真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

「5月末決着」を延ばしてはならない理由

2010-05-13 13:03:06 | Weblog
「あわてて結論を出すよりも、じっくり交渉をして状況を好転させよう」

こういう話が与党や彼らを支持する人々から出されている。
しかし、「5月末決着」を延ばすことは、リスクが大きい。

第1に、もし5月末までに日米で合意ができなければ、6月から始まる米議会で、グアムに移転する費用を米側が予算計上しない危険がある。

それはそうだろう。
アメリカは、「移転するかどうかわからないけど、とりあえず1兆円超の移転費用だけは計上しておこう」、なんて余裕のある財政状況ではない。
だいいち、実現するかどうかわからないものに予算を付けることを、納税者は納得しない。常識以前の問題である。

第2は、5月末決着を延ばせば、鳩山内閣が引き続きこの交渉を行うことになる。

ある大学の入学試験が5月31日だった。
ユキオくんは一所懸命勉強して、
「5月31日には必ず合格してみせる!!」
と周囲に宣言。
ところが。

「勉強すればするほど、受験問題が難しいことがわかったので、受験日を延ばします」
と勝手に言って、受験しなかった。

こんな学生は、数か月受験日を延ばしたところで合格は難しい。
まあ、個人の受験なら影響は本人と家族だけで済むが、こと政治に関してはそうはいかない。

大変申し訳ないが、「自分は愚かかもしれない」と認めた能力のない人、その人の内閣に「政治模擬試験」をさせ続けるほど日本に余裕はない。

「5月末の約束を守れなかったので、国民に申し訳ない」というのは、立派な退陣理由だ。
政治資金問題など何のけじめもつけられない民主党で、初めて自分の言動に対して責任を果たすことになる。嫌味ではなく政治家として立派である。

そのためにも、5月末決着を延ばしてはならない。

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素人政治に幕を

2010-05-04 20:00:34 | Weblog
沖縄の基地移転に関して、安全保障以前の問題を指摘したい。

鳩山総理は「国外か、最低でも県外」と選挙で連呼し、その後も折に触れ語っていた。
実際に沖縄や米国など様々な交渉の中で、それは不可能に近いと感じた。
そこで今日、「お詫び行脚」をした。

鳩山総理は、

(1)たぶん実現は難しいが、選挙に勝つため、甘言を弄したのか。
(2)これまでの対米交渉を無視して「国外・県外」を実現できると考えていたのか。

(1)なら、総理と党代表辞職で、総選挙を行うべきである。
(2)なら、そんな先の見通しも、外国とのコネクションもない政治・外交のド素人なのだから、政治家を辞めるべきである。

たとえば。
民主自動車の鳩山社長は、
「自民自動車は古いし排ガスもひどい。
民主自動車は排ガスゼロ、自宅で充電できる格好いい電気自動車を発売します!」
と大宣伝。

予約殺到。国民は、
「民主自動車に乗り換える!」
と言って昨年夏に民主自動車に支払いを済ませた。

しかし、待てど暮らせど車は納車されない。
完成の時期が昨年末からどんどん延びる。

やっと5月末納車で安心していたら、
「やっぱり排ガスゼロ、自宅で充電の電気自動車は無理でした。まあ、自民自動車より排ガスの少ない車にしますからいいでしょ」
と、開き直ってきた。

あなたは、予約時のカタログと違う車でもお金を出しますか?
もちろん、ヘッドライトの角度が少し違うとか、トランクの容量が少し小さくなった程度ならともかく、その車の売りである「自宅で充電」ができないガソリン車、かつての自民自動車と同じかそれよりひどい車を売りつけられたら、頭にきませんか?

嘘をついて商品を売る。
これは、普通の会社がやれば、立派な詐欺罪になる。

鳩山総理は、普通の国民なら脱税で立件されることも許されるから、
国民への公約を破っても、平気なのだろうか。

いずれにしても、選挙に勝つため嘘をついたとすれば、
選挙はやり直さなければなるまい。
しかしおそらく、鳩山氏は嘘をつくつもりはなかったろう。
自分が総理になれば、「県外・国外」は実現できると本気で思ったに違いない。

鳩山氏を知る多くの人物が、「彼はまじめで誠実な男」だと言う。
数年前、1度だけ話を聞いたことがあるが、私が感じた印象もそうだった。
だとすれば、予約の時と違う商品しか出せないのだから、ここは潔く身を退くべきではないか。

鳩山氏の純粋さや誠実さは認めよう。
本気で県外・国外への基地移転を願ったのだろう。
しかし、あなたは政治家だ。
「願い」や「思い」と同時に、理想に近づくための「手段」「見通し」を忘れてはなるまい。

政治家としての能力の限界を、素直に認めて、
素人政治の幕を閉じるときではなかろうか。

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