真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

講演会のことなど

2011-09-11 23:55:17 | Weblog
震災直後、研修会や講演会での仕事が止まって、
それが最近、またご依頼を戴くようになった。

先日は、某県の農業関係団体におじゃまをした。

講演内容は、二宮尊徳について。
歴史と経済が混合した話で、しかも尊徳が実践した内容は今でも応用できるため、
聴衆のみなさんも、あまり退屈せずにお聴きいただけたのではなかろうか。

二宮尊徳は、飢餓などに苦しむおよそ600の村々を復興した、
農村経営のコンサルタントであった。

彼は徹底した現場主義で、
依頼された村に行くと、まず村人の家々に行き、台所や便所などを見て回った。
そうして、報告では上がって来ない、村の「現実」を把握していった。

真面目に働く、というイメージの強い尊徳だが、
彼は人間の弱さや性質をよく知っていて、どうすれば人々がやる気を起こすのか、
そのことを考えて仕事をさせた。

彼は、
「人間はサボりたい、という気持ちもあれば、真面目に働きたい、という気持ちもある。
自分だけ良ければいい、という気持ちもあるが、人の為に何かしたい、と思う心もある。
人間が持つ『良い方』を引き出せれば、物事は必ず成功する」
という考え方を持っていた。

会社経営でも、成功している社長や企業は、
従業員の「良い方の心」を引き出すことに成功している。

どうすれば、人々の「良い方の心」を引き出せるのか。
二宮尊徳は、色々な方法を使うのだが、詳しくは拙著で、
と書くと、何だか詐欺のようで気が引ける。

そこで一つだけ。

尊徳は、村で何かを決める時、今で言う投票を行った。
道を整備する時などにリーダーを決めるのだが、
そういう時も村民の中で、投票によってリーダーを選出した。

なんと。

江戸時代真っただ中の文化・文政時代である。
普通に「投票を行う」だけでも驚きだが、
男尊女卑どころか、一般にも身分のやかましかった時代に、
ただでさえ保守的な農村で、
女性まで参加をさせて、投票を行っている。

遠山景元、つまり「遠山の金さん」が北町奉行になるよりも前の時代、である。

尊徳は、参加意識こそが責任意識につながる、と考えた。
自分たちで決めたことだから、きちんとやり抜こう、と、人は思う。
そこを刺激すればいい、というのが、尊徳の「作戦」だった。

これ以外にも、欲望を刺激する方法、「自分を認めてほしい」という意欲を刺激する方法等々、
尊徳の知恵と実践の工夫には、凄まじい人間洞察力が感じられる。

ほかにも、たった三つのことを守れば、必ず復興できる原則や、
それを元にした、復興のためのシステムなど、
面白くてためになることがたくさんある。

ご興味を持たれた方は、拙著『日本で1番不況に強い男』(中経出版)
http://t-linden.co.jp/book/urabanashi/fukyo_man.htmlをご覧ください。
講演ご依頼の方は、以下までお問い合わせください。
http://t-linden.co.jp/book/osirase/index.html

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