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Dr.Horiiのひとりごと

徒然なるままにクルマや日々の出来事を書きとめた雑記帳です。
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トランスアクスルのお話(ミッションじゃなく、デフなんですよ)

2011-05-18 20:16:13 | PF氏の部屋

調教して貰った75EVO仕様


簡単だと思う無かれ、何も考えずにシンクロリングのみ交換するのは本当のプロでない!。 
ミッションを分解するというのは、デフも一緒に分解しているのであ~るw。
このキモ作業をPF氏に寄稿して貰ったダス 




アルフェッタから、登場したトランクアクスル。
重量配分を考慮して採用されたこのシステムは、トランスミッションと、デフが一体化されているために、ミッション側のシンクロ交換のときに、特別な配慮が必要です。

一部のブログで、この手のトランスアクスルのシンクロ交換が簡単なように書いていますが、それは無知ゆえのことであり、トランスアクスルの構造を良く知っているメカニックなら、一見簡単なこの手のシンクロ交換は、もっとも難しい仕事と判断できます。
われわれは伊藤忠時代からこのトランスアクスルに携わり、よその無知なメカニックが分けもわからず作業した結果のデフのうなりの出ている中古車を何台も見てきています。

トランスアクスルのギヤ部分を下ろすこと自体は、たしかに、普通の前にミッションがついている車よりも ある意味簡単で短時間でおろすことはできます。
しかし、ここで大切なことは、この116系のトランスアクスルは、アウトプットシャフトが、デフのピニオンギヤであるということです。
デフのピニオンギヤの、前後位置は、100分の一の精度で決められていて、実に薄いシムで最終位置決めをされているのです。
116系のトランスミッションのシンクロ交換の作業は、デフピニオンの突き出し量を決めている、重要な部分を分解するということで、分解前には、ピニオンの突き出し高さを、特殊工具のハイトゲージにて、測定しておいて、最終組み立て時に、規定トルクでピニオンシャフトのナットを締めたあとに、元の高さであることを確認することが重要です。この高さが狂うと、デフがうなります。

簡単にミッションがおろせて、短時間でシンクロ交換できると、素人に毛の生えたメカニックは実に簡単にばらしますが、それが落とし穴で、116系の、手荒く使われた車、シンクロ交換を要するほど走り込んだ車は、大概において、デフピニオンシャフトの薄いシムが千切れてなくなり、ガタが生じてたたかれて、厚いほうのシムが削れてしまっています。
シムに問題があるかどうかは、簡易的に点検する方法としては、トランスアクスルを下ろした後、アウトプットシャフトのナットを緩める前に、一度規定トルクに、ほんのプラスアルファーのトルクで、締めこんでみて、回るようなら、シムが規定の値より減っていると考えられます。もうその時点で、デフの調整という、メカニックの腕の見せ所の作業が必要ということになります。特殊工具の持っていないメカニック、デフの突き出し調整の意味のわからないメカニックは、もうそれ以上の作業はやめたほうがいいでしょう。

アルファロメオの105系のデフを車載状態で、センター部分だけを下ろしてしまうメカニックや、何も考えずに、デフのミットシールを交換するために、ミットナットを緩めるメカニックも、修理しているのではなく、壊しているのと同じなんです。

デフは、ピニオン高さ調整を完全にして、その後、リングギヤのサイドベアリングのプレロード調整と、左右位置の調整で、歯当たり、バックラッシュを調整します。
最終的に、光明丹で当たりの幅を見ます。
完全なベタあたりはギヤ-が磨り減っていて、力をかけると迎えに行く歯の先がリング側をかじります。良いギヤーなら全面的には当たらず、手で回すトルク位では3分の2lくらいが当たり、その中心が前進方向で、真ん中より少し後ろ側あるのが、コツです。
素人には難しい、100分の一の寸法調整が必要な世界です。
車載ではできません。
まともな仕事のできないメカニックだけが、車載でもできると思っているだけです。
アルファロメオは、国産の、デフの玉だけ外せる車種とは違います。

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サイドベアリングのアウターレースを、アルファロメオ純正特殊工具を使ってはずす。


デフピニオン端面と、デフの中心の距離を、規定寸法に調整。ダイヤルゲージの100分の1の値まで調整が必要です。116系のピニオンは、2種類のピニオン厚さのものがあります。マニュアルの規定数値と、ピニオンに書いてある、ペイント数値をプラスマイナスして調整します。この作業は、116のトランスアクスル、105のデフともに、車載では絶対にできません。


リングギヤとのセットの記号と、+28の、修正寸法が電子ペンでマーキングされているのがわかると思います。書かれた数値の+28とは、100分の28mmのことです。メーカーは100分の1mm単位での調整を求めています。

光明丹の光具合から、前進方向の当たりの位置が、端の部分からは当てていないのがわかると思います。(うんとトルクかければ、もう少し前のほうから当たりはじめますが)


手で回したくらいのトルクでは、完全にセンターに当たってはいけません。


写真ぶれていてすいません。

写真写りは悪くても、この当たりでデフのうなり音は、まったくありません。


凹んだ場所にあるインプットシールも、特殊工具があれば、まっすぐにきれいに入ります。





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