「建築ブレスト&ワークショップ 1」開催しました!

2010年11月18日 | 日記


プランナーのタキザワと建築家のササキによる企画、「建築ブレスト&WS」の第1回目を開催しました。今回はまずWSのテーマを見つけるため、参加者に最近関心のあるキーワードを挙げてもらい、それらについてブレストを行うことから始めました。

以下、タキザワのメモです。

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日時・場所
 2011年11月6日(土)・カーテンの揺れる家

参加者
 タキザワ(ファシリテーター)
 ササキ
 カモシタ

ブレスト・キーワード
 批判的工学主義(タキザワ)
 人の癖(ササキ)
 擬人化(ササキ)
 愛着(ササキ)
 住む場所と街(カモシタ)
 移動のデザイン(カモシタ)

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ブレストの内容

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批判的工学主義から感覚的リサーチについて
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「思想地図〈vol.3〉アーキテクチャ」に収録されている、藤村龍至氏の「グーグル的建築家像をめざして」を引用して、批判的工学主義についてブレスト。
工学主義において重要な要素であるリサーチについて。設計においてOMA以降、リサーチは必須の条件となった(コンペでは与件となっている)。
リサーチには「統計学」的なものの他に、主に観察という手法によってリサーチを行う「考現学」的なものがある。OMAやMVRDVは前者であるが、日本ではアトリエ・ワンによる「WindowScape 窓のふるまい学」のように、後者の「考現学」的リサーチを設計に取り入れる手法がトレンドになりつつある。これはリサーチ対象の違い(大規模建築と住宅など)によるものと思われる。
リサーチはクリエイティブだ。何のために、どういったリサーチやWSをやるか? が重要。この会でも、良いテーマを見つけ出し、感覚的リサーチを積極的に行っていきたい。


思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ / Mutations
MVRDV - Metacity Datatown / WindowScape 窓のふるまい学



住む場所と街とのコミュニケーション
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用工舎の事務所は、道路に面した壁がガラス張りで、そこで働いている姿が外から見える。その事によって、植物をあげたり、植物の手入れをしてくれたり、お菓子をもらったり、地域住民との様々な交流が生まれている。
住んでいるマンションの庭に非常用の出入り口が付いている。本当はいけないのだが、中から開ける事によって、外から庭へ入る事ができる。子供が近くの幼稚園に通うようになったら、子供達の遊び場、親達の交流の場にしたいと考えている。
地方都市は、ジャスコのような大型ショッピングセンターが1つ建つだけで、昔ながらの商店街が崩壊したり、それが撤退することで、町が崩壊してしまったりするような危うい状況にある。
1つの住む場所であっても、地域住民とのコミュニケーションを促したり、街の風景をつくったり、敷地を越えて街に良い影響を与えたりする事ができるのではないだろうか?
建築だけで考えると限界があるが、庭に蝶の好きな花を植え、街に蝶の通り道をつくる活動や、
外壁と子供部屋が一体化した鳥小屋、よりコミュニケーションを促す植木鉢など、都市・インテリア・プロダクトのレベルで考えると、より可能性が広がりそうだ。
今後は、用工舎の見学や、用工舎でのリアルな実験を行っていきたい。


live-with-birds(Seoul Design Competition 2010 入賞作品)



あらためて、いま建築ができる事はなんだろう?
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90年代以前、建築家は生活・街・都市・世の中をつくるスペシャリストだった。今の時代に求められる、建築家の職能とは?
日本は、パイ(仕事)に対して、建築家が多すぎるのが根本的な問題。
ハウスメーカー vs アトリエ系 という図式は既に限界に来ており、成立していない。
「設計事務所のポジショニング」(有名ー無名・収益高いー低い)。建築の規模、事務所の規模、建築の魅力、事業の範囲など軸を替えてみる事によって、自分が狙うべきポジショニングを明確にできるのではないか?最終的には、「わたしの職能は○○○○です」と言い切りたい。


設計事務所のポジショニング



モノの移動をポジティブに捉えたい
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家具の製作をしていると、商品の運搬や、デザイナー(東京)と工場(滋賀)の場所や距離が問題となってくる。流通やリサイクルを含め、モノの移動や場所・距離について、積極的にデザインに活かす事はできないだろうか?
IKEAのもみの木は、クリスマス後に不要の場合、IKEAに返却すると価格分の商品券と替えてくれる(実質0円)。
返却先が印刷されており、自然にリサイクルを促す、インクカートリッジのパッケージ。


モミの木のクリスマスツリー(IKEA)
from the cradle to the earth(エコ・プロダクツデザインコンペ 入賞作品)



「癖」のデザイン的な可能性
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皆川明(mina perhonen):スケッチの際に、自分の手癖を出すようにしている。
菊地敦己(ブルーマーク):文字組などで自分の癖を出さないようにしている。(文字をバラまいてデザインを決める等)
自分の癖を知りたい。自分だけの癖は個性となり、デザインや設計で活かせるのでは?
本に徹底的に付箋紙を貼る事で、自分が自覚していない興味を視覚化できるのでは?
大勢の中でたった一人であったとしても、世界には同じような人が1,000人いる。(内田繁)
自分だけでなく、色々な人の癖を見つけ、デザイン化したい。


皆川明のドローイングブック



擬人化デザインで愛着を
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擬人化されると、愛着が生まれてくる。
建物や家具も、生き物のように見える、名前がついている、表情があることによって、愛着が生まれるのではないだろうか?
街の人から目印にされる住宅。住みついている猫によって、キャラクター化される場所。ひこにゃん。
既にあるものでも擬人化することで、愛着が生まれるデザインを考えたい。


ひこにゃん(「国宝・彦根城築城400年祭」イメージキャラクター)


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今回、見つかったテーマ
  感覚的リサーチの実施と活用
  用工舎での地域コミュニケーション実験
  設計事務所ポジショニングで職能を発掘
  移動をデザインする
  「癖」を活かしたデザイン(1人の変わり者の後ろには1,500人いる)
  擬人化で愛着をデザインする

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今後は、ブレストにて見つかったテーマについて、WSという手法で解決していきたいと思います!