初めての国際学会「カミング・ホーム」が開かれた。政府機関「子ども、青少年家庭局」の主催で、米、日、英など12カ国の研究者らが参加した。パネルディスカッションでは、今年6月にオークランドの団地で起きた虐待事件にかかわった関係者が、制度の有効性を訴えた。
生後3カ月のマオリ族の双子が頭部損傷で死亡。21歳の父親が殺人容疑で逮捕された。家には祖父やおじなど9人の大人が同居していた。
双子のほかに、2人の子どもがいたため、8月、養育について話し合うFGCが開かれた。FGCは事案ごとにつくられ、このケースもソーシャルワーカーや警察官などの専門職、家族や親族が集まった。
まず、子どもの祖父母や親族も含めた「拡大家族」で、事件の経緯や家族の状況を把握した後、子どもの養育先などを決める。その後、専門職を交えて、家族が決めた養育計画を検討。全員が合意すれば計画通りに進むが、反対があれば家庭裁判所へ移される。
残された2人の子どもは、自宅から離れた地域に住む親族が引き取ることになった。
FGCは1989年、子どもの福祉に関する決定に家族参加をうたった「子ども、青年とその家族法」がつくられたことをきっかけに制度化された。背景に、ニュージーランド人口の14%を占めるマオリ族の「子どもは家族と所属する部族が育てる」という家族観がある。
子どもの保護策を虐待した親も交えて親族が話し合うことで、虐待した親の更生を親族で支えるとともに、将来子どもと一緒に暮らしやすくなるという。
米、英、北欧などでは先駆的取り組みとして、一部の児童保護機関や民間団体がFGCを実施。90年代から、家族と専門職が協働して子どもの保護につなげる傾向が強まっている。
日本では、来年度から3年間の予定で、厚生労働省のプロジェクト研究班が、全国数カ所の児童相談所などで試験的に実施、効果や問題点などを探り日本型FGCの可能性を検討する。高橋重宏・東洋大教授(ソーシャルワーク論)は「親族の付き合いがあり、きずながまだ残っている日本人には有効な方法ではないか。法的根拠や制度をどうするかなども整理したい」としている。
〈マオリ族の民族運動とFGC〉 先住民マオリ族は1840年以降、英国の植民政策下に置かれた。1980年代に権利回復運動が盛り上がり、伝統文化の見直しが進んだ。その中で、高い少年非行率や虐待など家族問題のために、施設や血縁関係のない里親の元に子どもが置かれることへの不満も噴出。マオリ政策を提言する大臣諮問委員会が86年に発表した報告書「プアオ・テ・アタ・ツ(夜明け)」は、社会福祉の分野でマオリの伝統的な親族(家族)や部族内で問題を解決する「当事者参画型システム」の導入を提言した。FGCのベースとなった。
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子供にとっては親に守ってもらうのが一番安心なわけです。
その親から虐待を受けてしまうっていうのは本当に悲劇。
死ぬまで我慢しちゃうし、親を好きだから他人に訴えないわけです。
親に愛されていないかも知れないなんて現実を受け入れられないわけですね。
本当に悲劇です。
精神科の治療と同じく、親もろともに救済する必要があるのでしょう。
日本語では「畜生にも劣る」なんて表現がありますが、野生動物には殆ど見られないことでしょう。
これは人間固有の病気なのかも知れません。
恐ろしいことです。