真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

増税の話の前に

2011-09-09 23:46:59 | Weblog
増税は、既得権者、民主党を支持する団体に、
大きな不利益をもたらすことなく、
当面の課題を解決できる。

逆から考えてみよう。
増税をせずに、お金をねん出する方法はあるのか。

たとえば。

民主党の選挙公約通り、公務員を削減し、公務員給与を下げ、
本格的な行政改革を断行する。

民主党は「徹底的に無駄を省けば、20兆円は出てくる」、と
はっきり口にしていた(藤井元・財務大臣)。

あの大騒ぎした政治ショー、「事業仕分け」も、
仕分けた通り、ちゃんと実施すればいい。

しかし。
公務員改革、行政改革は自民党時代よりもおざなりで、
無駄を省いて出てくるはずの20兆円は、まったく出てこない。

事業仕分けは、あんなに派手にパフォーマンスをやって、仕分けしておきながら、
実施していない項目も多い。

公務員改革を本気でやれば、民主党の支援団体である公務員の労働組合から、反発を受ける。
行政改革で公務員を減らしたら、民主党を支持してくれる人(票)を減らす。
事業仕分けをまともに実施したら、既得権を持つ人々と戦わなければならない。

しかし、彼らとは戦いたくない。
というより、戦う力も知恵もない。

そういう政権が選択する最も安易な道は、
「増税」
である。

増税してお金が、一時的でも入ってくれば、
一瞬、うまくいったように見える。
増税すれば、公務員改革や行財政改革など、
公務員の組合から睨まれるような改革をしなくて済む。

こうして、勇気も知恵も力も無い政権は、増税を選ぶのである。

私は、増税がすべてダメだと言っているのではない。
税制はメリハリであり、税を増やした分でどんな経済成長をもたらそうとするのか、
その青写真のないうちから、増税を認めるべきではない、と言っているのだ。

そして、「増税増税」と念仏を唱える前に、
痛くて、辛くて、一部の人から憎まれるかもしれない、
選挙で応援してくれる団体から嫌われるかもしれない、
けれども、やらねばならないことがあるのではないか、
と考える。

それが、支持基盤をも含めた、大胆な痛みを伴う改革である。

国民に増税を求めるならば、その前に、政府としてケジメをつけてもらいたい。
政治家の歳費を削る、などという、小さな自虐的行為ではなしに、
もっと国家的見地から大ナタをふるってもらいたい。

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