真夜中のカップらーめん

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雄弁は人格

2011-09-10 23:56:23 | Weblog
憲政の神様、尾崎行雄は、ただ者ではなかった。
なにしろ、自分の演説会に木戸銭(入場料)を取ったのである。
それでも会場は毎回満員で、立錐の余地もなかった。

その尾崎が、

「雄弁は人格」

という言葉を残している。

「綸言汗のごとし」(君主が一度口にした言葉は、訂正できないほど重いもの)、
とニュアンスは似ていて、
政治家の言葉は、すなわち政治家の人格そのもの、
軽々しくあってはならない、といういましめである。

野田内閣の経済産業大臣が、最初の国会が始まる前に、辞任した。
「放射能をうつしてやる」と軽口を叩きながら、防災服の袖を
記者にすりつける仕種をしたらしい。

いま、中国は沖縄近海で、日中中間線を越えて日本側にわざと侵入し、威嚇をはじめている。
近年、フィリピンやベトナム相手に、中国が島を侵略していく前段階と、同じ動きである。

かと思えば、ロシアの爆撃機が日本列島を一周し、
宗谷海峡には20隻もの軍艦をそろえ、すでに4隻が海峡を通過した。
宗谷海峡は、稚内の目と鼻の先である。

一昨日も書いたが、覚悟も勉強も見識も足りない、二流の政治屋大臣など、
どうでもよい。
しかし、そういうくだらない大臣の件で、
限られた新聞の紙面や、テレビのニュース時間が割かれる。

というよりも、こんな内閣に果たして、中露の野望を防止する施策がとれるのか?
なにせ、防衛大臣は自他共に認める「素人」なのだから。

政治家の言葉は本来重いもので、だから明治の頃の政治家は言葉を大切にした。
そういう政治家の言葉を聴きに、人々は木戸銭まで払って、演説会を見に行ったのである。

しかし、今や民主党のおかげで、日本の政治家の言葉は信頼を失っている。

もう一度、尾崎行雄の言葉を記し、野田新総理に贈る。

「雄弁は人格」。
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