森共同アトリエ 管理人日記

共同アトリエのnews、管理人の彫刻制作記録、管理人の徒然日記etc

ラオコーンを描く!新しい描きかた。

2012年07月09日 21時26分18秒 | デッサンの道
今日はラオコーンを描いてみました。ラオコーンは動きが大きいですが、量感や断面の形を意識して大きくさぐっていくことで感じが良くなります。今回は今までのように手順に習ったデッサンではなく、クロッキーを重ねたデッサンです。プロセスに関しては一切考えていません。
まずは描き出し。アタリをとります。細かな輪郭や起伏に囚われずに、ザックリと大きな印象を合わせます。元が大理石の石彫なだけに、よく見ると輪郭を含めて構造は結構単純な形をしています。かなり直線的に捉えていますが、大体この線に沿って進んで行きます。

形を立体的に捉え直して、角や稜線を繋げながらより強く構造感を打ち出すとともに、最初に取ったアタリを動かしていって正確な形に近づけていきます。

さらに探りを重ねます。序盤で探り倒して、これ以上狂いないし、正確な方向に動かして行ったアタリが動かなくなるまでこの作業を重ねます。精度の高いクロッキーを木炭紙上でやる感じでしょうか。ラオコーンの「印象」として、この段階で一度完成させます。

ザックリと調子を乗せます。ビビらずたっぷり乗せるのが大切でここの思い切りが弱いと浅く、もっさりした仕上がりになってしまいます。ただし、闇雲に炭を乗せるのではなく、光源設定をきちんとして、構造に則した色を置いて行く必要があります。最初はとりあえず3色くらいに分けられるとよいです。光源に対して同じ方向を向いた面はほぼ同色になるように意識しつつ、陰面はやや実際より強めに乗せるとその後の作業が捗ります。

ここでもう一度探りの作業を入れます。より確実で強固な下地づくりを目指しましょう。印象がしっかり出るまで何度でも探って構いません。この段階ではまだ消し具は使ってません。整理しきれなければ消し具も使って行って良いでしょう。でも消し具は(陰面の場合)基本ガーゼを使い始めてからにした方が仕上がりの発色は良いです。消し具を使った後のガーゼでのおさえは見栄え的にあまりオススメはできません。なので消し具を使わなくても印象が取れるくらいのクロッキー力は身につけたいところです。

ここでガーゼを初めて使いました。こすってはダメです。触れる感じで優しくおさえましょう。こすると全部同じ色になってこれまでの作業が台無しになります。空間への意識を高く持って取り組む必要があります。空間的に奥行きのある部分をおさえています、逆に腕や胸、腰の手前ところはおさえていないのが分かります。回り込みは背景ごと空間を作る意識で余白ごとおさえています。

さらに探りを入れています。ここでは空間と部位を関連づけながらの探りをしています。

ここで初めて消し具(僕は食パンしか使いません)を使い始めました。形を少し具体的にします。かたちの断面や、方向性に則したタッチを乗せて行きましょう。全体、そして部分の量感、構造感、質感、空間、動き、バルール、そしてそれらを全てまとめて「印象」という観点で見て全方向性をラオコーンに向けて集約して行きます。その上で作品性というヴィジョンも必要不可欠な要素です。

サッピツも使って描き進めます。ここまでで2時間半です。密度上げが1周しか出来なくて自分としては不十分な状態です。あと1時間くらいあると納得いくところまでいけそうです。密度上げはどんなに頑張ってもこれ以上早くは出来ません。というのは、どんなに見切れててもこれ以上手が早く動かないからです(笑)真に迫る表現を目指したらこんなもんじゃダメですね。
この密度上げの1周だけで1時間以上かかってるので、もう1時間必要という事は2時間くらいは密度上げだけで使ってしまうという事です。入試は時間が決まっているので、どれだけ下地づくりが早く、そして正確に出来るかという事がポイントになります。クロッキー力が高まるとモチーフから引き出せる情報量が無限に増えるのと、平均台を全力ダッシュで走れる安定感が身に付くので、今回は失敗、という事は絶対に無くなります。
どこまで描けたらいいんだろう?と思ってる人は、どこまで描けても足りないんだという事を肝に命じておくと良いです。石膏はもちろん、石ころだって、落ちてるゴミだって、際限なく魅力を引き出して描ける目と意識が無いとなかなか進歩しないです。逆にそれさえあれば、努力次第でいくらでもうまくなります絵を描くという事は「表現なんだ」という事を知る事です。モチーフとしっかり対話をして、モチーフのささやきに耳を傾けてみましょう

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 荒彫り12日目。頭部の続き... | トップ | 荒彫り13日目。頭部の続き... »
最新の画像もっと見る

デッサンの道」カテゴリの最新記事