現在乗っている車はリース車両でして
今まで5年間契約でリースを
受けておりましたが
5年間で5万キロしか乗っていないし
装備や乗り心地も気に入っているので
あと2年間再リースを受けることに決めて
本日再契約を結びました
少し高い気もしますが
車検&メンテナンス料込みなので
車検でドカッとお金を請求されないのが
嬉しいです
現在乗っている車はリース車両でして
今まで5年間契約でリースを
受けておりましたが
5年間で5万キロしか乗っていないし
装備や乗り心地も気に入っているので
あと2年間再リースを受けることに決めて
本日再契約を結びました
少し高い気もしますが
車検&メンテナンス料込みなので
車検でドカッとお金を請求されないのが
嬉しいです
大阪王者原田大輔率いるユニット「グレア」
先週前フリのあった
「新戦力」
ふたを開けてみれば
「副社長」ブラックバファロー選手の加盟でした
思えば
バファローさんといえば
今まで大阪で結成されたユニットの
大半に参加した経歴を持つ「ユニット参加男」
また
大阪の頂点を極めたとはいえ
彼本来のポジションは
トップではなくソレを支える参謀ポジション
もうちょっといえば
リングはもちろん「観客動員」という
見えない敵と戦う
副社長の座にある方
そういった立場のバファローさんが
今後の大阪マット
(若手ばかりで参謀タイプのいない)「グレア」に
己の使命&居場所を見出だしたのも
理解できますし
原田&バファローコンビに新鮮味を感じます
若き王者を支えるバファローさんと「グレア」
今後の大阪マットに期待します
ただ
残念なのはバファローさん抜けたことで
長年続いたタイガースマスクとの迷コンビが
しばらく見れなくなったこと
でも
その辺はユルい大阪マットなので
いつかこっそり再結成されるかもしれません
大相撲初場所は9日目を終わり
応援する西前頭10枚目
隠岐の海関は五勝四敗の成績
ケガで休場した先場所からの
巻き返しの場所とはいえ
この成績は物足りない
今年は正念場の年
残り全勝に期待します
頑張れ 隠岐の海!!
47話にして
ついに克服された?レッドのウイークポイント
…前半で克服しておけば
ここで苦しむこともなかったでしょう
少なくとも
真冬の屋上に放置され(ry
この一年で髪型の変わったエンターさん
データのバックアップはしているけど
レッドバスターに負けた記憶は
フォルダ保存せず上書き保存していた模様
本人曰く「不本意な敗北」だそうですが
アナタもともと戦闘能力高くありませんから
残念
すっかり再生怪人と化したエスケイプたん
何度倒されてもセーブしたところからやり直せるという
夢の娘さんですが(当初の)じゃじゃ馬エスケイプがお気に入りだった
エンターさんは面白くない模様
彼は所謂「釣った魚に餌をやらない」タイプだったのか?
大方の予想通り?
今月は「米子映画宴」が開催されます!
ネギマンよどこへ行く!
みんなの意見・質問を赤井孝美監督にぶつけよう!!
開催要項は以下のとおり
日時2013年1月26日(土)18:30開場/19:30開宴
場所DARAZ CREATE BOX(鳥取県米子市法勝寺町70)
ゲストネギマン、武田康廣
参加費1,000円(1ドリンクつき)
2次会 3,000円(飲み放題+料理)
お問い合わせTEL:0859-21-5281
E-mail:yonagofilm@gmail.com
その日は20:00まで仕事なワタクシ
仕事後はスクランブルとなります
はたして何時に参加できるでしょう?
Wrestle Angels PBeM
Episode1 天使轟臨 ~Angels Flying in the Supercell~
(前回のつづき)
▼日本 秋田県本荘市 本荘市総合体育館
(おっと……おセンチは禁物や)
団体を離脱し、フリーレスラーとなった彼女は、自分の食い扶持は自分で稼がねばならなかった。
試合のギャラだけでは、とうていやっていけない。
では、どうするか?
「“クイーン・サドンデス”参上ッ!! アンタはコレで、DEATHっちゃいなッッ!!」
「わーい、サドンデスのねーちゃんだー」
「あっ、アレ、LIAたんじゃね?」
「ホントだ、生LIA様だ!」
ヌンチャクを振り回しながらアピールし、集まってきた客にグッズを販売する。
これがなかなかバカにならない。
(……こういうのも悪くないなぁ)
少なくとも、寿ナントカの手下になって、はした金のためにコキ使われるよりは、ずっと楽しい日々だった。
現在は“オフィス・サドンデス”という会社を立て、窓口としている。
もっとも、彼女以外のスタッフがいるわけではないのだけれども。
▼日本 秋田県本荘市 本荘市総合体育館・控え室
さて、売り子を終えた理亜が控え室で試合の準備をしていると、団体のトップ・ハヤテがやってきた。
「こりゃどうも、社長さん」
「やぁやぁどうもリアさん、こんな遠くまでお疲れ様です!」
「いえいえ、試合が出来ればそれで結構ですから」
これは、まんざら社交辞令でもない。
若手としては知名度・人気共に高い理亜だが、女子プロレスのリングに上がるのはなかなか簡単ではない。
ウワサでは、ワールド女子を買収した寿一派が、“裏切り者”である彼女への報復を計画しているとも聞く。
そんな大げさな……と思っていた彼女も、先日グラビア撮影を機に知遇を得た《フレイア鏡》から警告を受けるにいたって、さすがに認識をあらためた。
――“西のリア”に逃げられたことに、千歌お嬢様はいたくご立腹らしいわよ。
それはそれでまんざらでもない気分だが、闇討ちなどされてはたまらない。
更には、
(……厄介なのに目つけられとるしなぁ)
新女の〈フランケン鏑木〉。
かつて、ワールドにおびき寄せるつもりで、新女の九州ドーム大会に乱入、彼女を襲撃したことがあった。
が、まさかの団体崩壊によってウヤムヤになってしまったのである。
――せやから、あの時の件、チャラにしてくれへんやろか?
共通の知人(東女の〈南奈 るい〉)を通じて彼女にそう伝えたのだったが、鏑木の返事は、おおよそ予想通りのもの。
――そちらの都合はそちらの都合。せいぜい、クビを洗ってお待ちあれ。
という、まことに親愛きわまるものであった。
それ以外でも。
鏑木もろともヌンチャクでボコボコにしてやった《村上姉妹》や《サキュバス真鍋》らも、
理亜に報復しようと虎視眈々と狙っている、とのウワサもある。
若い身空で、ずいぶん敵の多い人生ではあった。
(ま、しゃーない)
細かいことを気にしていてはキリがない。
さしあたっては、地方を回り、実戦経験を積んでいこうというハラの理亜である。
さいわい、芸能関係の仕事もぼちぼちとは転がり込んできているし。
時には、変り種もあるのだけれど……
(……こないだのアレは、参ったなあ)
◇
▼日本 神奈川県横浜市 『エンパイア・オブ・バス』
エンパイア・オブ・バスは、横浜に店舗をかまえる大型スーパー銭湯である。
高速ジェットバスや超電磁風呂、ウラウナ火山風呂やピラニア風呂などの多種多彩な風呂にくわえて、リラクゼーション施設などもそろっており、老若男女に人気をはくしている。
今日はその一角にて、きわめて面妖な闘い? が繰り広げられようとしていた……
〈南奈 るい〉(東京女子プロレス) VS 〈Σリア〉(オフィス・サドンデス)
「うわ~、おっきいお風呂~~。収録終わったら、入っていっていいですかぁ?」
東京女子プロレス所属の新人レスラーにして、大食いエロカワレスラー、略して“グラカワレスラー”の異名をもつ南奈。
女子プロレス雑誌でのグラビア活動で注目を集め、ファースト写真集をリリースする運びとなった。
すでに本編の撮影は終わっており、今日は初回特典となるDVDの特典映像の収録に出向いたというわけ。。
その目玉となるのが、セクシーさには定評のある“クイーン・サドンデス”Σリアとの一騎打ちなのだった。
「リアさん、今日は頑張りましょうね~~☆」
「まぁビジネスやから、あんじょうやらせてもらいまっさ」
『週刊レッスルG』のグラビア撮影において知り合った両者は、表紙をきわどくも濃厚なかたちで飾るなど話題をさらった。
南奈の写真集リリースも、その流れといってよい。
(うちにこそ、オファーがあっても良さそうなもんやけど。……)
所属団体だった【ワールド女子プロレス】が実質崩壊となった時点で、理亜は同期の八重樫や高倉らとは決別、フリーの身となっている。
諸事情あってあまりおおっぴらに他団体のリングにも上がれぬとあって、オファーがあればそれがいささか不本意なものであっても、ゼイタクは言っていられないといえよう。
(東京女子に恩を売っておくのも悪くないしな)
さてもちろん、この両者が相打つ以上、ただのプロレスではあろうはずがない。
泥んこプロレス、ローションプロレス、納豆プロレス……などなど、企画段階ではさまざま挙がったが、最後に落ち着いたのは、由緒ある試合形式。
すなわち、
――水着剥ぎデスマッチ
である。
女子プロレス草創期においては頻繁にみられた形式であったが、現在は黒歴史あつかいとなっており、実際に開催しようものなら、大問題であろう。
それをあえて復活させようと提案したのは、一説には東京女子の社長ともいわれる。
――風呂場なら、脱がせ合っても問題ないんじゃね?
といういたく真っ当(?)な理屈から、この試合は、対戦相手のコスチュームを脱がせたあと、棺桶ならぬ浴場へと投げ込んだ者が勝ち……というルールが設定されたのである。
<アンダーテイカーバスマッチ 無制限一本勝負>
〈南奈 るい〉 VS 〈Σリア〉
さすがにR-18というわけでなし、本家どおりに再現するわけにはいかない。
マイクロビキニの上に撮影用のコスチュームを身につけ、それを剥がした時点でOK、ということになった。
「なかなかファンの食いつきよさそうやな。うちがDVD出すときは相手してくれへん?」
「え? ぜんぜんOKだよ~~~☆ どうせなら温泉とかでもいいかも~!!」
『るいちゃん、がんばって~!!』
『リアさん、負けないで~! あ~でも、負けて欲しい~~~』
無料招待された女性ファンの声援を受けつつ、対峙する両選手。
レフェリーをつとめるのは、東京女子のマッチメイカーでもある《メイデン桜崎》である。
「……ていうか、このルールでレフェリーいります?」
「当然です。反則行為は阻止しなくてはいけませんから」
「さいですか……」
「なお、負けた方はこの浴場の大掃除をやって貰います」
「!? ちょっ、脱がされるだけでも罰ゲームやのに、そんなのまで!?」
実のところ。
これはプロレスの試合というテイではあるが、あくまでアイドルレスラーのDVDの中での企画にすぎない。
ゆえに、事前にちゃんとした段取りの打ち合わせであるとか、リハーサルなどがあるのかと思ったのだが、そんなものはいっさいなし。
完全アドリブで、この特殊な形式の「試合」を成立させねばならないのである。
当然、リングは持ち込めないので、床には直接マットを敷いただけであり、足場は不安定。
ヘタな技を繰り出せば危険きわまりない。
(……っ、まぁでも、向こうも呼吸はつかんどるやろ)
そう、プロレスとは名ばかりの収録なのだ。
ほどよくファンを喜ばせるような、いい感じのハイスパートな攻防を見せればそれで良し……
(せいぜい、向こうを立たせてやらんとな)
聞けば、このオファーは南奈の強いプッシュで実現したという。
身内に人がいないわけでもないのに、あえて外様の理亜を招聘したのは、フリーランスになった彼女を案じてのことかもしれない……それは、考えすぎか。
かくして、バスマッチのゴングが鳴る。
じっさいにはゴングは持ち込んでいないので、笛であったが。
「でええーーーーい!!」
「!?」
南奈、いきなりの強襲ドロップキック!!
理亜、たまらず吹っ飛び、受け身を取り損ねて悶絶。
「油断しとったらあかんで~~~☆」
「ぐっ、こ、この……っ!!」
育ちは大阪の南奈、軽口を叩きながら理亜にのしかかり、ポジションを奪おうと図る。
寝技の技術は互角と見えたが、先手をとられた理亜、守勢にまわらざるをえない。
かてて加えて、
「んっふっふっふ♪ こちょこちょこちょ~☆」
「おっふっ!? ンッグググ……!!」
密着してのセクハラ殺法ならば、南奈の領域!
ひごろ同僚の《吉野 三輪子》らを相手に研鑽を重ねているだけあって、そのテクニックたるや玄人はだしといってよい。
(こっ、このコ……イカサマ(非常に)あかん……!!!)
こやつ、単に自分が責めたいからこそ、理亜をブッキングしたに違いない!
このままでは、いい仕事どころか、何もできずに醜態をさらしかねない。
フリーの理亜にとって、己の価値を落とすような真似は、断じて避けねばならなかった。
「い、いいかげんに……わやく(悪戯)しんさんなッ!!」
「んふふふ~~、リアさんっ、いい反応~☆」
「~~~~~~~~ッッ!!」
必死に逃れんとするも、モモンジョウ(アリジゴク)にはまったかのごとく、南奈のセクハラ千手観音が理亜をもてあそぶ。
コスチュームを脱がすのが本来の目的であるはずだが、この時点ですでに主題がズレている。
闘いは――風呂だけあって――白熱をきわめた。
その決着のゆくえは、
「初回特典DVDをゲットして、見届けてくださいね~~~☆」
「……もう二度とアンタとは絡まへん(ゲッソリ)」
とはいったものの。
南奈の写真集はかなり好評だったらしいので、今後もオファーはあるであろう。
ただし、こちらが主導でなければやってられないけれども。
◇
▼日本 秋田県本荘市 本荘市総合体育館・控え室
「で、リアさん、今日の相手なんだけど……」
「あぁ、男の人でも問題ないですよ」
いわゆる男女混合マッチも、それはそれで経験のうちと、割り切っている。
「いや、いい具合に女子をブッキング出来たんだけど、初顔なんだよね」
「へぇ……まぁ、お任せします」
相手がどうであろうと、ギャラに見合った試合はしてみせる。
そんな自信が、理亜にあった。
(なんたって、うちは……)
あの《神楽 紫苑》と、互角に闘ったのだ。
東京で、女子プロレスの祭典『Athena Exclamation X』が華々しく開催されている頃……
大阪では、ひっそりとヒールユニット【B・G・W】の自主興行がおこなわれていた。
小規模会場とはいえ、異例のワンマッチ興行。
しかも、団体の至宝をかけた、タイトルマッチ。
▼日本 大阪府大阪市 お祭り門アリーナ
―― シークレット【B・G・W】――
<WWPWヘビー級選手権 時間無制限一本勝負>
〔王者〕
《神楽 紫苑》(ワールド女子プロレス:B.G.W)
VS
〔挑戦者〕
〈Σリア〉(ワールド女子プロレス:B.G.W)
*特別レフェリー 《中森 あずみ》
ほとんど告知もなく、突発的に開催された興行であったが、会場は【B.G.W】各選手のファン
そして
――何かある。
と感じたプロレスマニアが詰めかけ、満員となっていた。
すでに、ワールド女子の経営危機と、寿グループによる買収騒ぎは知れ渡っている。
そんな中で組まれた、この一戦。
本来なら、いくら特別興行とはいえ、まだ新人に毛が生えたレベルのリアが、団体の象徴たるベルトに挑戦することなどありえない。
そんな“常識”“お約束”が通用しない場に惹かれるのは、マニアのサガというものかもしれなかった。
『サドンデス・クイーン! Σリア選手の入場です!』
入場曲と共に姿を見せたリア、肩に大型のラダーを乗せ、入場。
緊張の面持ちなのは、タイトルマッチであるためか。
あるいはまた。
別の、思いがあるのか。
いっぽう、王者神楽はWWPWヘビー級ベルトを高々と掲げ、観客にアピールする余裕の入場。
「この試合は、両選手の同意により、場外カウントなし、反則カウントなしのノーDQマッチで行われる」
と発表され、観客がどよめく。
ここで普段なら、タイトルマッチ宣言等に続くところだが、
「――お先にぃッッ!!」
「!!!!!」
ゴング前、リアの(入場衣装を着たままの神楽への)奇襲攻撃でスタート。
椅子攻撃で神楽を流血させるや、傷口めがけて非情のキック連打。
さらに、リング下から取り出したヌンチャク・ハンマー・ハリセン・ワールド女子の看板・ゴミ箱などで攻め立てる。
「少しはやるわね~ぇ……で~もっ!」
「っっ!!」
神楽、木製バットのフルスイングで反撃開始。
チェーンでの人間絞首刑から、ハサミで理亜自慢の髪の毛を(ほどほどに)切り、揺さぶりをかける。
更に、「テーブルをよこせ!」コールに答え、テーブル貫通パイルドライバーを敢行!
ハードコア殺法では一枚も二枚も三枚も上の神楽、理亜の美貌に血化粧をほどこしていく。
「あ~らら、この程度? もっと楽しませてよ……ねっ!!!」
「~~~~っ!!」
傷口をグリグリ踏みつけられ悶絶するリア
だが、その闘志にカッカと火が点き、
猛反撃を開始。
ボディスラムで神楽を寝かせ、リング中央にラダーを設置するや、最上段に駆け上がる。
「……せぇいっ!!」
ファンの悲鳴あがるなか、神楽めがけて急降下ギロチンドロップを敢行!
命知らずの一撃で場内を沸かせ、味方につける。
さらに闘いは続いたが クライマックスは唐突に訪れた
リア、神楽の隙をついて
切り札の「BAD END(隠し持った黒絵の具を潰し、その手でかきむしり)」攻撃で神楽の目を潰す、
「……喰らえーーーーーーッ!!」
渾身のミドルキック→ソバット→クレイモア(水面蹴り)の三連打を叩き込み
ガクリとヒザをついた神楽へ目がけ、とどめのΣキック(バズソーキック)!!
「これ、で……決まりッ!!」
カバーに持ち込む理亜!
「ワン……ツー……!」
間一髪!!神楽がチェーンをロープにひっかけ、カウント3を阻止!
チェーンは神楽の体の一部である、という中森レフェリーの判定!?
「3やろーーーーーーーーーーーー!!!!?」
と興奮して中森に詰め寄るリア――
その隙を突いた神楽、
「敵に背中を見せちゃあダメよ……ッ!」
「?!!」
背後からチャンピオンベルトで一撃!!
振り向きざまに放ったリアのキックを紙一重でかわすや、
カウンターのSTO一閃!
更に、グロッギーのリアを抱えてラダーを昇るや、
「これが、餞別……ッ!!」
「…………!!!」
ラダー最上段からのデスバレーボムで、リアをマットに串刺し!
ピクリとも動かぬ理亜をカバーせず、
神楽は赤コーナーにもたれ、目を閉じて中森の数える10カウントを聞いていた。
それはあたかも、名残を惜しむかのようであった……
(28分56秒:リアルデスバレーボム→KO 神楽が王座防衛)
試合後、神楽はリングの中央にベルトを置き、無言で去った。
その態度じたいが、すべてを雄弁に語っていた……
「……あ、と……すこし、やった、な……」
全身に走る激痛にうめきながら、己の血にまみれてマットに大の字になったまま、理亜は照明に目を細める。
「……(神楽の)首…ほしかった…な……」
ワールド女子在籍中は「エロカワ」「セクシー」「強さの八重樫・ビジュアルの紫熊・お笑いの高倉」等と呼ばれ
とかくその実力より美貌とスタイルにばかり関心が集まっていた彼女。
それだけに、フリー転向の手土産に、王者・神楽からのフォール勝ちをどうしてもゲットしたかった。
(あと……ほんの少し、だったのに……)
……そのまま、Σリアはリング上で気を失った。
後日、神楽は王座返上とワールド女子退団を正式に表明。
理亜もこの試合を最後に、ワールド女子から姿を消した……
◇
▼日本 秋田県本荘市 本荘市総合体育館・控え室
あの神楽との激闘は、理亜に大きな自信を与えた。
フリーになってもやっていけるだけの、レスラーとしての、自信。
……そう、確かにあったのだ。
その試合が、始まるまでは。
◇
それは、さしたるテーマもない試合のはずだった。
男子プロレスの興行の休憩前に組まれた、いわば息抜きマッチ。
<第3試合 シングルマッチ 20分一本勝負>
〈Σリア〉(オフィス・サドンデス)
VS
《クノイチマスター》(フリー)
(クノイチ? ……知らんなぁ)
フリーになって以来、業界の情報はいろいろ集めている。
が、このレスラーは記憶にないし、ネットで検索しても出てこない。
くのいちギミックということなら、東京女子に《RIKKA》というのがいるが……
わざわざ別の名前で地方のリングに上がる意味がわからない。
(ま、リングネームなんてアテにはならんわな)
フリーのレスラーにとって肝心なのは、興行における自分の役割を把握することである。
メインならメイン、脇役なら脇役として、期待される己の役をしっかり果たすべし。
それが、プロレスラーとしての価値を高めることになるのだ。
この試合でいえば、
(それなりに盛り上げて休憩へ、ってわけやな)
休憩時間にグッズを売るためにも、いい塩梅でアピールする必要があろう。
「ほな、あんじょうやりまっか!!」
「うふ♪ お手柔らかに……ね♪」
◇
「……っ、ハァ、ハァッ……!」
試合後。
湧き上がる感情のままに、理亜は対戦相手のドレッシングルームに押しかける。
「おいっ、あんた……!!」
「あら。どうしたの~~?」
能天気な声で応じたのは、さっきまで手を合わせていた女である。
「あんた……何モンじゃ?」
「何者って言われてもね~。通りすがりのプロレスラー、としか言いようがないけれど」
「……!!」
「なぁに? なんで怒ってるの? いい試合だったじゃな~い」
「う、う…………っ」
なるほど。
確かに、いい試合だった。
会場は十分に盛り上がっていた。
見せ場を作り、お約束の攻防からのピンフォールという、文句のつけようのない展開……
○リア VS クノイチ×
(15分54秒:Σキック)
はたから見れば、何の文句もない展開であろう。
しかし、唯一納得していないのが、勝利した当の本人。
(……完敗や)
まさしく、完敗であった。
試合の勝ち負けではない。
(子供扱いされた)
そんな屈辱と困惑が、脳裏を支配している。
さっきの試合。
まるで全てを読まれているかのように、誘導された。
最初は、
――なんて楽な試合や。
――無駄な動きが減ってきたんやな。
と、我ながら感心していたのである。
よっぽどこの相手とは手が合うらしい……などと、呑気に思っていたのだ。
しかし、次第に、違和感をおぼえはじめた。
――楽すぎる。
それはまるで、誰かに指示された通りに、操られているような――
(この女…………!!)
実のところ。
そのように感じられただけでも、理亜は成長しているといえよう。
かつての神楽との闘いでは、そんな感覚はまったくなかった。
あのときも、神楽が手取り足取りリードしたことで、新人のリアがあそこまで「いい試合」をつくれた。
以後、フリーとしてあれこれ考えながらプロレスをしてきたことで、レスラーとして成長できたからこそ、相手の技量を見抜けた、といえよう。
(……っ、この女は……)
とんでもなく凄い、プロレスラーだ。
「っ、なぁ……アンタ……ッ」
「ん? なぁに?」
すっかり身支度を整えた女は、すっかり一般人というテイである。
若く見えるが、理亜の母親くらいの年代であろうか。
「うちを、弟子にしてくれへんかっ?」
「…………えぇ?」
女、キョトン、と目を丸くしている。
「……っ、頼んます、この通り!!」
この女の……
いや、この人の近くにいれば、間違いなく、プロレスの腕を磨ける。
ならば、恥も外聞もあったものではないのだ。
「ふ~ん……」
すこし思案していた彼女だったが、
「ま、いっか。あのコもあのコで好きにしてるし。一人旅も味気ないしね~~」
「! お、おおきにっ!!」
「よろしくね、理亜ちゃん」
「……っ、あの、うちは何と呼べば」
「ん? そうねぇ~」
女はウィンクひとつ、
「ママ、って呼んでくれればいいわよ♪」
「……っ、わかりました、ママ」
「じゃ、さっそく行きましょうか~。次の予定があるから」
「あ、はいっ」
もっと強くなって。
もっと凄いレスラーに、なれるのならば。
どんなことだって、やってのけるつもりだった。
「あの、ところで、次の予定って……?」
「ん? うん、明後日から上海ね~」
「へぇ、シャンハイ……上海ぃぃっっ!?」
「うふ」
「…………っ」
こうして。
Σリアの、新たな旅が始まったのである――
(つづく)
Wrestle Angels PBeM
Episode1 天使轟臨 ~Angels Flying in the Supercell~
〔ストーリー〕
西暦20X1年、冬。
運命の悪戯が数多の邂逅を生み、神々の遊戯が無限の苦悩を閃かす。
何もかも得ることなどできはしない。
何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはならないのだ。
ある女は言う、過去を捨てなくては未来を得ることはかなわぬ、と。
またある女は言った、過去の己あればこそ、未来を得られるのだと。
どうあれ人は選ばざるをえない、己のゆくべき道を。
その先が頂にいたる道か、奈落の底につづく断崖か、それは誰も知りえない。
だとすれば、その選択のよりどころは。
己の心のなかにしか、ないのかもしれぬ。
“――理沙子、私はね”
“――プロレスが、大好きなんだ”
*-----------------------------
■ジャッジメント・セブン SIDE■
*-----------------------------
◇◆◇ 1 ◇◆◇
▼日本 東京都江東区有明 タイタン有明 PantherGymオフィス
「プロレスが興行である以上は――」
《南 利美》がいった。
「――まず、観客が望むものを提供しなければならないわ」
それはそうです、と《内田 希》は同意した。
「ただの競技ならまだしも、プロレスは……そうではありませんし」
競技であったとしても同じことよ、と南はつづける。
「しかし、私たちは奉仕者ではなく、」
支配者でなければならない、と南は説く。
「チケット代、PPV代よりも更に上回るものを、見せつけなければならないのよ」
「……容易なことではありませんね」
「当然よ。それができているレスラーなんて、まぁ、国内では五本の指に足りるていど」
「挙げていただいても?」
「そうね、まずは私」
「…………」
真っ先に自分を挙げるあたりは、南利美の真骨頂というしかない。
「それから、お龍さん(サンダー龍子)、麗華(ビューティ市ヶ谷)、それと……祐希子(マイティ祐希子)くらいかしらね」
「……手厳しい評価ですね」
「あぁ、貴方も悪くはないわ。一流のレスラーには違いないし」
ただ超一流ではない、というだけのこと。
おそれいった自信だが、それもまんざら的外れではない。
(……祭典での試合は、まさにそうだった)
先の祭典“Athena Exclamation X”のメイン戦における《武藤 めぐみ》との二冠戦は、まさにリングを、そして会場をも“支配する”ものであった。
もとより南は実力者ではあったが、これまでは祐希子や市ヶ谷らのサポートに回っていたイメージが強い。
それが、【ジャッジメント・セブン】に加担してシングルプレイヤーとして起つやいなや、その存在感は倍加したといっていい。
内田が上戸とのタッグを解消、J7についたのも、南の影響があったことは否定できぬ。
タッグ屋“ジューシーペア”としては高評価を得てきたが、それでは飽き足らなくなってきていたのは事実。
もっとも、内田の転身の理由は、そればかりではないけれども。
「フフッ。相棒に悪い、と思ってる?」
「いえ。……別に」
「そう。まぁ、どうでもいいけれど」
「…………」
上戸に、不満があったわけではない。
……いや、まぁ、皆無ではなかったが。
今こうして反体制ポジションについたのは、己の殻を破るため、といってさしつかえない。
「私の解釈ですが」
ジャッジメント・セブンの、本来の存在価値は……
「……祐希子さんが欠場している間の、話題づくりだったのでは?」
「ま、そうかも知れないわね」
新女の、いや日本女子プロレス界のトップに立つ、マイティ祐希子。
ここ最近、故障ということで欠場を続けており、来年正月の新日本ドーム大会で復帰予定。
もっとも、その間に映画出演など芸能活動も活発におこなっており、ケガというのは表向きではないか、という声もある。
「新女ならありそうな話だけど。……ま、無傷のプロレスラーなんていないわ」
長くやっていれば、大なり小なり故障はある。
祐希子の欠場も、オーバーホールと考えれば納得はいく。
そして、その間の話題を保つための布石として……
(ジャッジメント・セブンが作られた……か)
まんざら信憑性がないでもない。
だとすれば、
(祐希子の復帰と共に、J7は消滅……あるいは、リニューアル)
それが、団体側の思惑かもしれなかった。
「ま、(越後)しのぶや斉藤(彰子)も、十分“スター気分”は味わえたでしょ」
今後しばらくは、祐希子と南によるベルト争奪を、メインストーリーとしていきたいのかもしれない。
もっとも、そのとおりに行くかどうかは、さだかではないのだ。
(つまるところは……)
新女にとって、他団体との
“共存共栄”
などは、論ずるに値しない。
あわよくばすべてひねり潰し、使えそうなレスラーのみを拾い上げ、シェアを独占したいに決まっているのだ。
まして、“世界戦略”を掲げるならば、なおさらのこと。
(その点、真っ先に狙われるのは……)
東女? いや、あそこの社長は、なかなか食えない。
最近、“あの”《井上 霧子》が加担しているとあっては、なおのこと。
WARS? なるほど、トップの龍子は、考えるより先に行動するタイプ……
しかし、いまやあの“女狐”がそばにいるとあっては、そう簡単には崩せまい。
その他の、吹けば飛ぶような泡沫団体は問題外とすれば……
やはり、JWI。
いくら《小川 ひかる》らがついていても、肝心の市ヶ谷がアレでは、どうにもなるまい。
(…………)
南利美はかぶりを振った。
感傷的になっている暇など、ありはしない。
何かを手に入れるためには……
(……何かを、失う覚悟がいる)
そう、たとえば、年来の友ですらも。
人の心は、いちど離れてしまえば……
二度とは結びつかぬのが、つねなのだとしても。
◇
▼日本 東京都江東区有明 タイタン有明 PantherGym道場
「はぁ~い、おひさ。元気みたいね~~え?」
「……はぁ」
《神楽 紫苑》の笑顔とは裏腹に、《成瀬 唯》はしかめっ面で応じた。
「なぁに~? せっかく懐かしい顔が会いにきてあげたのに、辛気臭い顔してぇ~」
「……できれば思い出のままにしときかったんですけど」
「え~? そんなつれないこと言わないでよ~~」
神楽と成瀬はもともと、【ワールド女子プロレス】の一員であった。
が、成瀬は夏ごろに離脱。
神楽もまた、ワールド女子の実質的消滅によって、フリーランスの身となった。
そして今……
「よろしく頼むわね~。同じジャスティス・イレブンの一員として♪」
「そうそう、よろしゅう……って、ジャッジメント・セブンですから! ジャスティスでもイレブンでもないですしっ」
「そうだっけ? まぁいいじゃな~い」
「…………」
どうもこの人は苦手や、と成瀬唯は思った。
こうしてまた、同じ釜の飯を食うことになるとは思わなかったが……
「な~に? 最近、新顔が増えてきて、影が薄くなってるとか~?」
「っ、ほっといてくださいっ」
当初は、越後や斉藤など無骨なレスラーがメインだったJ7。
そのため、しゃべりの達者な成瀬は重宝されていた。
が、このところ、南や内田などマイクもできる面々が参加してきたため、相対的に彼女の立場は弱くなりつつある。
そこへきて、この神楽の加入。
彼女もまた、なかなかマイクは悪くない。
成瀬が浮かぬ顔なのは、何も先輩が来たから、というだけではないのだ。
「あ、そういや、あの子の件はありがとね~~。おかげで、ちょっとは立ち直ったみたいだし」
「……あぁ、アレですか」
あの子とは、〈安宅 留美〉。
神楽の従妹にあたり、【VT-X】に所属する新人レスラーであった。
が、いろいろあって宙ぶらりんの立場となって迷走していたところ、神楽に頼まれた成瀬が、J7へ勧誘したのである。
「元々、アノ子はけっこうオモロいな~て思うてましたから。案の定、けっこうハマりましたし」
「ま~、もともと、団体に縛られるようなタマじゃないからね」
もっとも、“初陣”以降は、J7とは別行動をとることが多いらしいが。
どだい、集団行動ができないタイプとみえる。
「カネにはうるさいんで、もっと大金積まれないかぎりはここにおるんちゃいますか」
「でしょうね~~。ホント、カネには細かいから」
先日は、そのカネに目がくらんだために大恥をかき、あやうくレスラー廃業の憂き目を見たのだけれど。
「でも、ああいうのオイシイですやん。開き直ったもん勝ちですよ」
「ま~ね~。さ~て、じゃあ、お礼におね~さんが一丁揉んであげる♪」
「えぇ~~……」
成瀬唯の憂い顔は、ますます深くなる一方のようであった……
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■寿千歌軍団 SIDE■
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◇◆◇ 1 ◇◆◇
<< マット界のキーマンに聞く! 西の雄・寿千歌嬢の真意、そして野望とは!? >>
――本日はよろしくお願いします。
寿千歌:えぇ、こちらこそよろしく。
――いまや、マット界最大の重要人物と言っても過言ではない寿オーナーに、今後の展望をお聞きします。
寿:えぇ、なんでもお聞きください。
――《ライラ神威》選手ひきいる【苛無威軍団】が猛威をふるっていますが、ライラ選手以外の正体は不明です(註:正しく言えば、ライラ神威自身、本名も不明なのだが)。
いったい彼女たちは何者なんでしょう?
寿:さぁ、それはライラさんに聞いて頂かないと。
わたくしは、彼女が連れてきたファイターを受け入れているだけですから。
――なるほど、器の大きさが段違いということですね。
ところで、寿グループ傘下にはいった【太平洋女子プロレス】は、再旗揚げ戦が迫っています。
寿:かのスペル・エストレージャ(スーパースター)《ブレード上原》が興した団体ですから、可能な限りサポートさせて頂きたいと思っていますわ。
――【ワールド女子プロレス】は今後、どうなるのでしょうか。
寿:本来なら、太平洋女子同様、資金援助をして継続的に興行を続けたかったのですけれど。
ご存じのように、すくなくない選手が離脱してしまいました。
このままでは独立団体としては維持できませんので、休眠状態、ととっていただいて結構ですわ。
――雑誌でいえば、休刊、ということでしょうか。
寿:そんなところですわね。
――なるほど(休刊ほぼイコール廃刊なのだけれど)。
では、元ワールド女子の選手の処遇は?
寿:【IWJ】(注01)の興行に出てもらいますわ。
もちろん、実力がともなわない場合は、その限りではありませんが。
注01:正式名称はIndependent West Japan Association。西日本プロレス連合とでも称すべきか。ワールド女子・太平洋女子を吸収した寿千歌一派の総称。
――ワールドを離脱した選手たちに対しては、どんな感情をお持ちで?
寿:とくにありませんわ。彼女たちには彼女たちの人生があるでしょうから、こちらがとやかくいうところではありませんもの。
――ウワサでは《神楽 紫苑》選手や〈Σリア〉選手にたいしては、制裁を加えようとしているとも聞きますが。
寿:まぁ! とんだデマですわ。そんなはずはありません(微笑)。
――では、いずれ彼女たちがIWJのリングに上がる可能性も?
寿:もちろん歓迎しますわ。フフフ。
――わかりました。
(中略)
――ところで、最後にひとつよろしいでしょうか?
寿:えぇどうぞ、なんでもお答えいたしましょう。
――IWJという名称ですが、【JWI】のパクリ…いえ、パロディではないかという意見がありますが……
寿:(血相を変えて)な、なななな、何を言っていますの! あんな下品下劣な、市ヶ谷麗華ごときの団体に影響を受けたりしているはずがないでしょう!? 失礼にもほどがありますわ!! アトラスさん、やっておしまいなさいっ!
――ちょ!? おわあああああーーー!?
(〈アトラス・カムイ〉が現れ、記者をベアハッグでギリギリと痛めつける。悶絶しながらもどこか嬉しそうな気がするのは、アトラスのバストの感触ゆえであろうか)
――――『週刊ギブアップ No.8』より
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■寿ワールド女子プロレス SIDE■
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◇◆◇ 1 ◇◆◇
▼アメリカ ジョージア州アトランタ オメガ・コロシアム
【WWCA】のPPV大会、その控え室――
「そっか、元気にやってるんだ」
ケータイに届いたメールを一読し、《ファルコン香月》は、目を細めた。
「メール? 誰から?」
「ケイちゃんから」
「あぁ、あの子ね。……うまくやってるのかしら?」
《コンドル池上》は心配げに空を見上げた。
もとより控え室から、まして遥かな日本の空がうかがえるはずもないのだけれど。
〈高倉 景〉。
彼女たちが主戦場としていた【ワールド女子プロレス】の若手レスラー……であった。
過去形としたのは、今やワールド女子は実質消滅し、寿グループ傘下の一ユニットのような状態になっているためである。
香月にとっては昔馴染みであり、池上にとっても、彼女のリング復帰にあたって大きな役割を果たし――いや、そうでもなかったが、何の縁もない、という仲ではない――ただの知り合い、と言ってしまうのは、いささか薄情。
池上と高倉の関係は、まぁだいたいそんな感じであった。
「大丈夫だと思うよ。あの子、ああ見えて結構……えっと……結構……えーーっと……そう、鈍感だから」
「……それ、フォローになってないわよ」
確かに、高倉は寿一派とはもともと交流があった。
それを思えば、そう無碍にはされていないと思うのだけれども……
「だってほら、こんなに呑気なメール送ってくるんだから」
「? どれどれ……」
拝啓 香奈姉ちゃん
ただいま、アタシたちは絶賛特訓中です!
すっごく、充実した日々を送ってます!
けっこう、シンドいですけど、楽しい毎日です!
てかもう、ワールド女子のことなんて、全然思い出さないし!!
「…………」
「ね、お気楽でしょ?」
「え、えぇ……そう、ね」
池上はかぶりを振った。
高倉景に幸あれ。
願わくば、あぁ、命あらんことを。
「さ。……そろそろ、行くわよ」
「えぇ。今度こそ、ベルトを手土産に帰らないとね」
彼女たちがこれから相対するのは、なまなかの敵手ではない。
何より以前、手痛い目に遭わされたチーム。
「スナイパーシスターズ……今度は負けない!」
WWCAタッグ王座をかけた一戦。
同じ轍を踏む気はさらさらなかった。
「うんっ。ケイちゃんに、ベルト、見せてあげたいもんね」
「……そう、ね」
よしんばベルトを奪取したとて。
果たしてそれを、高倉は見ることが出来るであろうか?
それは、プロレスの神のほかは、知る由もないことなのであった。
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■フリー(ヒール軍団) SIDE■
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◇◆◇ 1 ◇◆◇
▼日本 東京都新宿区 BAR『Dead End』
「ヒールとは何だと思います?」
「いきなりだな。……そんなに深く考えたこたァねぇよ」
《フレイア鏡》の問いかけに、《ガルム小鳥遊》は鼻を鳴らして応じた。
「あら、国内三大ヒールと呼ばれるほどのお人が?」
「別に、意識してやってるわけでもないしな。言ってみりゃ、自然のなりゆきってやつだ」
「フフッ、なるほど。確かに貴方や朝比奈さんは、正統派で売るガラではありませんし」
「……自分は違う、ってか?」
「そんなつもりはありませんけど。……たとえば、そう、身近なところでは、桃子ちゃん」
「アイツがどうしたって?」
「なかなか、頑張っていますよ。彼女なりにね」
「フン。……ま、破門にはしなくてすみそうだな」
桃子……〈古城 桃子〉。
人もあろうに、小鳥遊らヒール軍団に弟子入りを志願してきた、物好きな少女。
あの気弱そうな様子からして、とうていモノになりそうにはなかったが……
「案外、根性はあったようですわね」
「ま、そういうこったろうよ」
たとえレスラーにはなれなくとも、厳しい訓練を体験することは無駄ではなかろう。
ケガをしないていどに、身体を鍛えさせてみよう……
それくらいのテンションで請合った弟子入りだったが、存外しぶとく粘り、デビューにこぎつけてみせた。
「今は朝比奈とやってるんだったな?」
「えぇ。実力相応に、小悪党っぽく頑張っていますわ」
現在、桃子は“闇堕ちティンカー・ベル”〈MOMOKA〉と称し、【WARS】内部の反体制軍団・【柳生衆】の一員として活躍している。
もっとも、まだまだ一人前には程遠い。
WARSの体制側に立つ鏡とは対立関係にあるわけだが、まだまだ眼中にない、というあつかいなのは是非もなかろう。
「彼女の場合、どう見てもヒール向きではないでしょう?」
「まぁな。……だが、本人がやりたがってるんだから、仕方あるまいよ」
小鳥遊や朝比奈のように、どう考えても正統派、ベビーフェイス(善玉)とはいかない風貌なら知らず、可愛らしいといっていい外見の桃子が、無理にヒールを目指す必要はない。
もっとも、特定の団体に所属していない現状においては、“努力する新人”のままでは上がるリングも限られよう。
「まして、意地悪な誰かさんが仕切るリングじゃあな」
笑って答えない、意地悪な誰かさん。
WARSのGMに就任した鏡は強権をふるい、柳生衆に出場停止処分を下している。
フリー参戦の選手にとっては、イコール収入減に他ならない。
「しかし、例のジャッジメントなんとかとやり合うんだろ? 駒が足りないんじゃねぇのか」
「えぇ。だからこうして、接待しているというわけで」
「そりゃ豪儀だ。……氷川のヤツにもコナかけてるらしいな」
「フフッ。お友達価格でお願いできますから」
「……世知辛い話だな」
ところで、と鏡が話を戻す。
「プロレス興行において、ベビーとヒールの対立関係は明解であるべきだと思いますわ」
「ま、そうだろうな。客もどっちを応援していいか、わかりやすい」
「えぇ。でも最近は、そのあたりが曖昧になっていますわね」
「そりゃあそうだろうな。どこぞの大物ヒールが体制側のトップに立ったりしてるくらいだ」
「……耳が痛いですわね」
鏡は体制側についたとはいえ、フェイスターン(善玉に転向)したわけではない。
「ま、それはさておき」
とあっさり自分のことはタナにあげ、
「そうした明快な対立構造がなくなっている……と、嘆くのは御老体にお任せするとして」
ないのならば。
自分たちの手で、作り出せばいいだけのこと。
「はぁん……またぞろ、悪巧みってわけか」
「フッフフフ……人聞きが悪いですね」
フレイア鏡は、グラス片手に微笑んだ。
(ま、コイツと組んでるあいだは……)
退屈だけは無縁みたいだな、とガルム小鳥遊はほくそ笑んだ。
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■フリー(無所属) SIDE■
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◇◆◇ 1 ◇◆◇
▼日本 秋田県本荘市 本荘市総合体育館
東北地方を中心に活動するプロレス団体【ゆきかぜプロレス】。
覆面レスラー《グレート・ハヤテ》が興したルチャ系団体である。
興行がおこなわれる体育館の入り口には、グッズ以外にも雑多な売店が並び、ちょっとした縁日といった風情。
(――なんや、懐かしいな)
楽しげに売店を冷やかす客たちを横目に、〈紫熊 理亜〉はひとりごちた。
“クイーン・サドンデス”〈Σリア〉という剣呑な名で呼ばれる女子プロレスラーだが、平素は美貌の女性である。
以前(といってもほんのちょっと前だが)彼女が属していた【ワールド女子プロレス】でも、興行の前はこんな風な、アットホームな雰囲気が漂っていたものである。
それはもう失われてしまって、二度とは戻ってこない日々であるのだけれど。
▼日本 大阪府大阪市 ワールド女子プロレス寮
……すこし前の出来事
「遅いで、ヤエさん」
「そうそうっ。もう準備万端ですよ!」
「……ノリノリだな、お前ら」
〈八重樫 香澄〉は頭痛をこらえるように、頭を押さえた。
それは同期である理亜と、〈高倉 景〉の異様な風体を見たためであろう。
前者はお好み焼き、後者はタコ焼きをイメージしたマスクをかぶり、サンドイッチマンよろしくポスターを前後に下げている。
もとより、伊達や酔狂でこんな格好をしているわけではない。
間近にせまったワールド女子の大会において、少しでも集客を増やすための販促活動にほかならないのだ。
「……それにしても、もっとイイ方法はねーのかよ」
「しゃあないやん。マスクかぶれるだけマシと思わな」
「……そりゃ、そうだが」
ボヤきつつ、串カツをモチーフにしたマスクをかぶる八重樫。
「いいですね~ヤエさん! これで試合に勝てますよ! カツだけに!(ドヤ顔で)」
「(無視して)おい、チラシこれでいいのか?」
「ヒイッ、スルー!?」
「そやね。あと、このアメちゃんも」
「はぁ? 何だコレ」
「ただチラシ渡してもしゃーないやん?」
「なるほど、アメとムチってわけですね! お客様にはアメ! アタシにはムチ! ……って、なんでやねーーん!」
「(流して)……ほな、行こうか」
「そうだな。オレたちもヒマじゃないし」
「……む、ムチより、ムシのほうがキッツいわァ……」
かくして、
《クイーン・お好み焼き》
《タコ焼きケイ》
《KUSHI-KATSU》
の三人は大阪の街に繰り出し、道行く人にアメちゃんやチラシを配りつつ、時おり思い出したように乱闘を繰り広げたりして、必死に大会アピールに励んだ。
流石に最初とちと恥ずかしかったが、子供たちから歓声を浴びたり、おばちゃんたちに励まされたりするのは、なかなか楽しい経験だった。
ついテンションが上がって、タコ焼きケイに本気のローキックを決めたりしてしまったのは、ご愛嬌。
「堪忍な、あんまりタコ焼きぽっかったんで……」
「その言い訳意味わからないんですけど!?」
あの頃は、そんな呑気な日々が、ずっと続くと思っていた……
(つづく)