あや乃古典教室「茜さす紫の杜」

三鷹市&武蔵野市で、大学受験専用の古文・漢文塾を開講しました。古文教師の視点から、季節のいろいろを綴ります。

桃の節句⑥「桃季言わず」

2013-03-07 17:56:21 | 
桃季言わず(とうり もの言わず) 春幾ばくか暮れぬる
煙霞(えんか)跡無し 誰か栖んじ(たれか すんじ)

(現代語訳)
桃季の花は年々咲くけれども、いったい道士が登仙してから、
何度の春を送り迎えたのか、尋ねても黙して語りません。
石室をめぐる山々に煙霞がたなびいても、
跡をとどめない、はかない煙霞に向かって、
昔ここに誰が住んでいたのか、問う術もありません。

(注)
「桃季物言わず」とは、
史記の李将軍伝に「桃季物言わず、下自ら蹊(みち)を成す」とある、
諺の引用です。

成蹊大学の名前も、この句に由来しています。

*和漢朗詠集収録歌は、講談社学術文庫325からの引用です。
転記ミスがありましたら、ご容赦下さい。

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