真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

中国共産党よ。反省し、日本に謝るなら今だ

2010-10-16 23:45:30 | Weblog
「日本人というのは、本当に残忍な連中です。
こいつらに私たちのお祖父さんやお祖母さんたちが殺されました。
日本人への恨みを忘れてはいけません!」

こういう教育が、実際に中国で行われている。
中国の、日本で言う「教育指導要綱」、教師が読む本の中に、ちゃんと書いてある。

その、「鬼畜以下の日本人ども」が、尖閣諸島で中国漁船の船長を逮捕した。

事実関係を知らない中国人なら、反応はわかりきっている。
反日デモが起きないほうがどうかしている。

中国共産党はこれまでも、多くのウソを国民についてきた。

尖閣諸島に絞って言えば、共産党の幹部たちはあそこが日本領であることを百も承知している。

だから彼らは、米軍が沖縄の施政権を日本に返したあとで、尖閣諸島の領有を本格的に主張しはじめ、法律に「尖閣諸島は中国領」と明記したのはなんと、1992年になってから。
共産党幹部は、様子を見ていて、「いけるぞ!」と踏んだから明記したのだ。

米軍統治下の1950年に日本で作られた地図を今頃持ち出して、「ほらみろ、日本は自分で尖閣諸島は日本領じゃないと描いてるじゃないか!」とテレビで放映している。

占領下では御存じのとおり、尖閣諸島を含む沖縄周辺は米軍の直接統治下にあり、その時作成された地図で日本領の中に尖閣諸島が含まれないのは、沖縄が含まれていないことと同様、当然である。

言論統制をしている中国共産党が、放送を止めなかったということは、彼らはそんな知識もない小学生以下の脳みそなのか?
もしくは、1950年時は日本が占領下で、尖閣諸島も米軍統治下にあったことを百も承知していて、世論を誘導するために「やらせ」「でっちあげ」をしているのか?

ウソだろうがいい加減だろうが、ブラウン管を通して、高学歴で感じの良いキャスターが紹介することなら、国民はそれを信じる。

たとえ歴史的裏付けがなくても、やさしくて威厳のある小学校の先生がしゃべれば、「日本人はとんでもない連中で、日本はいまだに反省をしていない軍国主義国家だ」と、刷り込まれる。

自分たちは散々、チベットでもウイグルでも弱い者いじめと虐殺を行い、核兵器をわんさか持っていても、自衛隊の海外派遣で持っていく武器の制限をかけるような日本を「軍国主義」だとののしる。

日本人はこの反応を「不思議だ」と思うが、反日教育と、「日本で軍国主義が復活しているぞ!」というデマを共産党が流し続ければ、中国国民はこれを信じる。なにせ、日本の中でさえ中国共産党のデマを信じる人が、ごく少数だが出てくるくらいだから、仕方がない。

しかしこのツケは、いずれ中国共産党自身が払わされることになるだろう。

中国国民は、反日教育で培われた憎悪を下地に、「尖閣諸島は中国領」という中国共産党の資源獲得のためのウソが乗っかり、そこに「日本の巡視船が中国漁船に体当たりしてきた」というデマが油となって、反日デモをやっている。

さて、中国共産党よ、どうする?

「そうだ!尖閣諸島はわれらのモノだ!日本を叩き潰せ!商店を、大使館を、日本人を襲え!」と言えるか?

言えまい。ただでさえノーベル平和賞絡みで世界中から叩かれているのだ。これ以上世界から批判されれば、経済的にもマイナスになりかねない。
おそらく内心では、火消しの手立てを考えているはずだ。

だが、本気で日本と戦わない「弱腰」共産党政府に、日本憎悪を叩き込まれた世代が不満を爆発させる。

人を騙し、暴力で押さえつけ、人権を無視した政党の末路を、じっくり見ようではないか。

今からでも遅くはない。

「中国共産党の方針は間違っていました。
少数民族に本当の意味の自治を認め、また、法的にも歴史的にも無茶な島々の領有はやめます。

共産党に不利な事実でも、私たち自身が反省しよりよい政治を行うため、自由に報道することを認めます。

もちろん、ノーベル平和賞を受賞した我が国の国民を、それが共産党と主張が違うという理由で迫害は致しません。

日本など特定の国に対して憎悪をあおるような愚かな教育もやめます。

お金さえ儲かれば、毒野菜だろうがコピー商品だろうが売ってきたような国民性を改め、それが恥ずかしいことであり、世界から嫌悪され軽蔑されていることを、ちゃんと国民に伝えます。

世界の紛争や環境問題を解決する国家として、中国は21世紀に、『世界一、世界から愛される国』を目指します」

と、誰か言わないかな。
たぶん、言ったとたんに、牢屋行きなのだろう。

経済の大発展は、何とはなしに、「始まりの終わり」という気がしてならない。

中国共産党よ。反省し、日本に謝るなら今だ。
まだデモ隊は「反日」だけで済んでいる。
過ちを認めなければ、「反日」のプラカードに、「反共」の文字が付くかもしれない。

中国共産党に、知的誠実さを求めて止まない。

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10月10日の敗戦

2010-10-10 03:04:37 | Weblog
10月10日は、双十節。
中華民国の建国記念日だ。

99年前の1911年10月10日に起きた武昌起義が、辛亥革命の導火線になった。

辛亥革命を指導した近代中国の父、孫文は、「三民主義」の中でこんなことを語っている。

「いかなる国家いかなる民族の利益も、彼ら(強大な国家)に独り占めされている ー略― 彼らは、この独占的地位をいつまでも維持して、弱小民族の復興をゆるすまいと考えている」(孫文『三民主義』第四講)。

孫文が言っていた「弱小民族」とは、当時の中国である。
いま、「強大な国家」となった中国から見る弱小民族は、どこを指すのか。

略奪をし尽くしているという意味では、チベットやウイグルであろう。
圧迫し脅迫し続けているという意味では、台湾。

そして今日、そこに日本が入った。

菅内閣は、犯罪者が行った行為、その国が頑として認めない行為が明々白々と映っているであろうビデオを、公開しないと決定したらしい。

なぜかというと、
「公開すれば、中国を刺激するから」
だそうな。

取り調べの可視化を強力に進めようとしている政府。
無罪の人間を、証拠をでっちあげてでも有罪にする検察。
なのに、相手が変わると法の適用も対応も、すべて変わる。

「証拠のビデオは、犯罪者が怖いから、公開しないでおきます。
立場の弱い日本人は徹底的に処罰するけどね。
だって怖くないから。中国は怖いもの。
法律なんか、強者には適用しないの。
海上保安庁は、まあ無駄死にしないように、悪人なんか捕まえるんじゃないの。
あとが大変なんだから。
適当に警備してるフリして、日本漁船の弱そうなやつの、違法操業だけ大っぴらに取り締まればいいの。
ビデオなんか、下手に録るから騒ぎがでかくなったんだよ。
あんまり真面目に仕事すんなよ!」

これが、菅内閣の本音である。

ノルウェーのノーベル賞委員会は、

「たとえ(ノルウェーが)小国といえども、経済的不利益があっても、立場が悪くなっても、言うべきことを言わなければならない」

といって、劉暁波氏にノーベル平和賞を授与した。

すごい。

いや、もっとすごいのは劉暁波氏だ。
たった一人で、言論弾圧などヘとも思わない巨大な中国共産党に、命がけで挑んでいる。
逮捕され、投獄され、下手をすれば殺されるのを覚悟の上で、

「共産党の一党独裁はやめよう」
「人民解放軍は共産党の軍隊から、国軍に変えよう」

など、しごくまっとうな主張(零八憲章)をし、捕まった。

いまは4回目の投獄中で、11年、牢屋に入れられている。

たった一人、しかもペンと紙しか持たない人物が、勇気と知的誠実さを以て戦いを挑んでいる。

チベットでも、圧倒的な中国の軍事力に支配されながら、捕まれば11歳の子どもも投獄され拷問を受けると知りながら、それでも民族の誇りにかけて戦っている。

台湾ではかつて、自由選挙で李登輝氏が当選しそうになったら、妨害の為に演習と称して、中国はミサイルを台湾近海にどんどんぶち込み、それでも台湾人は勇気をふるって、李登輝氏を選んだ。

省みて我が菅内閣の、あきれ果てるまでの臆病さと、「その場しのぎ」。

長期展望も無ければ、「戦略的互恵関係」という、菅内閣の主要メンバーが毛嫌いしている安倍内閣時のスローガンをパクって、何が「互恵」なのかさっぱりわからない関係を強調する。

レア・メタルの輸出をしてもらい、衣料品や毒野菜を輸入し、代わりに製品を中国へ輸出して、コピー商品を大量発生させるのが「互恵」なのか?

中国人の犯罪の証拠をもみ消して、代わりにほとんど無実に近い日本人の不法拘留をやめさせるのが「互恵」なのか?

領海侵犯を止めてもらう代わりに、不公平なガス田掘削を認めるのが「互恵」なのか?

自分の国の教科書には、事実を捻じ曲げたり確認できていない事柄を事実だと言って掲載し、日本人への憎悪をあおり、訂正も謝罪もしないのに、他国の教科書の中身には文句をつけて書き換えさせることのどこが、「互恵」なのか?

どこかの官房長官のように、歴史的に迷惑をかけたのだから、ということで卑屈にひざまずかなければいけないというのなら、「互恵」は成り立たない。
歴史問題と政治問題をリンクさせた瞬間に、直近の戦争で敗れた側は理屈抜きで土下座するしかない。
中国がそれを狙ってくるのはわかるが、日本の政府高官が自分で墓穴を掘っているのだから、処置なしである。

中国の清朝がかつて次々と列強に侵されていったのは、列強の要求に従って領土を事実上切り売りしたからだ。
どうか、切り売りだけは、しないでほしい。

「君、国売り給うことなかれ」

と、切に祈る。

しかし、どうやら今年の10月10日は、敗戦日になった気がする。
ビデオの公開は、時間が経てば力を失う。

自ら刀を置いた者に、勝ちはない。
あとはどう切り刻まれるか、だけである。

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